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第五十四話 老人

 俺たちがバラト大佐の補給大隊に合流するために来た道を戻っていると、来たはずの道から俺たちの歩いた痕跡が途中で消えていた


「あれ?ここを通ってきたはずだ」

「も、もしかして道に迷ったとか?」

 ルイスが方位磁針をカラカラと振りながら首を傾げるとベル君も周囲を見渡しながら不安そうにルイスに近づいていく


 しかし、遭難だとしたら洒落にならないな。行きは何ともなかったのに帰りだけ道に迷うなんてことあるのか?


 ん?森の中で遭難?しかも方位磁針が狂ったとすると前世にも似たようなところがあったな

「なぁ、ルイス。ちょっと方位磁針かしてくれ」

「ん?あ、あぁ。構わないが」


 そう言ってルイスから方位磁針を受け取ると近くの大きな岩に当ててみる

 すると、針はぐるぐると回転しさっきとは反対を指して止まった


「うお!なんだ!?」

 俺の手元を覗き込んでいたルイスが驚いた声を上げる


 やっぱりだ、ここは前世でいう富士の樹海と同じで、そこかしこに転がっている岩の幾つかが磁力を帯びているらしい。それも富士の樹海よりも強力な磁力だ

 前世で見た映像ではこんなにぐるぐると回っていなかったからな


「え?嘘でしょ?ルイス、そこまで織り込み済みで道案内してたんじゃないの?」

 と、声を上げたのはヘレナだった。


「この辺りの森は磁力を帯びた岩が多いから方位磁針は参考程度にしかならないわよ。まぁ、アタシも父さんから注意されてたから知ってただけだけど」

 ヘレナの追い討ちに対してルイスは顔面蒼白になって手で顔を覆っていた

 どうやらドグとヤウンも知っていたようでやれやれと顔を見合わせている


「すまない!まさか、そんな土地柄だとは露知らず。案内役を買って出てしまった」

「まぁまぁ、俺たちもルイスに任せっきりだったも良くなかった。とにかく、闇雲に道を探すのは悪手だ。誰か木登りが得意な者は?」


 俺が木登りを提案するとベル君がおずおずと手を挙げた

「あ、あの。まだ、ワルツにいた時にいじめっ子から逃げるために木登りしてたから多少はできるよ」

「おー、ベル君!じゃあ早速なんだけど近くの木から道を探してくれる?」

「う、うん!任せて!」


 頼られたのが嬉しかったのかベル君は嬉しそうに木に登って行った


 おぉ、意外とスルスルと登っていくもんだ

「おーい!ルーク君!道は見えないけどもう少し真っ直ぐいったところに家が見えるよ!」


 こんな森の中に家?だけど、家があるなら街道に戻れるかもな

「よし!もう降りてきてくれていいよ!その家に向かおう」

 木から降りてくるベル君を待って、俺たちは家の方向に向かっていった





 まっすぐ進んでいくとベル君の言った通り、木こりの家とでも形容したくなるような木造の家がたっていた。表には薪が干してあり奥には小さな畑も広がっている


「本当に場違いだな」

 ルイスが首を捻りながら周囲をフラフラと見て回る

 俺たちも恐る恐る家の方に近づいていくと大きな音をたててドアが開いた


「なんだ!貴様ら!帝国兵がワシを殺しにきたか!残念だったな!今はなんの力も持たぬ老ぼれじゃ!」


 俺たちはその圧に気圧されて何も言えないでいると老人はドアの横に立てかけてあったライフルを手に取ると銃口を向けてきた


「お、おい!待ってくれ。俺たちは遭難しただけなんだ」

「なんだってぇ?遭難だぁ?だとしても帝国兵は1人でも多く道連れにしてやる!」


 老人は見た目に合わない機敏な動きで薪が積んである場所に身を隠すとそのままコチラに向けて弾を打ち込んできた


「総員!退避!」

 俺が叫ぶ前に隊の面々は慌てて木の影に隠れていた


 そうこうしている間も老人はコチラへ弾を打ち続けている

 しかもあの爺さんかなり命中精度がいいのだ

 下手に木の影から顔を出せば脳天を撃ち抜かれてしまう


「ルーク!誰かが怪我する前に撃ち返していいな!?」

 ドグが叫びながら木の裏から飛び出そうと身構える


「いや、少し待ってくれ!どうやら訳ありらしい!それにできれば民間人に手は出せない!」

「そんなこと言ったって、チンタラしてたら誰か怪我しちまうぞ!」

 確かにこのままだと誰かが怪我をする


「クソッ!わかった!だがライフルは無しだ!あの爺さんの弾切れと同時に飛び出して縛り上げろ!」

 俺は銃声の響き渡る森に中で最も近い木の影にいたドグに向けて叫び返す


「あぁ、お前はそういう奴だったな!わかった!」

 その後、数回の銃声がしたあとに俺とドグは頷きあうと爺さんが弾を込めているところに飛び込んで俺がライフルを叩き落とし、ドグが爺さんを両足を掴んで足止めをした

「ぬお!?」

 足を掴まれた爺さんは尻餅をつき腰を押さえている。


 その隙にいつの間にかベル君が家の納屋にかけてあった縄を持ってきて爺さんの手足を縛っていく

「ご、ごめんね。きっと誤解だから。すぐ解いてあげるからね」

 ベル君が申し訳なさそうに縛っていく様を見ながら俺たちはホッとため息をついていた


 しかし、一体この爺さんは何者なんだ?

 今は力を持ってないとか言ってたけど昔は権力者?

 まさか今の姿は世を偲ぶ仮の姿とか?


 疑問は深まるばかりだが、考えすぎても仕方ないので今は現実逃避して森の中から聞こえる小鳥の囀りにそっと耳を傾けようっと。


なんか引っ張る感じで終わって申し訳ないですがこの次に設定説明回を挟んで今年の投稿はおしまいとさせていただきます。よろしくお願いします。

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