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46.ヨーソローヨーソロー

【前回までのあらすじ】

総力戦も最後はセツナがトドメの一撃

サンドワームに大勝利だ!

そして少年は砂の民の間で――


 サンドワーム討伐が成功して、東の砂海を砂上船が自由に航行できるようになった。


 紅い荒野との間に広がる谷を大きく迂回して、砂上船が鉱山町まで達する。

 地形と風の影響で、砂上船が行けるのは獣魔大森林の端までだが、そこでも積み荷のやりとりが行われた。


 遠く離れた砂海宮に、鉱山町の製品や鉄鋼が流入する。

 獣魔大森林産の霊薬素材も重宝された。


 オアシスの大都市は活気づき、砂漠の真ん中とは思えないくらいだ。


 僕らはデザートムーン号に揺られて、東の砂漠の民が暮らしていたオアシスを次々と復興させた。


 水源を涸れさせていたのもサンドワームだったらしい。もう大丈夫だ。


 村や町を追われて故郷を離れていた人々も、少しずつ戻りつつある。


 全ての集落を元に戻し、砂海宮に戻る。


 デザートムーン号の甲板で、踊り手サリヤはうやうやしく頭を下げた。


「このたびはサンドワーム討伐に、村や町の復興にご助力いただいてありがとうございます」

「いえ、困った時はお互い様……ですから」

「訊けば獣魔大森林や紅い荒野の鉱山町でもご活躍だったそうですね。セツナ様のお名前を出すだけで、すんなりと流通網を構築することができました」

「僕の名前が役に立つのなら、いくらでも利用してください」


 僕の後ろでメイとシャチ子が腕組みしてふんぞり返った。後方……何顔だろう。ともかく誇らしげにドヤる二人だった。


 サリヤが顔を上げる。

 口元は隠されていても、目は穏やかでホッとしたような雰囲気だ。


「犠牲は出ました。彼らの勇姿は忘れません。碑文に残そうと思います」

「そう……ですね。僕もそれがいいと思います」

「石碑の一番上にセツナ様のお名前を記したいのですが、よろしいでしょうか?」

「えっと……」

「貴方がこの地を訪れなければ、いずれ砂海宮もサンドワームによって涸らされていましたから。子々孫々、英雄がいたことを語り伝えていきたいのですわ」


 両手を組んで祈るように見つめるサリヤに、後ろで二人が「当然ですが?」「そうですねメイ様」と同意する。


 三人に囲まれた格好で、いいえとは言いづらかった。



 砂上船のドッグでスターティアラ号の改修が始まっていた。


 僕は今、そんな船の船長室にいる。


 二人きりで話がしたいとイレーナに呼び出されたのだ。


 メイには「罠です先生逃げて!」と心配され、シャチ子は無言の圧をかけてきた。

 けど、イレーナが「アンタたちだって時々海魔族語で二人だけしかわかんないおしゃべりしてるでしょ! なんなら話してる内容、セッくんにバラすけど?」と言って、黙らせてしまった。


 確かにメイとシャチ子が二人の時は、時々歌うような声で話してることがあるけど――


 メイとシャチ子って、何か僕に訊かれるとまずいことでも話してるのかな。


 そんなわけで、船長室の扉をノックする。


「どうぞ~開いてるわよ~」


 中に入ると――


 下着姿のイレーナがベッドの上に横たわっていた。

 眼帯もしておらず、青い瞳がぱっちりとしている。

 黒い下着はレースのあしらわれた妖艶さだ。


 大きな胸の先端を小さな布地が隠していた。他はもう、スケスケにできるところは全部そうしましたっていうくらいのきわどさである。


 小柄だけど腰はキュッとしていた。なのにおへそのあたりにはほんのり肉付いていて、なんとも女の子らしい体型だ。


 ガーターベルトにストッキングと、裸よりもエッチに見える格好だった。


 そっと扉を閉める。


「ちょお! ちょっと待ちなさいってばセッくん! 戻ってきてお願い!」

「服着てください」

「ちぇー。ちょっとした船長ジョークじゃないのぉ」


 いったいなんの冗談で、スケスケ下着でお出迎えなんてするんだろうか。


「はい! もう大丈夫。入ってヨシよ!」

「本当に着てますよね?」

「ええ! ちゃーんと着たから!」


 再び部屋の中へ。


 イレーナはコートを羽織っていた。一応、目のやり場に困ることはないかな。


「僕に話ってなんですか?」

「セッくんあのね……アタシの団の副団長にならない?」

「二人には訊かせられない話ですね」

「アタシは本気よ。セッくんの能力目当てっていったら元も子もないけど、ぶっちゃけ反則レベルだし、船との相性もばっちりだもの。アタシの指揮スキルと合わせれば、艦隊戦最強も夢じゃないし」

「お断りします」

「ええッ!? なんで? 大海原を駆け巡るドキドキわくわくの大冒険が待ってるのよ!?」


 イレーナは船長の机に海図を広げた。


「アタシのお祖父ちゃんもお父さんも海の男だった。二人ともずっと、この世界のどこかにある古代文明の遺産を探してたの。二人の夢をこのスターティアラ号に乗せて届けたいの。だけど……」

「海魔族……ですか?」

「セッくんがいてくれたら、連中の妨害なんて楽勝でしょ? 一緒に世界の謎を解きましょ? ね! いいでしょセッくん?」


 古代文明の謎……か。

 もしかしたら、僕らが探す「神様」につながっているかもしれない。

 けど――


「できません。僕にはメイの願いを叶える約束がありますから」

「どうしても……だめ?」


 少女の瞳に涙が浮かんだ。

お読みいただき、ありがとうございます!


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