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55.開幕! 大惨事メイド大戦

【前回までのあらすじ】

ふわっふわでミルキーな感じのピンクな聖女様と奇跡の謁見。

けど神託はお預け。

とりま大会出て、どうぞ。

 大会当日――


 収容人数五万人の円形闘技場は大入り超満員。

 神殿都市の住人だけじゃなく、王国中から観覧客が集まって大賑わいだ。


 歓声が響く大部屋の選手控え室。

 僕らはそこで出番を待つ。


 といっても、出場するのはシャチ子だけだ。

 メイは「腕自慢にごす」と参加に意欲的だったけど、シャチ子が「同士討ちはまずいです。私が必ず優勝いたします」とクラゲ少女を説得した。


 で、メイはシャチ子選手のコーチに就任。僕は試合後のケアをするトレーナーとして同伴を許可された。


 緊張感で張り詰めた控え室の大広間。


 右を見ても、左を見ても――


 弾ける胸筋脈動する大腿筋。肩に小型馬車でもくっついてるのかい? みたいな、筋骨隆々。


 いるのは屈強な男ばかり。


 全員が、各々思い思いのメイド服に身を包んでいる。メイが呟いた。


「そっか! メイドって男の人ばっかりなんだ!」

「違うよメイ。たぶんこの大会だけだよ」

「あるぇ?」


 クラゲ少女は不思議そうに触手ツインテールを「?」の字にくねらせた。

 シャチ子は独り静かに、ベンチシートに座って目を閉じ瞑想中。


「恥ずかしくない……恥ずかしくない……恥ずかしくない……恥ずかしくない」


 自己暗示に余念が無い。


 と、大会係員が広間の奥に大きめのカーテンくらいある紙を貼りだした。

 

 トーナメント表だ。


 シャチ子はまだコンセントレートを高めている最中だし――


「メイはシャチ子のそばにいてあげてて。僕が見てくるよ」

「がってんです先生! お達者で!」

「そこは行ってらっしゃいでいいかもね」

「いてら!」

「行ってきます」


 屈強な男たちに分け入ってなんとかトーナメント表の前にたどり着く。


 参加者は64人。


 組み合わせはプリムが神託で決めた。と、係員から説明が入った。


 この町で一番の権力者の決定だ。誰からも文句は出ない。


 頂点を目指すサバイバルバトル。


 全6回戦。3回戦までは闘技場のフィールドを分割して八試合が同時に展開される予定だそうだ。


 ベスト8が決まってからは、フィールド中央で一試合ずつ。時間無制限の一本勝負。


 すべての試合を勝ち抜いた者には、栄光のゴールデンメイド服に袖を通す権利が与えられる。

 メイドの象徴。メイドルの称号とともに。

 神託は副賞だった。


 見れば左端に聖女直属筆頭メイドのチェーンの名前があった。

 右端には深淵蒼海からの刺客シャチ子と記されている。


 プリムの神託で決めた以上の意図を感じた。


 と、不意に後ろから僕の後頭部にもっちりした水蜜桃が当てられる。

 シャチ子だった。


「ふむ。この対戦表……セツナ様はどう見る?」

「チェーンさんからの挑戦状ですね」

「決勝まで勝ち上がらなければ、あの女とは当たらぬか」


 二人はトーナメントの端と端。負ければ即終了だ。

 シャチ子が覆い被さって耳打ちする。


「折り入って頼みがある。セツナ様」

「一試合ごとにシャチ子さんを万全な状態に戻せばいいんですよね」

「逆だ。それではチェーンと対等にならぬからな」

「……勝利を確実にするよりも、大切なこと……なんですか?」

「軽く手合わせしてわかったのだ。あの女は……チェーンは対等に渡り合える者を求めていると」

「友達になるために条件を揃えたいんですね」

「みなまで言うな。恥ずかしいではないか」


 猫耳メイドにぎゅっと抱きしめられた。

 シャチ子は続ける。


「決勝まではウォーミングアップだ。負けはせぬ」

「わかりました。じゃあ、決勝になったらシャチ子さんとチェーンさん、お二人の状態を『戻し』て、全力で戦えるようにするのってどうです?」

「おお、名案だな。そういうところが好きだぞセツナ様」


 僕の身体をそっと解放して、シャチ子は振り返るとメイの元へ。


「メイ様! 本日のアドバイスをお願いします」

「メイはあれですね! 名コーチですから! メイだけに!」

「ぷっ……くっ……ははっ! ははははははッ! メイ様の激うまギャグでお腹いっぱいです」

「そうでしょう。そうでしょうとも。さあシャチ子よ。誇り高き海魔族の猫耳メイドさんとして、世界を震撼させるのだ!」

「はいッ!」

 

 戦術面よりも緊張をほぐす方で、メイはきっちりコーチの仕事をこなしていた。



 闘技場に全選手が入場する。


 王都からの来賓や協賛している大商人の挨拶などなどスピーチが続いて、最後に本大会の実行委員長である聖女プリムが壇上に立った。


 屋根付きの来賓席から、ピンク法衣のプリムが現れて手を振るだけで客席は大盛り上がりだ。


 手渡された拡声魔導具でプリムは言う。


「えっとぉ。今日はみんなチェーンちゃんのために集まってくれてありがとね。救護班は王都から一流の治癒士がきてるから、死ななかったら全部かすり傷だし、楽しんでいってねぇ。それじゃ、本日の主役の入場ぉ!」


 うおおおおおおおおおおおッ! と、武闘会の参加者たちまで声を上げる。

 門が開いて巨大な黒馬にまたがった、特攻メイド服姿のチェーンが姿を現した。

 彼女の視線がぐるりと円形闘技場を一周し、最後にぴたりとシャチ子に標的を定める。


「相手にとって不足無しだぞコラァ!」

「フッ……やってやろうではないか」


 こうして、どきどきメイド(性別不問)だらけの武闘大会の幕が切って落とされた。

お読みいただき、ありがとうございます!


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