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57.準々決勝! チェーンの戦い

【前回までのあらすじ】

64人のトーナメントとかぁ。

ちょっと無理だからぁ。

みんなで殴り合って8人まで絞りましょ~ね~。(名案)

 僕とメイはシャチ子の付き添いということで、試合場のすぐそばにいた。

 劇場でいうならステージのすぐ目の前みたいな、かぶりつけるくらいの特等席だ。

 メイが触手ツインテールをびゅんびゅんとしならせる。


「興奮しますね先生! 一番近いですから!」

「メイは怖くないのかい?」

「え? 燃えますが? バトルですよ!」


 時々メイの趣味は僕よりずっと、男の子っぽくなる。


 実況席から試合開始のアナウンスが入り、続けてプリムが木槌を手にして宣言した。


「じゃあ準備も出来たみたいだしぃ。チェーンちゃんの試合だからみんな応援してあげてね♥」 


 準々決勝からは一試合ごととなった。コロシアムに備え付けられた魔導式の超巨大投影板に、これから戦う二人が大映しになる。


 特攻服メイドの対戦相手は、身体にぴったりと吸い付くビキニメイド服に身を包んだスキンヘッドの筋肉男。


 いや、スキンヘッドなんてもんじゃない。

 髭も眉毛も腕下にすね毛も綺麗さっぱりつるっつるだ。もちろん下腹部のきわどいところまで。


 って、僕はいったい何を見てるんだろう。いや、見せられているんだろうか。


 戦いの前にスキンヘッドは頭から油をかぶって全身ヌルテカになる。


「げっへっへ! 俺はお前が気にくわないんだよチェーン! 脳筋腕力バカのくせして、偉大なる大聖女プリム様に気に入られやがって!」

「突然出てきて誰だよてめぇ?」

「見違えただろ。全身の体毛という体毛を除毛スキル持ちの美容士に頼んでツルツルにしてもらったんだからな!」

「ん? あ~てめぇアレか。ガチで聖女神殿のメイド職に履歴書送ってきてたやつ」

「ようやく思い出したか! 毛深いことを理由に面接で落としやがって」

「してやっただけでも感謝しろや変態野郎。そもそもメイドは女と決まってんだろうが」


 この大会の根幹を揺るがす発言だ。聞かなかったことにしよう。

 ツルツル男は耳の先まで顔を真っ赤にする。


「うるさいうるさいうるさいうるさーい! ここでお前を倒して、俺がプリム様の筆頭メイドになるんだぁ!」


 絶叫しながら男が全身をくねらせる。骨格が溶けてしまったかのような身体の使い方は、まるで軟体動物だ。

 メイの金色の瞳が煌めいた。


「ごらんください先生! あの艶めかしい四肢の妖しい蠢きを! あれはまるでタコ踊りなのですね! わかります!」

「タコ踊りか。確かに見えるかも」

「でしょでしょー!」


 クラゲ少女は大興奮だ。ワカメや昆布のモノマネが得意なメイには、シンパシーを感じるものがあるのかもしれない。


 ツルツル男は腰をゆらりゆら~りとさせた。


 結構な気持ち悪さだ。


 実況席でプリムが木槌を振りかぶる。


「なんか揉めてるっぽいけど後もつかえてるしぃ。それじゃ……メイドルファイト~レディ~ゴー!」


 カーン! と心地よいゴングの音が響く。


 先に仕掛けたのはツルツルタコ男だ。


「往生せえええやああああ! チェーン!」

「汚らわしい口で気安くおれの名を呼ぶんじゃねぇッ!!」


 口調は荒々しいけど特攻服メイドは冷静だった。間合いをはかり相手の攻撃を誘い出してのカウンターだ。


 と、思ったんだけど――


 タコ男の腕が拳一つ分くらい余計に伸びて、見切ったはずのチェーンの顎先を掠めた。


 タコ男が舌打ちする。


「チッ! 初見で避けるとはな」

「気持ち悪い動きしやがって」

「言っておくが俺には関節技は通じないぞ。極めて投げても油でぬるっと脱出。打撃もツルツル柔軟ボディで受け流すって寸法よ」


 ツルツル男はほぼ全裸で掴む布地がほとんど無い。触ればヌルヌルだ。

 一方で、鞭のように身体をしならせた独特の打撃はチェーンにヒットする。


 後方ライバル顔のまま腕組みしていたシャチ子が言う。


「この程度の相手に負けるチェーンではない。先ほど、互いに背中を預け合った私にはわかる」

「けどシャチ子さん。相手に攻撃が通じないんですよ?」

「ならば通じるようにすれば良いではないか」


 シャチ子が足下をぎゅっと踏みしめるようにした。フィールドの地面は砂地だ。


 それはチェーンもわかっていたようで――


「しゃらああああああああああああああッ!」


 特攻服の裾をはためかせ、チェーンの蹴り足が地面をえぐるようにして高く上がった。


 タコ男が拍手しながら笑う。


「どこ蹴ってんだよあっはっは!」


 風が吹き、巻き上げた砂がタコ男の全身を包み込んだ。

 メイが頷く。


「ご覧ください先生。タコが砂地に擬態するように色を変えたのですが!」

「色を変えたんじゃなくて、巻き上げられた砂塵を被ったんじゃないかな」

「おお、そうですね! メイもそう言いたかったぁ」


 油に砂が張り付いてツルツル男は砂男になった。


 チェーンが手を組んで指をポキポキ鳴らす。


「っしゃああ! これで気持ち悪いのに触らずに殴れるな」

「ひ、ひえ! やめてくださ……」

「っせえええええわっ!」


 実況席でプリムが両手に応援用のボンボン(?)をもってチェーンに手を振った。


「ごーごー! チェーンちゃん!」


 砂男めがけて特攻服メイドの拳の連打が炸裂した。


 身体が半分宙に浮く勢いでぶっ飛ばされた男は、地面に大の字になってピクリともしなくなる。


 実況席でプリムがゴングをカンカンカンカンッと連打し、場内に「試合終了! 勝者、チェーン!」のコールが響くのだった。


 なんだろう。普通に一試合をまるっと見ちゃった感じだ。

お読みいただき、ありがとうございます!


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