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刃血鬼  作者: Omsick
一章 [赤連]入団
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初任務:2

「…このガキィ!」

 拳を握りしめる震奮。

「ようやくわかったよ、僕の能力」

 赤亡は素早く紋傷から血刃を引き抜き、震奮の腹に向かって投げつけた。

「そして…こう」

 赤亡は、血刃が命中したことを確認すると、一切の迷いなく、自分の右腕を切り落とした。

「何ィ!?」

 更に赤亡は、左手の人差し指をも切り落とした。

 直後、流れるはずだった血液が凝固し、左手から流れた血は、震奮に投げた血刃に。

 そして右腕から流れた血は、上空へと伸びていった。

「僕の刃術…血の糸(クチトリンカル)

 血の糸、傷口から血刃に向かって、血で出来た糸を伸ばす能力。

「何をするつもりだ…?」

 赤亡は無言で、切断された右腕を上に伸ばした。

 その時、赤亡の体が震奮ごと持ち上がったのだ。

「…さしずめグラップリングってところかな」

 赤亡は呟くように言う。

 赤亡は、出した糸を体内で巻き取るような形で短くしていくことで上昇していた。

 かつ、戦場は県内でも栄えている都市の歩道。横に建ち並ぶビルはそこそこの高さがある。

 右腕を上に伸ばしたのは、予め血刃を屋上に刺していたから。

「読み通りだよ。血の糸は、切断面で太さが変わる」

 右腕を切り落としたのは、サイズを糸から綱ほどまで太くするため。

「強度がわからないから、とりあえず太くしておけばいいって思ってね」

 赤亡は語りかけるように言い、血刃に辿り着く直前で、右腕の刃術を解除した。

「慣性ってあるでしょ?それを利用して」

 解除の直前、赤亡は巻き取りの速度を上げていた。結果、慣性が働いたことにより、赤亡は跳び上がる。

 解除した先から血刃を引き抜き、

「もう一個の目も――」

未だ解除していなかった左手の刃術で、赤亡は震奮に接近する。

 そして血刃を震奮の目に刺そうとした刹那。

「二人共、止めだ」

 下から心做の声が聞こえた。

「ちょ、心做さん!?」

 震奮が、さっきまでの威圧感が台無しになるような、素っ頓狂な声を上げた。

「戻ってこい、説明してやる」

 赤亡は渋々、左手の刃術も解除した。

「ぐえっ」

 赤亡は震奮をクッションにして着地、震奮は赤亡の腹に全体重が乗ったことにより、思わず声を上げた。

「あー、何と言うか」

「心做さん、やりすぎです。俺もう片方の目まで潰されるとこでした」

「悪かったな、いくら出せば良いんだ?」

「前金が破格だったし、別にいいですよ。原石も見つかったことですし」

 頭を掻きながら震奮が言う。

「え?あ?」

 赤亡は頭の上に?を浮かべて、意味がわからないという風にキョロキョロしている。

「あー、ゴホン。つまりだな、これは俺が仕組んだ、謂わば入団テストだ」

「え、私聞いてないんですけど!?」

「言ってないからな」

 血走が地団駄を踏む。

「お前、口が軽いだろう?話したら露呈しそうだったからな、監督として行かせた」

「―――あれ?私、無理そうなら首を切れって」

「待て待て待て、話が違ってくるぞ?」

 震奮の表情がどんどん青ざめていく。

 殺しても構わないと言われていたのだ。

「前言撤回です、報酬――」

「まぁ、早い話、適性を調べようと思ったのだが…有り余るほど高いポテンシャルだったな」

 震奮の悲痛な叫びを遮り、話を再開した心做。

「確かになー、見てて思いましたよ。ついこの前まで高校生だったくせして、いざ戦闘になると屈強な男一人ねじ伏せるんですから。モヤシの分際で」

 さらっと毒を吐く血走。その一言が赤亡に聞こえたかは分からないが。

「入団テストというには語弊があったな。お前は既に赤連だ、倒せなくても問題はなかった。というか、倒せると思ってなかった」

「目を刺されたときは死ぬかと」

 潰れた片目を指差し、震奮は言った。

「金は払ったし、お前も了承しただろう?自力であいつに聞きに行け、俺は知らん」

「分かってますよ。ったく…薄情なことで」

 震奮がぼやいた。

「血走、震奮を飛ばしてくれ。確かあっちの方向にドクターがいたはずだ」

 心做は方向を指差した。

「ほいほーい」

 それに応じ、血飛沫の輪を発動する血走。

「…ああ、赤亡だったか?」

 入る直前、震奮は微笑んだ。

「今度、本気でやり合おうぜ」

 表情は微笑んでいたが、拳は固く握られてており、赤亡は凄まじい圧を感じ、冷や汗を流した。

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