第五十五話 あの人
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縛り上げられた爺さんは胡乱げな目で俺たちを見上げていた
「それで?こんなジジイを縛り上げて何がしたいんじゃ?」
「あのなぁ?俺たちも爺さんが突然発砲なんてしなければこんなことになってないだ」
爺さんの抗議に対して俺は肩をすくめながら床に座る爺さんの前に胡座を書いて座った。
「ケッ、帝国兵の言うことなんぞ信じるものか」
「なんで、そこまで帝国兵を恨む?やっぱりパンドラの人間だからか?」
俺がそう言うと爺さんはこちらを見て小馬鹿にしたように薄い笑いを浮かべた
「ワシがパンドラ人じゃと?ワシは生粋のカナリア人、トリノ・コルネイアだ」
ん?コルネイア?どこかで聞いた苗字だ。
だけど、どこで聞いたのだったか
俺が既視感のある名前に頭を捻っているとヤウンが声を上げた
「えっ!まさか、賞金首のトリノ・コルネイア!?」
そう言うや否やドグとヤウンはライフルを構え直した
「え?え?賞金首?」
ベル君が爺さんとヤウンを交互に見て状況が飲み込めていないようだ。
対して、ルイスとヘレナは我関せずといった風で爺さんの家の周りを散策しに行った。
にしても、賞金首とはどう言う事だろうか?
こんな爺さんが大犯罪者?
実は怪人二十面相のように外見から年齢まで変えられるタイプの怪盗なのだろうか?
「あぁ、コルネイアって苗字は根強くゲリラ活動を続けてるカナリア人の一族なんすよ」
「ハッ!ゲリラ活動じゃと?まだお主ら帝国とワシらカナリア共和国との戦争は終わっておらん!」
ヤウンがわけ知り顔で説明しようとすると爺さんが間髪入れずに声を荒げる。しかし、ヤウンは気にも留めない風で話を続ける
「たしか、カナリア共和国軍人のウッツ・コルネイアのご子息っすね」
そうか、アラスターの講義に出てきたウッツの息子か。
ウッツはたしかカナリア共和国の八人の連隊長の内で唯一パンドラへ自身の連隊の大半を逃がしている。それが逃走なのか作戦なのかはどの資料にも残っていないそうだ。
にしても、まさか資料でしか名前の見たことのない人物の息子が目の前にいると感慨深い。
前世でも徳川さんちの子孫の人たちをテレビで見て、全く関わりがないのにスゲーと思っていたので、まぁミーハーなんだろう。
俺たちが爺さんの素性を共有している最中、爺さんは油断なく当たりを見回して俺たちの隙を窺っているようだった
「それで、どうするんすか?自分やドグは立場的にこの人を大隊長の所に連れて行くのが筋なんっすけど」
うーん、確かに志願兵レベルのルイスと違ってれっきとした近衛師団の出自を持つ彼らの職責的には連絡をしないという手段はないのだろう。
だが、そうだとしてももう少し話を聞いておきたい。もしかするとフランツの反乱作戦において重要な人物なのかもしれない。
「それで、爺さんはなんでこんな山奥に一人なんだ?確かレジスタンスのリーダーなんだろ?」
俺がそう問うと爺さんは自嘲するかのようにフッと口から息を吐くとポツリポツリと語り出した。
ひとまず、今日・明日・明後日は朝8時半過ぎに投稿予定です。ただ、休みの日なので起きなかったらごめんなさい。




