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38.地下室に隠された秘密

【前回までのあらすじ】

海魔族の追っ手も手出しが出来ない砂漠の真ん中で、オアシスの村を復活させたセツナ。

ここなら無限に住める! と、思うのだが……。

メイを人間にするという目的を忘れてしまうのだろうか?

 地下を降りる。

 石造りの地下室だ。


 カンテラで壁を照らす。絵文字が刻まれていて、どことなく遺跡っぽい。


 シャチ子がそっと壁面を指でなぞる。


「ふむ。この絵文字は古代文明のものだ」

「わかるんですかシャチ子さん?」

「同じようなものを海魔族の神殿でも見たことがある。おそらく、かつてこの砂漠は海だったのだろうな」


 気候変動か天変地異か、砂の海の底にはもしかしたら古い都市が埋まっているのかも……と、女剣士は感慨深げだ。


 階段を降りきると石室に出た。

 広さは町の教会の聖堂くらいある。

 真ん中に船らしきものが鎮座している。


 メイが近づいてぺたぺたと触った。


「し、死んでる……」

「そうだね。船みたいだけど全体的にボロボロだし、なんだかすごく古いモノみたいだ」


 シャチ子が腕を組む。


「どうやら遺跡から発掘した古代船のようだが、補修をした形跡があるな」

「補修って、この船を使うつもりで誰かが直してたってことですか?」

「いや、補修された部分ごと一度壊されたようだ。この村の住人が実際に掘り出した古代の遺物を、今の技術と融合させていたのだろう」


 壊れ方から「何者かに襲われたのやもしれぬ」とシャチ子は結論づける。

 メイが不思議そうに触手ツインテールで「?」を作った。


「なぜなに質問コーナーのお時間がやってまいりました! 先生! どう思いますか?」

「どうって、なにがかな」

「ぶっぶー! 質問に質問はNGですが? このお船はですね、メイの名推理によるところによりますと、オアシスでちゃぷちゃぷしていたに違いないのだっだ」


 エヘンと少女はなだらかな胸を自慢げに張った。

 確かに、ここらへんで船を浮かべられそうなのはオアシスくらいだ。


 たしかにオアシスは

 船遊びをしていて大破するようなことってあるんだろうか。


「メイは遊びたいです!」

「そうだね。ちょっと修復してみよっか?」


 僕は大破した船に触れて時間を戻す。

 百年ほど戻すと――


 船は原型を取り戻した。

 しかも――


「う、浮いたのですがーッ!?」


 船底が地上から拳二個分くらい浮上している。

 メイが飛び乗って船の上でジャンプしたが、びくともしない。


 この砂漠が「砂の海」と呼ばれているのを思い出した。


「メイ、それにシャチ子さん。もしかしたら、この船で砂漠を渡れるかもしれないよ?」


 女剣士は腕組みする。


「なるほど砂上船か。して、どうやってこの船を外に出すのだ?」

「ええと……それなら……」


 パーツに分解して外に運ぶことも考えたけど――


 僕らは一旦外に出る。

 屋敷の裏庭まで移動した。丘陵みたいになっていて、砂の小山ができている。


 地形を百年くらい「戻し」た。


 砂に埋もれた石の扉みたいなものが姿を現す。


「おー! 先生! この扉にレバーありますが?」

「引いてみてメイ」

「よいしょおおおおおお! よっこいせー!」


 触手ツインテールでぐいっとレバーを動かすと、ゴゴゴゴっと音を鳴らす。


 百年前に大破して収納された砂上船なら、その当時まで遡れば出入り口も使える状態で元に戻るはずだ。


 読み通り石の扉が開いた。


 さっきぶりで砂上船が姿を現す。

 メイが笑顔を弾けさせた。


「これはきっと天の恵みです! 我々は翼を得た! 行きましょう先生、シャチ子!」


 メイが砂上船に飛び乗り夜空の星を指さした。


 シャチ子は少しだけ残念そうだ。


「ここにいる間は平和だったのだが……メイ様が進むと決めたなら私はお供するのみだ」


 僕も頷く。


「まずはこの船の動かし方を覚えないとね」



 こうして、一週間ほど砂上船の慣熟訓練を行った。

 シャチ子に操船の手ほどきをしてもらって、僕だけでもある程度動かせるようになる。


 この船の特徴は魔晶石を使った浮力だ。推進装置もあるけど、これだけだと速度はあんまり出ないっぽい。


 けど、風を帆に受けた時には、空でも飛ぶんじゃないかと思うほどスピードが出た。

 三人が乗って、さらに食料や水を数日分積み込んでも十分な大きさだ。


 まあ、時間を戻せば食べかけや飲みかけの食料は元に戻せるんだけど。


 夜には星の位置から砂漠を抜けて王都に向かう方角をざっくりと割り出した。

 地図によれば、砂の海の彼方に神殿都市という大きな町があるみたいだ。

 王都はさらにその先だけど、まずは神殿都市を目指すことにした。


 出発は次の満月の翌日。

 メイの波動がピークを迎えたその直後だ。

お読みいただき、ありがとうございます!


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