7.もしも「時間」スキルを○○に使ったら……
【前回までのあらすじ】
バナナを教材にセツナは自身の「時間」スキルを検証する。
食べたり飲んだりと体内に取り込んだものはその効果もそのままに、元に戻せばもう一度使えるというチートスキルっぷり。
事故で動けなくなった馬車を修理して、青果店の店主にごめんなさいさせたのだった。
衣料品店で簡素なシャツとズボンにサンダルを購入。すぐに着替えた。
奴隷服とはおさらばだ。
メイにも水着の上からシャツとスカートを穿かせる。
「新しいお洋服ですね先生! メイはとっても嬉しいのですが?」
酒場に向かう路地を少女はぴょんぴょん跳ねるように歩く。
「ちゃんと前を見て歩かないと危ないよメイ?」
「これくらいちゃらへっちゃ……あうあッ!」
言ったそばからメイは石畳のくぼみに足を取られて派手に転んだ。
買ったばかりの服が汚れてしまった。
膝もすりむいて少女は半べそを掻く。
「あああああああ! せっかくのお洋服がああああああ! 殺す! この石畳を! 駆逐するッ!」
「駆逐したら舗装路じゃなくなっちゃうよ」
「ごめんなさい。先生が身銭を切って買ってくれました。この素敵な衣類を汚す大失態! おめかしの意味とはッ!? 馬子にも衣装なのか!?」
「怪我は大丈夫?」
服よりそっちの方が心配だ。少女に手を貸し立たせた。
どうやら足首をひねったりはしてないみたいだけど、すりむいた膝は痛々しい。
「よ、よよ、余裕ですがなにか?」
「震え声で涙目じゃないか」
ふと思う。
もし僕の力で戻せるなら。
いや、バナナとは違うんだ。人に「時間」スキルを使ったらどうなるかわからない。
「メイの名案です! 先生!」
「どうしたの?」
「怪我を元に戻せますか? 時間ぐるぐるで!」
考えることは同じだった。
「いいのかい?」
「セツナ先生ならきっと上手くやるでしょう。それにメイは助けてもらわなかったら、樽の中で干からびてました。先生のために命を張ることもいとわない。これを『てぇてぇ』というのです」
彼女の言う「てぇてぇ」が何かはよくわからないけど、覚悟だけは決まってるみたいだ。
「わかった。じゃあ……ちょっと痛いかもしれないけど我慢してね」
メイの傷口に触れる。少女はビクンとなりながら目をぎゅっと閉じて我慢した。
五秒、十秒と戻していく。
一分もしないうちにすりむけた膝は元通り。綺麗な白い肌になった。
「わぁ! もう痛くもなんともねぇですね! 先生! 服も! 服もしましょうよ!」
「あ……うん。そうだね」
同じようにシャツとスカートもメイが転ぶ前まで戻す。
すっかり元通りだ。
メイはその場でくねくねと踊り出す。ツインテール触手も狂喜乱舞だ。
「身だしなみオッケー! 調子もばっちこーい!」
「本当に大丈夫みたいだね。よかった」
「膝の心配はなくなりました。軟骨成分が効いて……これはありがたや」
メイに拝まれた。神様扱いはやめて欲しい。
けど、おかげでまた一つ、自分の力を把握できた。
食べたり飲んだりして消費されたものは、使い切らない限り元に戻すことができる。
怪我もすぐなら治せるみたいだ。
ただ、それなりに時がたったものには相応の時間がかかる。
僕のスキル「時間」はとんでもない能力かもしれない。
けど、できることとできないことがあるのだけは、肝に銘じよう。
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