第13話 ドレスは断られるし、雑用係はいないし
ーーー断られた。この俺が?
何故だ。女はドレスが好きではないのか?
ここ数日、観察して分かった。あの雑用係はプロだ。
付け入る隙がない。
だからこそ慰労を兼ねてこの俺がわざわざドレスを仕立ててやろうと思ったのに?
「……よく分からん…」
「はいはい。次はこの書類です。ここ印鑑押せば良いので」
そろそろこの茶番に飽きてきたジュードが呆れた声で書類を机の上に置いていく。
アレンは眉を寄せながらハンコをついて目の前のジュードに渡した。
「…そう言えば、お前には婚約者がいたな」
「はあ、いますけど」
「お前の婚約者は、ドレスは好きか?」
「……本当に、何言ってるんですか」
「しっかりして下さい」そう言いながら書類を纏めていくジュード。
「あのねぇ。雑用係に何を言われたか知りませんが、皇太子の“命令”なんですよ?参加が基本です。支給品でも何でも渡せば良いじゃないですか」
「っ……」
その通りだ。
別にあの雑用係を着飾る必要はない。
だが、断られた事が気に食わないのだ。
「そう言えば、その雑用係から休暇申請が来てますが」
「ーーーは?」
「ここに来てからずっと働き詰めでしたし、許可しました。良いですよね?」
(あの雑用係が休むだと?)
「何か用事があるのか?」
「え?いえ、特に聞かなかったので…。あ、でも、もう出て行きましたね」
「は?どこに?」
「私が知る訳ないでしょう」
そう言って呆れたように部屋を出ていく部下の背中を、アレンは呆然と見送った。
ーーーそんな片鱗見せなかったのに。
やはり、こんなところもプロなのか。
(……こうなれば、“素”の部分を観察するだけだ)
そう決意したアレンは、ここ数日の溜まった書類を驚く程の集中力で終わらせ、さっさと自室を後にするのであった。
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