第七十九話 ありがたーいお話
Xでも投稿していたようにデータが飛びましてこんな時間になってしまいました。すみません
「いけね、また言い過ぎちまった」
バラト大佐はポリポリと頭を掻きながら肩をすくめた
「大隊長、その悪癖のせいでこんなところまで隊ごと飛ばされた事を忘れないでください」
コリン少佐は口をへの字に曲げた後ため息をついた
「おめえらにはほんと、迷惑かけるな」
「我々も好きでついて来てるんです。謝らないでください」
そう言ってコリンは首を横に振った
俺たちはその会話を横目にヘレナの元に駆け寄った
「大丈夫だったか?」
「なんて事ないよ、アイツがあれ以上近づいてたらぶん殴ってた」
ヘレナの言葉を聞いて俺たちは顔を見合わせて冷や汗を流していた
流石に一介の上等兵が新任とはいえ少尉を殴ろうもんならその場の判断で軍法会議の扉も見えてくる。そんなことにならなくて良かった
「お前さん等も気の毒だったなぁ。あんな家名しか誇るモノのないバカに絡まれてよぉ」
そう言ってバラト大佐は俺たちの肩を叩いた
その手は先ほど小隊長の肩を握り潰さんばかりの時とは違って労うような優しさがあった
「報告は終了したのですか?」
俺が肩を叩かれながらバラト大佐に聞くと彼は深く頷いた
「コリン、コイツらにさっき決まったことを伝達しとけ。俺は部隊全体の再編作業に入るわ」
「はっ!お任せください」
コリンの返事を聞いてバラト大佐は手をひらひらとさせながら詰所の方に戻って行った
「よし、分隊員はこれで全員か?」
そのコリン少佐の言葉を聞き俺たちは横一列に並んだ
「ドグ伍長とヤウン伍長がまだ戻りませんがそれ以外はこれで全員です」
俺が手を背にして返答するとコリン少佐は頷き手元のバインダーの文字を指で追いながら俺たちにこう告げた
「そうか、まぁ最悪分隊長のお前がいればいいのだが、部隊の再編過程で貴様らの分隊の増員が決まった」
「増員ですか?」
「そうだ、前回の戦闘でバカにならん数の下士官や兵士が離脱した。その穴埋めの中で今回功績の厚い貴様の隊に人員を充当すべきだという声が上がってな」
なるほど、たしかに俺たちは自分で言うのもなんだが後続の中隊を救った立役者だ。
それなら人員を増やして作戦の幅を広げようとするのも頷ける
「貴様らの隊には面識のあるヌーベル伍長の隊をそのまま入れる。これは彼らからの要望でもある」
おぉ、彼らなら一度共闘しているから変ないざこざもないだろう。配慮に感謝だ
「しかし、それでは部隊の人数が15人となって分隊の規模を超えませんか?それにヌーベル伍長まで入るとなるとすでに我が隊は小官を入れて4人の伍長がいることになりますが」
俺の問いに彼は手元の紙をめくりながら答える
「まぁ、臨時の編成だからな。多少の凸凹は仕方ないと割り切ってくれ。そして、貴様を臨時に軍曹待遇とする」
「はい?」
俺は思わぬ答えに思わず聞き返してしまう
「あぁ、軍曹待遇と言っても実地での権限が増えるだけで給金や福利厚生に変化はない。大隊全体の充足率が戻り次第貴様は伍長に戻る」
なるほど、多少なりとも指揮を取れる人間が必要らしい
だが、こんなガキンチョにそれを任命するほど切羽詰まっているらしい
「了解しました。期待に応えられるよう精進いたします」
「よし、頼んだぞ。ヌーベル伍長はこの後合流予定だ。その後に任務についても彼に話してあるそちらで共有してくれ」
「はっ!」
俺が敬礼すると横の二人も続く、コリン少佐も軽く敬礼を返すと詰所の方に戻って行った
「すごいな、ルーク。いやルーク軍曹と言ったほうがいいか?帝国でもその年齢で軍曹待遇を得た奴はいない。大抜擢だ」
「でも、あれだけの功績をあげたんだもの、二階級特進してもいいくらいじゃない?」
「いや、正直何も変わらないと思う。下手に責任増やされただけろこれ」
俺が肩をすくめて言うとルイスはそう言うなよとばかりに肩をポンポンと叩く
「それだけ裁量権が増えたってことだろ?もっと喜べよ」
コイツめ他人事だからって気楽な顔しやがって副官にでも推薦してやろうかな
俺がどうやってルイスにしっぺ返し食らわせてやろうかと悩んでいると遠くから数人の歩いてくる音がした
「ルーク殿!聞きましたか?」
ヌーベル伍長は後ろに部下を従えて手を振りながらコチラへ歩いてきていた。
次回更新は火曜の予定です




