第八十一話 海賊共
えー、投稿日に熱中症になって昨日まで寝込んでおりました。結果ここまで遅れてしまい申し訳ない。
皆様も水分、塩分の補給をお忘れなき様に
アラスターは解放軍の20人ほどの部下を連れて海賊のいると噂されている島に辿り着いた
島は静まり返っていて波が砂浜に打ち上がる音と木々のざわめきしか聞こえなかった
「アラスター様、本当にここに例の海賊共がいるのですか?」
部下の1人が訝しげにあたりを見回す
しかし、アラスターも噂を集めて最も可能性の高い島に来ただけで確証はなかった
「ここはハズレかもししれんね。島を一巡して何もなければ第二候補の島へ向かいましょうか」
そう言って鬱蒼と生い茂る草木をナイフで切り払いながら進む
しばらく歩いて島の裏側についた
しかし、ここまでに人はおろか居住地の痕跡すら見当たらなかった
「ふむ、やはりここはハズレか。では、引き返しましょうか」
そう言ってアラスターは踵を返そうとすると一人の部下が声をあげた
「アラスター様!こちらをご覧ください!」
彼の声の方へ向かうとそこには半ば洞窟に隠れるように入江のような場所が広がっていた
そこには、鉄板を貼り付けて改造された数隻の漁船や旧式の上陸艇があり、中には帝国軍の紋章が刻まれた小型の駆逐艦も一隻見えた
「これは既に沈んだはずの駆逐艦「ロータス」……?明らかに帝国軍のドックではなさそうだ」
アラスターたちが洞窟を覗き込んでいると後ろからガサガサと草木を掻き分けてこちらへ向かってくる音が聞こえた
部下たちに目配せすると彼らは背負っていたライフルを手に、覗き込んでいた洞窟を背にして半円状に広がった
ガサガサという音が大きくなり草の陰からゾロゾロとライフルや剣を持った連中が俺たちを取り囲むように出てきた
彼らの身なりはこんな島に住んでいるにしては整っており中には帝国軍の軍服を着崩しているものもいた
そんな一触即発の状況で俺たちが彼らを睨んでいると俺の目の前の一団が割れるように道を作った。その道をブーツを履きサーベルを腰に吊った初老の男がゆっくりと歩いてきた。
彼は俺たちの前まで歩いてくると胸ポケットから葉巻を取り出して優雅に火をつけて息をはいた
「一本いるか?」
彼は葉巻をもう一本手に取り俺の目を見て問いかけてきた
「いや、遠慮しておこう」
「そうか」
彼はやれやれとばかりに肩をすくめて葉巻を胸ポケットに戻し、サーベルを抜いた
「最後の一本を遠慮するとは……。嫌煙家なのか?」
「生憎と不健康なことは嫌いでね」
俺の返答に彼は眉を上げた
「それで?帝国の尖兵共がこの島に何しにきた?少し前からコソコソと嗅ぎ回っているのは知っていたが用があって来たんだろ?」
彼は葉巻を一度口元から外し煙をはき出して疑問を口にした
「単刀直入に言って、貴殿らと交渉をしにきた。失礼とは思うが、貴殿がこの一団の長か?」
「いんや、俺は首領の補佐だ。交渉って言うことならお前たちを首領の所へ案内するのもやぶさかではない」
彼はそう言って周囲の部下たちに目配せすると彼らはライフルを構えたままこちらへにじり寄って来た
「だが、武器や爆薬の類は預からせてもらおう。貴様らが侵略者の手先でないと証明されたわけではないのでな」
然もありなんと思い俺が武器を渡そうとすると部下の一人が声を上げた
「ふざけるな!我々が貴様らに道を示してやろうと言うに、武器を預けろだと?高々海賊風情が調子に乗るなよ!」
俺が慌てて振り返りその部下の口を押さえようとした時、ズドンっと一発の銃声がこだました
「ぬぅ……。」
声にならない声を上げて抗議した部下は倒れ伏した
その脳天には綺麗に風穴が開いておりどうにも助かりそうになかった
俺がもう一度かの男の方に振り返ると単発式のピストルをしまう所だった
「それで、他に文句のある奴は居るのか?」
信じられなかった。あの男が今の一瞬でピストルを抜いて寸分違わず部下の脳天を撃ち抜いて見せたのだ
それを見た部下たちは慌ててライフルを地面に捨てた
無理もない、彼らは地下に潜らせて裏工作をさせているだけで兵士の質としては民兵と変わらない。
俺もため息をついて武器を捨てた
「よし、お前ら武器を回収しておけ。貴様らはついて来い」
そう言って男は俺たちを連れて島の奥へ歩き出した
そうしてしばらく森の中の獣道を歩かされると洞窟が見えて来た。
すると男がこちらへ振り返った
「貴様ら、一度服を全て脱げ。ナイフでも隠し持っていては困るのでな」
その言葉に部下たちは一瞬たじろいだがさっきの口答えした者の末路を思い出したのか渋々と言った風で服を脱いでいった
彼らは服を隅々まで確認すると頷いて俺たちに服を再び着るように言った
「では、ついてこい」
そう言って男は洞窟の中へ入っていった
男についていくと洞窟の中は思いの外綺麗で王の謁見場の様な立派な所へ出て来た
「貴様ら!跪いて、ここで待て!」
そう言い残して男は奥の部屋へと消えて行った
俺は慌てて平民出の部下たちに片膝で跪く方法を教えて彼の帰りを待った
「姫様!頼みますから会うだけでも会ってください」
「いや!なんで私の部下たちを傷つける人達の話なんて聞かないといけないの!?」
「そうおっしゃいますな…。彼らにも事情というものがですな」
奥の部屋からはさっきの初老の男の声と可愛らしい女の子の声が聞こえてくる。
まさか……。いや、そんなことはあるまい。
そう思い、俺は頭を振って妙な考えを振り払った
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