26/69
幕間:血も涙も
男は、三人を背負って走っていた。
「ハァ…ハァ…ここまで来りゃ安全だ。お前ら、必ず――」
「筒上宗介。盟団同士の抗争で瀕死の仲間を治療しに行く途中か」
「…!」
宗介と呼ばれた男は、謎の声に怯えつつも足を止めない。
「安心しろよ。俺はお前を虐めに来たんじゃない」
直後。
「がっ…!」
宗介の足に何かが突き刺さる。転倒し、抱えていた者達は道に投げ飛ばされた。
「そう、虐めに来たんじゃない。全く逆の立場だ。俺はお前を」
転倒した宗介に、また鋭いものが刺さった。
「裁きに来たんだよ」
背中に2度、四肢に1度ずつ斬撃を加え、投げ出された者達を蹴り飛ばした。
「ハハッ、人間数人、弱めの刃血鬼数人殺しといてこのザマか?」
「て…テメエ、誰なんだよ」
血をダラダラと流しながら、宗介が訊く。その弱々しい声をかき消すかの様に、男は言い放った。
「怨野。よーく覚えとけ、よく怨んどけ。義務は果たしたんでな」
そう言って男――怨野は去っていった。




