表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/72

第33話「広がる波紋と、新たな光」

 朝、教室の窓際に座っていた僕――一ノいちのせ 陽斗はるとは、

 スマホの画面に表示された通知の数に、思わず息を呑んだ。


(……フォロワー、昨日の倍以上になってる)


 昨夜投稿した新しい動画。

 学園掲示板用に制作した、美玲の“日常と想い”をまとめた短いドキュメントだった。


 制服姿での登下校風景。

 空き教室で練習する様子。

 笑ったり、真剣な表情でノートを開いたり。

 そこに、美玲のナレーションが重なる。


 《夢を語ることって、恥ずかしいって思ってた。

 でも、誰かと歩けたら、きっと――前に進める》


 その動画が、SNSで“バズっていた”。


《#結城美玲》《#学園から本気》《#青春ドキュメント》


 ライブのパフォーマンスよりも――

 「学校で夢に向かって頑張っている」その等身大の姿に、多くの人が心を動かされたらしい。


(狙い通り……でも、予想以上だ)


 神谷がまとめた分析グラフでは、視聴の中心層は10代女子と20代女性。

 さらに、新しく立ち上げたファンサイトの登録数も急上昇していた。


 スマホに、新しい通知が届く。


《○○ウェブマガジン編集部です。

 結城美玲さんの特集記事を検討しており、取材をお願いできませんか?》


「……来たか」


     ***


 放課後、メンバーがいつもの図書室に集まる。


「なにこれ、やばいじゃん!」


 瑠夏が画面を指さして騒いでいた。

 その隣で、美玲は画面を見ながら、ただただぽかんとしていた。


「え、え、私って……今、そんなに見られてるの?」


「それだけのことを、やってきたってことだよ」


 陽斗の言葉に、美玲は照れくさそうに笑った。


「でも、見られるのに慣れてないから、変な汗出てきた……」


「いいじゃん、そういうのも“リアルで刺さる”ってウチの分析班も言ってたし」


 神谷が軽く肩をすくめる。


「で、問題は――これ」


 陽斗が、プリントアウトしたメールを机に置く。


「ネットメディアから、取材申し入れが来てる。

 “学校で夢を追うリアル女子高生アイドル”ってテーマで、記事化したいって」


「わっ……すごいけど、……どうしよう」


 美玲の手が、わずかに震えていた。


「断ってもいいんだよ。無理して出る必要はない」


「でも……見てくれてる人がいるって思ったら、やっぱり、伝えたい気持ちもあって……」


 迷っている。けれど、逃げたいわけじゃない。


 陽斗はそっと言葉を重ねた。


「大丈夫。一緒に考えよう。何を伝えるか、どう伝えるか」


 美玲は、少しずつ頷いた。


「……ありがとう。頼ってばっかりだけど、やっぱり陽斗くんがいると安心する」


     ***


 その夜。


 陽斗は、パソコンの前で資料をまとめていた。


 インタビュー内容の想定。

 過去の似た特集の傾向。

 質問に対する回答のトーンと、伝えたいテーマの軸。


 そこへ、チャットが届く。


《神谷:お前、ここまでやれるとは思ってなかったわ。正直、感心してる》

《瑠夏:っていうかマジですごい。いつか専属スタイリストにしてよ?》

《梓:放送部でも、また特集組みますね。校内の反応、めちゃくちゃ良かったです》

《葉山:俺、記事に載るなら背景の校舎、描きたい! 使ってくれ!》


 そのやり取りを見て、陽斗は少しだけ笑った。


(“俺たち”になってる)


 最初は、彼女を守りたくて――

 次第に、支えたいと思って――

 気づけば、こんなにも多くの人が彼女のそばにいた。


(でも、きっと――彼女自身が、その“輪”を広げてるんだ)


     ***


 翌朝。


 美玲の机の上に、色とりどりの付箋が貼られた手紙が置かれていた。


『ライブ楽しみにしてます!』『テレビで見たよ!』『頑張って!』


 クラスメイトや後輩たちからの、小さな応援の声。


「……これ、全部……」


「みんな、ちゃんと見てるよ。今の“君”を」


 美玲の目元が、ほんの少し潤んだ。


 でも、笑顔だった。


―――第33話・完―――


こんにちは、結城美玲です。


読んでくださって、本当にありがとうございます!


最近、学校でも少しずつ声をかけられるようになってきて――

正直、ちょっとだけ……いえ、けっこう恥ずかしいです(笑)


でも、こうやって「誰かと一緒に頑張る」って、こんなに心強いんだなって毎日思っています。


ステージに立つのはまだまだ緊張しますが、

隣で支えてくれる人たちがいるから、ちゃんと前を向いていられる気がします。


次のお話も、少しずつ変わっていく“わたし”を、見ていてもらえたら嬉しいです。


感想やコメント、よかったらぜひ残してくださいね!

いつも読んでくれて、本当にありがとう――!


またね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ