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第四十六話 数は多い方が

 ルイス達と二手に別れた後、俺はドグとヤウンと共に捕虜たちの元へ隠れながら向かった。

 幸いにも木々が生い茂っていて隠れる場所には事欠かない、加えて山賊達は物資の略奪に勤しんでいるようで捕虜の見張りは20人ほどしかいない。そいつらだって勝ったような顔で談笑している。


 まぁ、山賊100人中20人しか捕虜の周りに居ないと言っても、こちらは分散してたったの3人しか居ない。とてもじゃないがまともに戦って勝てる戦力差じゃない


 しかし、捕虜を解放すればその数の差も覆る。ベル君は哀れみから助けるよう言ったようだが、戦略的な観点で鑑みても彼の考えも大概悪くはないと言うことだ


「一先ず、捕虜たちの目と鼻の先まで来れましたね。どうっすか?捕虜の様子は」

「あぁ、どうやらコリン少佐の周りに身を寄せ合っている一団がある。あそこの兵士たちは反抗の意思が潰えていないようだ」

 ヤウンはいつもとは違う真剣な表情をしてライフルの手入れをしながら俺に状況を問うてくる


「はぁん、あの馬鹿少佐も多少は気概をみせるってわけか」

 ドグは相変わらずコリン少佐のことが嫌いなようで腕を組みながら小馬鹿にしたような顔をしている


「と、なると。コリン少佐の周囲の捕虜から助けて味方を増やした方がいいな」

「そっすねぇ、でも見張りの連中はどうします?」


 そう、そこ問題なのだ。どうにかして奴らをこの場所から引き離さなければならない

 某ステルスゲーなら少し離れたところにエ◯本を置くとこぞって敵が集まってくるものだが、現実の敵はそこまで馬鹿じゃないだろう。どうにかして気を引かないといけない

「グレネードでも投げて気を引くしかあるまいて!」

「「は?」」

 そういうや否やドグは呆然としている俺たちをよそに腰に吊っていたパイナップルグレネードを掴むと俺たちとは反対の茂みの方に向かって投げ込んだ



 ドンッ!!

 数秒後、奥の茂みから爆発音が響き粉塵が待っているのが見える


「おい!まだ残党がいるようだぞ!始末しろ!」

「へい」

 爆発音に驚き、しばらく静止していた山賊たちは我に帰ると15人ほどが慌てて爆発音のした方に駆け出して行った


「おい!ドグ、心臓に悪いだろ。グレネードを投げ込むところをみられてたらどうするんだ」

「その時はその時よ!それに、ほらみろ見張りは残り5人だ」

「でも自分らは3人っすよ」

 ヤウンはニコニコと敵の方を窺いながらも冷や汗を流している。


「5人ならなんとかなろう!俺が3人殺って、お前らが1人ずつ殺る!これでよしだ」

 ドグは自信満々に腕を回しながら飛び出していった。


「クソッ!これは俺も腹を括らなければな」

「行きましょう!ここまで来たらあとは博打っすよ」

 そう言いながら2人で頷きあうとドグの後を追いかける


 俺たちが草むらから出るとドグは不意の一撃でライフルの銃床で見張りを殴り飛ばしていた

 それに対して慌てて4人の山賊がライフルを向け引き金に指をかける


「シッ!!」

 ヤウンがその内1人の胸に銃剣を突き立てた


 銃剣を突き立てられた山賊が崩れ落ちるのと同時に俺はヤウンの影から飛び出てもう1人の山賊の脚をライフルで思い切り打ち据える。その男は思わぬ痛みからライフルをあらぬ方向に向けて撃ち尻餅をついたが俺もその反動で後ろに倒れ込んだ。幸いにも倒れた男は石に頭を打ち気絶した。


 2人はなんとかした!しかし、まだ2人の山賊がドグに向けてライフルを構えている。それを見た俺は慌てて側にあった石を片方の山賊に投げるが、彼らが引き金を引くのが先だった。


 銃口から発射された銃弾の内一発はドグの左肩にあたり、もう一発は外れた

「ぐっ!ばかめ!外したなぁ!」

 銃声の直後ドグは痛みにライフルを取り落とすも不敵な笑みを浮かべ、傷を受けていない右手で片方の山賊の頭を鷲掴みにし後ろに引き倒した。


 その時、俺の投げた石がもう1人の山賊の額に命中し痛みに顔を押さえてうずくまる

 その隙をヤウンは逃さなかった。ヤウンは普段の挙動からは考えられないほどの俊敏さで顔を覆う山賊の胸を貫いた。その間にドグも引き倒した山賊の首にナイフを突き立てていた。


 この間わずか数分も経っていない。ドグとヤウンが近衛師団出身と言ういうのも嘘ではないだろう。

 そう思いながら少しずつ興奮が解けていく。すると、ドグとヤウンが殺した山賊を見て吐き気が込み上げてくる。思わず両の手で口を押さえるとドグが目を怒らせて俺の方に向かってくる。


「馬鹿者が!初陣であろうとなんであろうと今の貴様は我らの隊の長だ!そんな者がたかだか死体を見た程度で吐くな!シャンとしろ!」

 そう言ってドンッと俺の胸をドグに叩かれると胃の内容物が下に下って行ったのか気分が少し落ち着いた。


「あぁ、すまない。ありがとう。少し弱気になっていた」

「それで?次はどうします?」

 そう問いながらヤウンは手近の捕縛された帝国兵の縄を解き始めた


「お前がやっている通りだ、帝国兵を解放するぞ」

「うむ!」

 そう言って3人で順次縄を解き始める


 そこで俺は天幕で見た少佐の縄を解きにかかる

「た、助かった。っと?貴様は!?大佐殿のお気に入りではないか!確か名前はルーク伍長であったか。それにドグ伍長とヤウン伍長もいるではないか」


 え、気にしてんかったけどアイツら伍長だったのか。割と命令口調で接してたんだけど。

「ハッ!ルーク・バックハウス伍長であります。助けが遅れまして申し訳ありません」

「いや、戦下手な私が悪い。救援ご苦労」

「ハッ」

 コイツ、神経質そうな雰囲気を醸し出しているが悪い人間ではなさそうだな

 評価を少し上方修正しておこう


 そうやって30人ほどの帝国兵の縄を解くと残りの見張りである15人の山賊が異変に気付いて戻ってくるのが見えた


「おい!者どもよ!このままガキと伍長階級共に助けられたままで良いのか!いい訳はないな!落ちている武器を拾え!武器のないものは石を拾え!倍以上の頭数がこちらにいるのだ負けはないぞ!」

「「おぉ!!」」


 そういうや否やコリン少佐は死んだ山賊のライフルを拾い上げこちらに迫る山賊の一人に撃ち込んだ。と、同時に先頭を走る山賊が倒れ込み動かなくなった。それに追随するように縄の解けた帝国兵たちは山賊達の落とした数丁のライフルを拾い、石を持って攻撃を開始した。


「な、アイツらなんで縄が……!」

「お、おい。流石にまずい逃げ……」

 そうして10分後には15人の山賊は15体の死体へジョブチェンジしていた。

 もちろん返事はない


 にしても、少佐階級は伊達じゃないな。いくら戦下手を自称していても兵を扇動する能力は本物だ


「はぁん、あの少佐殿もやる時はやるんだな」

 そう言ってドグも感心したように頷いている。


「よし、総員!残りのものたちの縄を解け!此度の救出劇はルークバックハウス伍長の活躍によるものだ!皆よく感謝しておけよ!」

「「おう!」」


 なんか俺よりもドグとヤウンの活躍ありきな気がするけどもらえる賞賛は受け取っておこう。

 いやぁ、どうもどうも。え、サインが欲しい?いいでしょういいでしょう。Tシャツの販売?予定してないですね


 あら、そこまで言ってない?ソウデスネ


 そんなことを考えている間に捕虜となっていた150人の解放が完了した

 と、同時に荷車を引く3人の人影が見える

「おぉーい!ルーク君!武器を確保してきたよ」


「おぉ!見張りはいなかっ……」

「待て!こんのコソ泥がぁ!」

 そう言おうとした矢先、奥に走りながらライフルを打ちかける山賊たちが見える


「あぁ、力技で掠め取ったんすね…」

「にしても山賊共がコソ泥呼ばわりってどうなんだろうな」

 ヤウンが呆れるが俺も違うところで呆れている


「おぉ!これは武器の輸送までも手を回していたか!感謝しよう」

「まぁ、敵も連れてきたみたいですけど」

 コリン少佐は武器が手に入ることに大喜びだが同時に50人ほどの山賊が馬で駆けてくる。先ほどの対騎馬戦の動きを見るにあまりいい状況とは言えない


 こっそり逃げようかな

「うむ!相手にとって不足はないな」

「さぁ、反撃っすね!」


 あぁ、ダメだウチには今ドグという血気盛んな奴がいるんだった。ヤウンもなんか興奮状態だし。

 何か作戦はないものか……。

 確かこんな状況の森林作戦が前世で読んだ歴史小説にあったような…


 そう、確か一次大戦の時も二次大戦の時も戦場になった、あそこだ。

明日は朝8時半過ぎの更新を予定しております。

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