第六十話 帝国植民地軍
今回は帝国領カナリアのトップの話し合いになります。
帝国植民地軍を指揮する本部では副官であるブライ准将と長官を務めるオスカー少将は執務室で頭を抱えていた。
彼らが頭を悩ませているのは本国からの植民地駐屯軍の引き抜き要請だった。
ブライは禿げ上がった頭を撫でながらため息をついた。
「少将殿、これ以上本国からの派遣軍を削って現地徴兵組で賄おうとすれば反乱が起こりかねん。それに最近かなりきな臭いしなぁ」
ブライの苦言に対してオスカーは困ったように眉をハの字に曲げると唸った
「しかし、ここで出し渋っては本国の戦争に影響がある。本国が戦争に負けては植民地を保持したところで何の意味もあるまい」
現状、帝国領カナリアには「帝国領カナリア植民地軍」が計8個師団おり内1個師団は植民地からの徴兵、残る7個師団は帝国からの出向組だった。
帝国本国からはその内4個師団の提供を求められており、これに応じると出向組の戦力は半分以下になってしまう。
「にしても、本国も無理な戦争を始めた物ですな」
ブライがイライラとした風を隠そうともせず愚痴を吐く
彼自身もオスカーも左遷によってカナリアに出向しているので本国の将校達とは折り合いが悪い。愚痴も息をするように出る。
「そう言うな、本国の参謀将校共の見解によれば半年もかからずに終戦の見込みだそうだ」
オスカーは嘲るように笑いながら肩をすくめる
「それは、他国が横から参戦を表明しない場合に限ってのことじゃろうて。情報部のマヌケどもが秘密協定の情報すら抜けないとは思わなんだぞ」
ブライは頭を人差し指でコツコツと叩きながらため息をつく
オスカーも同意の意思を示すように大仰に頷く
「しかし、本国の無能ぶりを嘆いていても仕方ない。我々の理想としては提供する師団は2個師団のみとしておくのが妥協点ですな」
ブライの提案に対して頷きつつもオスカーはため息を吐いた
「だが、本国の要求は4個師団の提供だ。どれだけ三下参謀将校がヘマしようと本国には鬼才と名高いハラルト少将がいる。勝ちまで漕ぎ着けなくとも負けはあるまい」
オスカーは士官学校の同期の顔を思い浮かべる。
思ってみれば同じ少将でありながらどうしてここまで出世コースに差が出てしまうのか……。
しかし、全ては負けた派閥についていたがためなので自身の先見の明のなさを恨むほかない
「とにかく、こちらからは2個師団の提供に加えて物資の供出量を増やすことで手を打ってもらおう」
「ハハハ、足りない物資はまた植民地人を絞り上げますかな」
「そうしよう、奴らがどれだけしようと我らの懐は痛まん」
2人は顔を見合わせてニヤリと笑うとドス黒い笑みを浮かべた
左遷された彼らにとって唯一の楽しみは自分よりも下のもの達を痛めつけることなのだから
次回投稿は水曜朝8時過ぎを予定しております。よろしくお願いいたします。




