表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/117

41.船長はご機嫌斜め

【前回までのあらすじ】

砂漠の民と砂上戦闘艦デザートムーン号に助けられたセツナたち。

雇われ船長イレーナはどうにもツンケンした態度。

メイたちが原因ってマ?

 船を船員たちに任せて、イレーナとともにバザールの通りを抜ける。

 酒場のような建物に案内された。けど、お酒はなくて客は水煙草をふかしていた。

 僕らには冷たい飲み物と果物が用意された。

 久しぶりのバナナにメイは幸せそうだ。


 メイはそっとしておいて、僕がサリヤから事情を訊いた。


 現状は、良くないらしい。


 砂海宮は砂上船を使った陸の海路の重要中継地点で、東西南北の航路が交差する場所だそうだ。


 現在、東の航路は閉鎖中。サンドワームによって十二の村と町が滅ぼされた。

 このままだとサンドワームはいずれ、砂海宮にもやってくるかもしれない。


 東部砂海出身のサリヤがなんとか討伐しようとしているけど、巨大な化け物を相手に退けるので手一杯。


 他の地域の民たちも、私財をなげうってまで戦おうとはしていなかった。

 サリヤは最後に締めくくる。


「そこで海戦のプロを雇うこととなり、イレーナ船長をお呼びしたの」


 イレーナが胸を張る。


「そーゆーこと。ここなら大嫌いな海魔族とも顔を合わせることがないし……って、思ってたのに、なんなのアンタたち?」


 メイのバナナを剥く手が止まる。


「め、メイだって好きで来たわけじゃないが?」


 すぐにシャチ子も反応する……かと思いきや。


「ふああああぁ! 水煙草気持ちいいいい」


 ダメだこの女剣士。嗜好品に弱すぎる。


 ともかくイレーナは下船してからもずっと、メイとシャチ子に敵意を剥き出しっぱなしだ。


「どうしてそんなに海魔族を嫌うんですか?」


 イレーナはフンっとそっぽを向く。


「アンタに言う必要とかないしー」


 僕にも辛辣だ。サリヤが困ったように眉尻を下げた。


「イレーナ船長。お三方は私たちの故郷の一部を持ち帰ってくれた恩人です」

「砂上船と水瓶だけでしょ?」

「十分に宝ですから」

「アンタにとって恩人でも、アタシの事情を話す理由にはならないし」


 人には言えないこと、言いたくないことがあると思う。

 僕は小さく頷いた。察して踊り手は小さく息を吐く。


「セツナさんのお話が本当なら、アゼリア村は人が住めるほどに復興しています」


 スッと席から立ち、サリヤは舞うように僕に頭を下げた。


「どうかサンドワーム討伐のあとで、各地のオアシス復興をお願いできないでしょうか? 修復士様」


 僕らは王都に行かなきゃならない。

 急いだ方がいい。


 けど――

 神官エビルは僕らが死んだと思ってるはずだ。

 そもそも砂漠に刺客を送り込んでもこられない。


 なによりメイが満月みたいな瞳をキラキラさせて、僕の顔を見つめていた。


「ええ、構いませんよ。むしろ協力させてください。この砂漠で干からびなかったのも、旅の鋭気を養えたのも、砂上船と巡り会えたのも、あのオアシスの村があったおかげです。僕らは皆さんに恩があります」


 メイは「さすが先生。もはや神……」とぽつり。

 イリーナは口をへの字にした。


「ちょっとサリヤ。何勝手に決めちゃってるのよ? 復興より先にあのデカブツを倒すのが先じゃない? 戦力不足を補う方法、見つかってないわよね」


 僕もサリヤに視線を向けた。彼女は悲しげな瞳になる。


「他の部族は東方砂海の悲劇が、この砂海宮でも起こるとは考えていないようです」

「せめてもう一隻、戦闘艦があればアタシの指揮スキルで連係攻撃ぶち込めるのに」


 勝つための作戦はあっても、現状では実現不能。

 僕のスキルで村や町を戻しても、サンドワームを倒さない限り砂の海に平和は訪れない。


「討伐のお手伝いもさせてください。僕らもアレに追い回されましたから」


 サリヤがハッと目を丸くする。


「それはいけません。修復士様を危険な目に遭わせるわけには……」


 ずっと水煙草を楽しんでいたシャチ子が豪快に笑う。


「はっはっは! この水煙草という文化が気に入った。私も手伝おう」


 メイも触手ツインテールを万歳させる。


「もちろんメイもですとも!」


 イレーナはムッとした。


「ま、好きにしたら。けど、アタシの足を引っ張るのだけはやめてよね。海魔族がどうなっても、アタシ……助けないから」


 席を立ち酒場から出て行ってしまう。


 理由は教えてくれないけど、この嫌いっぷりは徹底してた。

お読みいただき、ありがとうございます!


『面白い』『続きが読みたい』と思ったら、広告下の☆☆☆☆☆から評価をいただけるとこれは……ありがたいッ!!


応援よろしくお願いいたします~!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ