第49話「課題への挑戦と揺れる心」
氷室紗季から課された試練――
「短期間で、自分の言葉で作った歌を完成させ、披露すること」
その言葉が、美玲の頭から離れなかった。
***
翌日、放課後の図書室。
美玲はノートを開き、ペンを握ったまま止まっていた。
ページには、いくつかの言葉が書かれている。だけど――
「……やっぱり、違う気がする」
ポツリと漏らした声に、隣で陽斗が顔を上げる。
「前に、自分で作詞したときはスラスラ書けてたのに……。
なんで今回は、こんなに手が止まるんだろう」
陽斗は静かに聞いていた。
「前は、“楽しく作ろう”って思えた。でも今は……“ちゃんとプロとして認められるものを作らなきゃ”って、そればっかりで……」
美玲は苦しそうにノートを閉じた。
「氷室さんの言葉が、ずっと頭の中にあって……失敗できないって思うほど、怖くなるの」
陽斗は言葉を探しながら、ゆっくりと答えた。
「プレッシャーがあるのは当然だよ。でも、美玲さんが伝えたいことって、もっとシンプルなんじゃないかな」
「……シンプル、かぁ」
美玲は微笑んだが、その目はまだ迷いを抱えていた。
***
その夜、グループチャットでは仲間たちが励ましの言葉を送っていた。
《ルカ:難しく考えすぎてない? 前みたいに、思ったことを素直に書いてみて》
《梓:“誰に届けたいか”を考えたら、言葉が出てくるかも》
《神谷:お前ならできる。背負いすぎるなよ》
美玲はスマホを見つめ、そっと呟いた。
「……ありがとう。でも、今回は“あの時”とは違うから」
今回は、遊びじゃない。
本当にプロとして認められるかどうかの、勝負だった。
***
数日後。
ノートには、まだまとまった歌詞は完成していなかった。
陽斗も、何か役に立てないかと試行錯誤していたが、
「どう見せるか」ばかり考えてしまい、根本的な答えに辿り着けずにいた。
(俺が支えるって言ったのに……肝心な時に何もできないなんて)
***
放課後の帰り道。
二人の間には、重苦しい沈黙が流れていた。
「……ごめんね、陽斗くん。私、期待に応えられてないよね」
「そんなこと――」
「分かってるよ。でも……怖いんだ。
このまま何も書けなかったら、私……もうステージに立てないかもしれないって」
陽斗は立ち止まり、ゆっくりと美玲を見つめた。
「美玲さん。俺、プロデューサー失格だよな」
「え……?」
「でも、一緒に考えたい。“どう見せるか”じゃなくて、“何を伝えたいか”を」
美玲は俯き、震える声で呟いた。
「……私、本当にこの世界で戦えるのかな……」
その不安は、まだ答えのないまま、夜の街に溶けていった。
―――第49話・完―――
こんにちは、結城美玲です。
……なんだか、今回はちょっと弱音ばかり吐いちゃってるかも。
でも、本当に“プロとして認められる歌を作る”って、こんなに怖いことなんだって、改めて思い知らされました。
前に陽斗くんと一緒に曲を作ったときは、もっと自由で、楽しくて――。
だけど今は、うまく言葉が出てこなくて、悔しいし、不安でいっぱいです。
それでも、立ち止まってるわけにはいかないから……。
次は少しでも前に進めるように頑張ります。
もし、私たちの物語を応援してくれるなら――
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あなたの声が、きっと私の“言葉”を見つける力になるから。
これからも、よろしくお願いします。




