第六十四話 次
ルーク君視点に戻って参りました〜
俺たちはトリノ爺さんの家にあった地図を元に森を通り抜けたところにある街道まで来ていた。
ドグとヤウンは騎馬傭兵のノイツェとの交渉結果をバラト大佐に伝えるために森の中で街道に出たところで別れた。
「俺たちが一番乗りか?」
俺が辺りを見回しながらため息をつく
「そうみたいだな、まぁバラト大佐の本軍は数を少し減らしたとはいえ大所帯だ。しばらくは野宿で待ちかもな」
ルイスはすでに腰掛けに良さそうな石を街道脇に見つけて座り込み、待ちを決めるつもりだ
「野宿なら今日は早めに食事にしようよ!キャンプって夢だったんだぁ」
ベル君は軍隊の規律に少し疲れていたのか久々に身内だけで足を伸ばせるのが嬉しい様だ。
「なら、アタシの出番だね。野宿はアタシの十八番だよ」
ヘレナはしなやかに筋肉のついた腕に力こぶをつくりながら爽やかに笑っている
みんな各々でやる事を見つけて実行する。有能な連中だ
俺がそんな事を思っているとルイスが近づいてきた
「物思いに耽ってるとこ悪いが此処はパンドラ領内だ。いつ戦闘になってもおかしくない」
「あぁ、わかってるさ」
ーーー嘘である。森にいた期間が長すぎて戦闘区域に入っている事を忘れていたのである
俺は動揺を悟られない様にさもわかっていた風で肩をすくめて見せる
「軽いタコツボくらいは掘っておいた方がいいだろうな」
ルイスが街道沿いを指刺しながら掘る位置の図案を頭に描いている様だった
「ベル君、手伝ってくれ!」
「うん、わかった!」
俺がベル君を呼ぶと嬉しそうにコチラにかけてくる。おうおう、うい奴め
それから、俺とルイス、ベル君でタコツボ掘り、ヘレナはテントの設営や周囲の探索とそれぞれの仕事を始めた
それから数時間俺たちは黙々と作業を続けていると森の奥から馬蹄の音が響いてきた
「総員!ライフル構え!」
拠点に残っていた俺、ルイス、ベル君、ヘレナはタコツボの中に入り、スコップを放り投げて側に立てかけてあったライフルを握り馬蹄の音の方へ構える。
森の奥に目を凝らすとライフルを背負った騎馬兵が一騎、コチラに向かってかけてくる
俺とルイスは顔を見合わせると、騎馬に向かって誰何した
「何者か!部隊と所属をのべよ!」
騎馬兵は街道脇のタコツボを認識していなかったのか驚いた様な顔で手綱を引き、馬を止めた
「コチラはフーザイト国、ルノー族、族長ノイツェ様の先駆けトレロである!そちらは何者か!」
あぁ、あのノイツェの先駆けか。ならコチラも名乗っても問題ないな
「帝国植民地軍補給大隊バラト大佐の分遣隊ルーク伍長である!」
俺の名乗りを聞くとトレロはホッとした様な顔を浮かべると馬から降りてコチラに近づいてきた
「ルーク伍長とはアナタであったか、バラト大佐からの伝言を預かってきた」
バラト大佐から伝言?ドグとヤウンはもう交渉内容を伝えたのだろうか?
「バラト大佐は今回の交渉結果に非常に満足なさった様で近々辞令を出すそうです」
辞令?昇進だろうか?現場での昇進なんてどうせ碌な事にならない。それに、そんなの直接言えばいいはずだ。わざわざ伝言を頼む理由はなんだ?
「それはありがたい事ですが貴方はわざわざそれを伝えるために此処へ?」
俺がそう問うと彼はかぶりを振った
「もちろん、それだけではありません。内容としては大佐を待たずに今いる人員だけで前線に先に合流せよ。とのことです」
なるほど、今いる人員だけで前線へ……な……。
は?
次回の投稿はちょっと開きまして火曜日の朝に投稿予定です




