悪役にする予定の幼馴染紹介!
俺木下龍には、村井一馬と言う幼少期からの幼馴染がいる。
幼馴染になった経緯は父親同士が高校大学と同じで学科なども同じで、自然と仲良くなり気が合ったのか大の仲良しになったそうで…それからも長い付き合いの結果…結婚式にも呼ぶ中になり父親同士がそんな仲なので嫁同士も仲良くなり家も近くに引っ越しご近所同士になった結果…子供たちは自然と幼馴染という枠になったわけで有る。
家族同士が仲良かったから俺たち子供の仲も当然のように良く…幼馴染で親友と言っていい仲になっていた。
同じ習い事に通ったり…誕生日などの家族での行事では互いを家に招いたりもして運命共同体みたいな物を俺は勝手に感じていた…。
…だが、此処まで一緒にしなくてもいいと思う。
……親の失業…母親の失踪そして災厄な生活環境…失業や生活環境の細かい違いはあるかも知れないが…大まかに括ってしまえば俺と幼馴染はほぼ同じ運命を共に送っている。
しかも…なかなか重い過去を背負っている俺よりも幼馴染……一馬のこれまでの過去は俺より複雑で重いのだから笑えない…。
一馬の父親も俺の親父と同じ行政の仕事をしていた…親父と部署は違うが国のためと働く姿は一馬曰く「かっこいい」ものだった。
親父はそんな一馬の父親を頼りにしているとともにライバル関係でもあると思っていたらしく、一馬の父親が成果を上げたと聞くと笑いながら「…俺もまけられないな」と言っていた。言葉ではそう言っていたが…顔は穏やかで…親友の成果を誰よりも喜んでいるのが子供ながらに分った。
そんな中で俺の親父の解雇だった。
最初は相談に乗っていた彼も父と親しと言いただけで、睨まれる可能性があったのだろう…父は相談をしなくなり「…俺とは距離を置いた方がいい」と夜遅くに悲痛な声で電話越しに話していたのをしていた。
今思えば…父の最後の強がりと優しさだったのだろう。
本当は…そばで戦ってほしかったし…何よりも戦力になるはずの親友を…自分の窮地の時に突き放すのは…自分のせいで、親友の人生もメチャクチャにしたくなかったのだろう。
……まぁ父の決断虚しく…数年後にはクビになり…同じところまでいや、それ以上の奈落に落ちてしまうのだけれど…それは父も予想してなかったのだろうか?
そんなこんな、有った人生の大半を一緒に過ごした幼馴染の一馬は、俺より少し遅い形で…裏バイトデビューした。
父の仕事が無くなり…安いボロアパートに引っ越して以来まったくと言って良いほど音信不通になっていた一馬と…数年後…裏バイトでまさかの再会で、その時は驚きすぎてまともな会話を出来なかったのを覚えている。
かろうじて気持ちが落ち着いた…数時間後に何で此処にいるのか聞いたら…仕事が不況によりなくなり両親の仲も冷え切り…母親は発情…。
「家のローンが払えなくなって…家を捨てざるえなくなった…そしてついた先が此処になった…父親は真面に働けないし…金がないと暴力を振るう…自分が生きるためには…どんな事にでも手を出さないと生きていけない……」
「そうか……」
「…お前も似たようなものだろう……此処にいるんだから」
「うん」
一馬と久々に話した話がこんな最悪な話なんて…そう思いながら会話を続けていたら、それが顔に出ていたのだろう…。
「眉間に皺が寄ってるぞ」
「…あぁ、本当か…ごめん」
「……いや、久々に会ってこんな話すれば……誰だって、そうなる」
そう言って苦笑して、受け流してくれた。一馬はこういった優しい一面があるし、何より自分の置かれてる状況を客観的に見て考える力が誰よりも有るから…同年代の中では頼れる兄貴的存在だった。
そんな彼を俺は、今…悪役にしようとしている。
頼れる兄貴的存在…まとめ上手で人の上に立つための…カリスマ性も備えているそんな彼を…。