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45.砂の大海戦

【前回までのあらすじ】

めっちゃでかいミミズVS四部族+船長の戦闘艦隊

ファイッ!

 東西南北の部族の戦闘艦、四隻がバリスタ攻撃を再開した。

 そちらの迎撃にサンドワームの黒い矢の雨が向けられる。


 イレーナがスターティアラ号の攻撃人員を甲板に呼び戻した。


「各砲座攻撃再開! 手はず通り無限連射よ! セッくんお願い!」

「任せて」


 僕は準備する。


 イレーナが号令を掛けた。


「撃てええええええええええええええ!」


 先陣を切り、サンドワームに肉薄するスターティアラ号からバリスタが一斉射。

 観測手の着弾確認と同時に――


 僕は船の時間を戻す。バリスタの巨大矢も装填済みの状態だ。


「撃てええええええええええええええ!」


 間髪入れずに第二射、三射と攻撃を続ける。

 他の船の援護もあって、サンドワームは迎撃が追いつかずバリスタの矢を受け続けた。


 今度はあの化け物が穴だらけになる番だ。

 バリスタの矢が刺さった場所から、黒いモノを吹き出してサンドワームはのたうち回る。


 大砂津波が巻き起こった。


 イレーナが全艦艇に指示する。


「回避いいいいいいいいいいいいい!」


 五隻が散会。だが、南の部族の戦闘艦が巻き起こった砂の津波に呑まれて横転した。


「船を捨てて待避! サリヤのデザートムーンで救援!」


 ギュオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!


 と、サンドワームが咆哮する。

 こちらを威嚇するというよりも、苦しんでいるみたいだ。


 その行く先には横転した南の部族の戦闘艦があった。

 このままじゃまずい。止められない。

 イレーナが叫ぶ。


「撃てええええええええええええええええええええええ!」


 少しでも動けるスターティアラ号に引きつけようというんだけど、ダメだ。

 サンドワームはこちらに見向きもしない。

 傷だらけになってもおかまいなしだ。


 バリスタで負った傷口から黒い膿のようなものが流れ出す。


 その膿はまるで生き物のようにうねっていた。

 同じモノを僕らは獣魔大森林でも見たことがある。


 フゥリィたちが「穢れ」と呼んでいたのとそっくりだ。


 メイの金色の視線から光が消える。


「我を呼ぶか……」


 持ち場を離れてメイは惹かれるように船の穂先に向かっていった。


「来るが良い……欠片よ」


 あと少しで南の戦闘艦を叩き潰す。というところで、サンドワームの動きが止まり、その場でとぐろを巻いて転身。


 メイの呼びかけに応えるように、スターティアラ号に向かってきた。


 イレーナが指示を出す。


「面舵一杯ッ! 回避ッ……間に合わないッ!?」


 シャチ子も操舵輪を回すが、巨体に見合わぬサンドワームの動きに先回りされた。


「メイ様! 危ないですお下がりください!」


 操舵輪から手を離し、シャチ子が飛びだそうとする。


「僕に任せてシャチ子さんはそのまま操舵を!」


 制して僕はメイの背中を追った。


 巨大な口を開いてサンドワームがスターティアラ号のへさきにつっこんでくる。


 翼人像のついた衝角の手前で僕はメイを背中から抱き留めた。


「メイ! しっかりして!」

「ハッ!? せ、先生!? メイはどうして……こんなとこに?」


 やっぱり意識が飛んでたみたいだ。

 目の前にはサンドワームの口が迫る。口内は黒い触手が硬化した、やじりのような歯が詰まっていた。


「イレーナさん! 突っ込んで!」


 僕の意思を汲み取って、イレーナはシャチ子に命じる。


「全速力でぶつかって!」

「バカな! メイ様とセツナ様がいるのだぞ!?」

「そのセツナの指示よ!」

「ぐぬぬ……どうなっても知らぬぞ!」


 僕は船の甲板に触れる。

 開いたサンドワームの口めがけ、スターティアラ号の衝角が突き刺さった。


 途端に衝角が歯で削られていく。


 けど、僕は時間を戻して再生させた。

 そのままグイッ……グイイイッと、衝角がサンドワーム口の中に押し込まれていく。


 ドスッと貫くと同時に、水風船が弾けるように黒いタールのような穢れが溢れ出た。


 メイが触手を伸ばして、その穢れを生み出す何かを掴んで吸収する。


 力の根源を失った巨大ワーム。だが、最後っ屁のように全身を鞭のようにしならせた。

 スターティアラ号に絡みつき、砂の海に沈めようとする。


「総員待避いいいいいいい!」


 イレーナの判断は早かった。

 僕は――


 巨大ワームの表皮に直接触れる。

 穢れを被って全身が重たい。


 けど、集中する。

 このワームの時間を……戻すんだ。

 一秒で十年。

 二秒で二十年。

 

 船を叩き潰されなくてよかった。

 こうして長く接触できる。

 巨体はみるまに縮んでいった。

 十秒――百年が経過する。


 僕の足下には一匹の小さなミミズが甲板にのたうっていた。

 苦しげだ。

 元はただのミミズだったのかもしれない。

 メイがそれを触手ツインテールでビタンと叩き潰した。


「先生、メイたちの勝ちです。油断禁物ですから」

「あっ……うん。そうだね」


 もし逃がしてもこの砂漠で干からびるしかないだろうし、生き残って百年後にまた、船を襲う怪物になるかもしれない。


「優しいのはいいことです。メイも先生に救ってもらいました。けど、もしメイが悪い子になったら……メイを同じようにビタンってしてください」

「急にどうしちゃったんだい?」

「な、なんでもねぇんですけどね! ちょっと……そんな風になった時のこと、想像力豊かな乙女でしたから」

「身体の方は大丈夫?」

「え? なんでです?」

「さっき、サンドワームから穢れを……」

「はい?」


 メイはきょとんとした顔だ。

 無自覚だったのかもしれない。

 ああ、それにしても……。

 疲れたな。

 さすがに……。


 遠のく意識の向こう側で、透き通る声を聞いた気がした。


 『スキルレベルが65になりました。範囲がさらに拡大しました』

お読みいただき、ありがとうございます!


『面白い』『続きが読みたい』と思ったら、広告下の☆☆☆☆☆から評価をいただけるとこれは……ありがたいッ!!


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