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12.次の目標は――

【前回までのあらすじ】

港町を襲った暴風雨に立ち向かうセツナ。「時間」スキルで壊れた箇所を修理しまくり、町の人たちから賞賛と感謝を受けとった。

スキルレベルも上がり、ついには土砂崩れで埋まった鉄道橋を元通りにしてしまうのだった。

 目が覚めると自宅のベッドの上にいた。

 体を起こせばメイが胸に飛び込んでくる。


「先生が生き返ったー! メイはもう心配で心配で心配でしたから!!」


 泣きじゃくる少女の頭を「いい子いい子」と撫でた。

 外はもう暗くなりだしている。


「ごめん。心配かけて」

「先生が死んじゃったらメイはとても悲しみの渦に吸い込まれて泡となり消えてしまうところでした」


 海魔族らしい(?)表現なのかな。

 これからは自分の許容を超えた力を使う時には、気をつけないといけない。


「橋を直したあとどうなったか教えてくれるかい?」

「は、はいですよ! コホン。むか~しむかし、あるところに素敵な先生とクラゲのお嬢さんがおりました。二人は白い砂浜でドラマチックに出会ったのです」

「そこまで遡るの!?」


 クラゲのお嬢さんってメイだよな。一緒に暮らしている間、ずっと不思議には思ってたけど、ツインテール触手はクラゲのものだった。

 海魔族も色々だ。


 メイは僕が気絶していた間のことを語ってくれた。


 お見舞いの品が山ほど持ち込まれて、リビングダイニングが大変なことになってるらしい。

 感謝の手紙もたくさん届いた。

 教会からは感謝状が贈られて、僕はすっかり町の英雄になったんだそうな。


 意識を失ってたから実感はないけど、たくさんの人の役に立てたならよかったと思う。

 鉄道公社の王都本局にも魔導通信で事情が説明された結果――


 驚きのプレゼントが用意されていた。

 白金色の金属プレートだ。僕とメイの名前が並んで刻まれている。


「先生とメイにって、プラチナフリーパスだそうです! 有効期限が死ぬまで! 死んだらもったいないです! 死ぬまで乗り鉄!」


 メイが言うには、鉄道公社の旅客列車に乗り放題になるらしい。しかもこのフリーパスはプラチナというだけあって、空いてさえいれば一等客席にも使えるんだとか。


「そんなにすごい旅券、貰っちゃっていいのかな?」

「あの若造さんも駅長さんも、これでは足りないくらいかもってほざきおりました」

「ほざかせちゃだめだよメイ。言ったでいいから」

「はぁ~人間語むっず」


 この場に公社の人と駅長がいなくて良かったと思う。

 いや、もしかしたら手遅れかもしれないけど。

 僕が気絶してる間のやりとりは、全部メイがしてくれてたんだし。


 白金色の旅券。

 これがあれば、大陸中のいろんなところに行ける。

 定期船の海路と組み合わせると、行けないところなんて無いんじゃないか?


「先生! 新婚旅行はどこですか!?」

「新婚旅行って……」

「メイは温泉がいいです! 茹でクラゲになっちゃうかもですけど!」


 触手を温泉マークみたいにふにゃふにゃ昇らせて少女は両手でほっぺたを包むようにした。


「温泉ぷかぷかして、フルーツ牛乳をぐびっとしたら、温かいオフトゥンで先生といちゃいちゃスヤーですね! わかります!」

「疲れが吹っ飛びそうだね」

「ですですよ! ずっと働きっぱなしでしたから!」

「落ち着いたら旅行もいいかもしれない」

「嬉しいです! これはもう、休むためにこそ明日からもいっぱいお仕事しましょうね! あ! 先生は万全を期してどうぞ」


 旅行ももちろんだけど――


「プラチナフリーパスは神様探しにも活用できそうだね」

「神様の最寄り駅がわかればご自宅にとつれますのに」


 言われてみれば神の居場所なんて見当も付かない。


「じゃあ、情報を集めよう。次の目的地は王都がいいかもしれない。人の多いところには、きっと知識もたくさんあると思うんだ」


 王都には大図書館や法王庁があるって、孤児院のシスターが言ってたっけ。

 メイが不安そうになった。


「王都に行くますか? こ、この城は!? 空城の計ですか!?」

「すぐには行かないし、情報を見つけたら戻ってくればいいんじゃないかな。あっ……でも、何ヶ月も留守にしたら家賃未払いってことになっちゃうかも」


 メイが首を左右に振る。


「その心配には及びません。なぜならこの家の大家さんが、くれました」

「くれましたって……なにを?」

「土地と建物の権利書ですが。町のみんなからのプレゼントだってミランダとガンドがいうてはりました」

「……そっか」

「あれ? 元気ないですか?」

「ううん。びっくりしただけだよ。なんだか嬉しいね」


 これまで帰る場所といえば孤児院だったけど、今日からはここが僕らの家なんだ。

 涙が出そうになったのを我慢する。

 と――


 メイが僕の頭をぎゅっと腕と触手で抱きしめた。

 小さな胸を押し当てるようにしてくる。

 なんだかミルキーな匂いだ。

 ぷにっとした感触にちょっと、ドキドキする。


 メイはそっと優しく、僕の頭を撫でてくれた。


「いい子いい子。先生はとっても偉いのですから」

「ありがとう。メイがいてくれたおかげだよ」

「それほどでもあります。お夕飯はごちそうにしましょう。市場のみんなが差し入れいっぱいですし」


 明日からまた修理屋……ううん、修復士として頑張ろう。

 落ち着いたら王都へ行く準備もしないとな。

お読みいただき、ありがとうございます!


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