第55話「託された想い、導く者として」
氷室紗季は、控室の窓からステージの方を静かに見つめていた。
視線の先には、間もなく“試練”に挑む少女――結城美玲の姿がある。
(……まさか、あの子がここまで辿り着くとはね)
***
結城玲奈が亡くなってから、氷室は密かに美玲の動向を追っていた。
芸能界入りしたと知った時、正直なところ「無謀だ」と思った。
この世界は甘くない。
親の期待も、情けも通用しない。
それでも――玲奈との約束が、氷室を突き動かした。
(私の役目は、“見守る”ことじゃない。育てること)
ただの親友の娘としてではなく、
一人の“表現者”として、美玲を評価し、導く覚悟を決めた。
***
デビュー当初の美玲は、事務所の方針に流され、キラキラ系を演じていた。
(そんな薄っぺらい輝きじゃ、この世界では生き残れない)
厳しい目で見続けながらも、心のどこかで期待していた。
――いつか、この子が本当の自分を見つける日が来るのか、と。
***
そして、気づけば美玲の周りには仲間ができ、
自分の力で“らしさ”を掴もうとしていた。
陽斗という少年の存在も、氷室はもちろん把握している。
(玲奈……あなたの娘は、ちゃんと前を向いているわ)
だからこそ、今日の試練は甘くしない。
これが“特別扱い”ではなく、
本物として認めるための通過点だと証明するために。
***
「氷室さん、準備が整いました」
スタッフの声に、氷室はゆっくりと頷いた。
「行くわよ。あの子がどこまで覚悟を見せられるか――見届ける時間ね」
足音も静かに、氷室はステージへと向かう。
***
本番直前、ステージ袖で待つ美玲に、氷室はふと声をかけた。
「結城美玲」
呼ばれた美玲は、緊張した面持ちで振り向く。
「……今日は、“親友の娘”としてじゃなく、
一人のアーティストとしてあなたを見させてもらうわ」
その言葉に、美玲は驚きながらも、しっかりと頷いた。
「……はい。私も、そんなつもりで来ました」
氷室は満足げに微笑むと、背を向けた。
「さあ、魅せなさい。
あなたの“本当の声”が、どこまで響くのかを」
美玲は深呼吸をして、ゆっくりとステージへと歩み出す。
***
氷室は袖からその背中を見送りながら、心の中で呟いた。
(玲奈……これが、あなたの娘よ)
胸の奥にあるわずかな誇らしさを感じながら、
氷室紗季は静かにその瞬間を待った。
―――第55話・完――
やっほー!小野寺瑠夏だよ!
なんか今回は、氷室さんがめっちゃシリアスだったね〜。
でもさ、あのクールな感じの裏に、こんな熱い想いがあったなんて……ちょっと感動しちゃったかも。
美玲も陽斗くんも、もちろん私たちチームも、
いろんな人の“想い”に支えられてここまで来たんだなって、改めて思ったよ。
さてさて、いよいよ次は本番!
美玲がどんなステージを見せてくれるのか、私も超楽しみにしてる!
みんなも応援よろしくね!
コメントや評価で盛り上げてくれたら、きっと美玲のパワーになるはず!
それじゃ、次回も絶対チェックしてよね!




