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第六十五話 不信感

「俺たちだけで前進?本隊は待たなくていいのか?」

俺が問うとトレロは神妙な顔で頷いた


どういうことだ?前線で何があった?俺たちだけでも即時充当が必要なほどに前線のダメージは著しいのか?


「おい、ルーク。ちょっとこっちへ」

俺はルイスに服の裾を引っ張られた


「ベル君、ちょっと彼の話し相手をしていてくれ」

「うん、わかった」


そう言うと、俺とルイスで街道から少し離れた

「どうした、ルイス」

「本当に、あのトレロってやつを信じていいのか?あの胡散臭い奴の手下なんだろ?」


そう言われれば確かに、バラト大佐ならもっと信頼のおける奴を伝令に出すはずだ。ポッと出の傭兵に前進の伝令など任せるだろうか?


「それに、俺たちが前進して何になる?一昔前の軍勢の少ない頃ならいざ知らず、大勢が戦場に関わるようになった今の戦闘に4人で何ができる?」


そう、その通り過ぎて何も言えない


「しかし、だとしたらあのトレロって奴の目的は何だ?交渉は成立したはずだ。これ以上、傭兵どもに何かするつもりが?」


俺が思いついた疑問を口にするとルイスも腕を組んで悩み出した


「わからない、だが額面通りに受け取るのは危険だ。完全に奴らを信用するわけにもいかない」

「うーん、ならどうすればいいと思う?」


ルイスは静かに言った。

「一回、羽交締めにして情報を吐かせよう」

俺は(たしかに〜)と一瞬思ったが慌てて頭を振った

「いやいや、しかしあの部族の連中を拘束したとあってはノイツェが黙ってないだろ」

「そこを、考えてみたんだが……。組織ぐるみで俺たちをどうかしようってならハナから敵だ。逆にあのトレロの独断専行なら相手の責任だ」


おぉ〜、たしかに。どちらにせよ拘束してもせずとも結果は同じか

「わかった、やろう。あいつ自身は気をつけないようにしよう」

「そうだな」


俺はルイスに作戦を説明する

「俺が戻って気を引く、ルイスはアイツの騎馬に石を投げつけて暴れさせてくれ」

「まかせろ」




「やぁ、待たせたな」

俺がトレロのところに戻るとベル君とトレロは馬の話で盛り上がっていた

「え、さわっていいの!?」

「あぁ、いいよ。そぉーっと触ってくださいや」


ここまで仲良くなっているとこれから捕まえるのが申し訳ないが善人かどうかと任務に忠実かどうかは関係ないだろう

俺が左手をスッと上げると馬の背後にこっそり回っていたルイスが石を構えるのが見えた

「ベル君!離れて!」

俺がそう叫ぶとベル君はびっくりしたように手を引っ込めた

と、同時に馬に拳大の石があたり馬が後ろ足で立ち上がった

「な、なんだ!?」


トレロが叫ぶのと同時に俺はトレロの足を横にあったスコップで殴りつけた

「イッテェ!」

トレロが叫び前屈みになった隙をついて上半身に飛びかかった

しかし、相手も伊達に傭兵を名乗っていない

俺のことを受け流して背中の方に投げ飛ばした


「何のつもりだ!」

「問答無用!」

トレロの叫び声に被せてルイスが土手っ腹に蹴りを叩き込む

完全に不意打ちが決まったようで数歩よろめいた


その間に投げ飛ばされた俺が戦線に復帰して背後から拾ってきたスコップの腹の部分ではたいた

「ガッ」

短く声を上げると

トレロはばたりと力なく倒れた


「え?え?」

ベル君はまだ理解が及ばないようだ


「実はな、怪しい点がいくつかあったんで拘束することにしたんだ」

俺が説明するとベル君は驚いたような顔をした

「で、でも。トレロさんは優しい人だったよ。そんな事するようにはとても……。」


ベル君の困惑の声に俺はそっと答える

「優しいのは彼の本心かもしれないが彼らにとって個は必要ないんだ。任務の妨げになるからね。仮にアレが彼の本当の姿だとしても心苦しく思いながら任務を遂行するだろうさ」


俺が言うとベル君は驚きに目を見開いたあとしょんぼりとした

「そ、そうだよね。ごめん」

「いやベル君は悪くないさ。これから少しずつ学んでいけばいい」

そう言って俺はベル君の肩を叩いた


そうして俺がベル君を慰めている間にルイスはトレロをロープで縛り上げていた




さて、尋問開始か

今週はちょっと信じられないぐらい忙しいので次回の更新は来週の火曜日になりそうです。スミマセン。

来週は2回以上は更新したいなぁって思っているのでお許しください

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