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いい親父ではないが最悪じゃない

 俺が生まれた日本はまるで世紀末の様だと言っておこう。

何故ならまともな家庭で育つ事が出来る人間がとても少ないからだ。

 何で、世紀末状態になったかと言うとバブル崩壊が始まったからだ……。

20世紀の日本は何とかギリギリ踏ん張ってる状態だったかこの日本は違う、踏ん張りきれず崩壊した。

失業者が続出し、まともな生活がおくれない者が増加した。理由は簡単政府の予想の何倍もの企業が急速に潰れたせいで政府の方が代用出来なくなり、多くの失業者が出たのだ。

…しかも、上司の大半が若者を退職させたのだ。……理由は簡単で上司のほとんどが、年上で若者より自分達の保身の為に入り立ての替えがきく若者を次々に切っていったのだ。

しかもその大半が子がいる親である。

 つまり、子持ちの夢見る親が残酷にも保身の為に捨てられたのだ。

一部失業していない者達がいるが其は、ほんの一握りの政治家達などだ。

ほとんどの人は職を失い腐って行った。

家庭は崩壊し、幼い子供の虐待や性被害が多発した。いつも被害にあうのは、力のない者からだ……。

 そんな子供がまともに育つ筈もなくエリート街道の真逆の裏街道まっしぐらな子供が増え…反社会勢力が増加した。

 麻薬、暴力、武器の売買何でもござれな勢力が増加した事により、日本の治安は悪化した。

其を深刻に感じた時の政府は、重い腰を挙げ対策を考えた。

 その対策は、子供保護人権法だ。

虐待にあった子供の保護を優勢して、親や親戚の言葉より、保護した子供の言葉を最優先して、出来るだけサポートし、全ての子供に早く普通の生活に戻ってもらうと言った感じの法律だ。

 例えば、虐待を受けた子供が親族や施設など拒否し一人で生活したいと言ったら…ヘルパーなる者を付け学校に通わせるなどサポートする。高校まで、行きたいなら国のお金などで免除するなど手厚支援をする法律だ。

 前世の日本では、考えられない法律である。

あま、其だけ治安が悪いのだろうな。

 そして、そんな中に有る俺の家もまた親が屑である。

会社が、潰れ職を失った父親は避けに溺れ母に暴力を振るう様になった。 

母は其に耐えられなくなり、俺を置いて夜逃げした。

父は荒れに荒れ家の物を投げ其が俺にも飛び火した。

父の生活はそれから更に荒れた、朝から酒を飲み、博打にも手を出し闇金にまで手を付けた。

 普通に考えて屑であるが……父はギリギリの所の見分けが異常にうまかった。

 金を催促にきた者達には少ない額だが金を渡し帰ってもらっていた。その日は、金など無く酒の禁断症状が出て暴れるが、一度も俺に手を挙げていない……あの一軒以来一度も無い。

 親が、子供に手を挙げるのが当たり前の時代の中では珍しい人種だ。

よく酔いながら父が言う言葉がある。

「……まともになれとは言え無い……だが、自分の半身の子供には…手は挙げるな。」

「…例え自分が、どんなに汚れようと…子供には関係ないからな」


ある種の決意なのかも知れない。

いつもは、呂律が回って何を言ってるかわからない言葉ばかりなのに、この言葉だけはよく聞き取れた。


 だから、こんな糞みたいな生活でも、屑父親でも確かに愛を感じたんだ。

前世で感じる暖かな保温力がある物ではないけれど、息を吹き掛ければ消えしまいそうなそれだが、確かに俺にとって愛だった。


 だが、其も長くは続かづ……突然終わりを告げた。

雨の降る日に、鳴った何時もは押されないチャイム

「小林龍君だね」

ここいらでは、滅多に見かけ無い確りとした服装の男性二人。 

「君の父親の名前は小林慎二さんで間違いないかな?」

遣りきれない感情が混ざった声で父の名前を告げ確認をしてくる男性……いや、警察。


 前世の記憶があるからこそ分かる現実。

そう、父が、何らかの問題事に巻き込まれ死んだと言うと現実。

 良い父親ではなかった、人間の屑の様だと思い尊敬もしてないし、心の中で何時も父の愚痴を呟き鬱憤をはらしてた。

 だが、時折正気に戻った時に話す話は嫌いじゃなかったし、父の決意は好きだった。

自分は愛されてると唯一感じる言葉だったから……きっと何時かまともに働いてくれる。

そう、淡い希望も持てる魔法の言葉だっから……。

だから、警察から告げられた「君の父親が……路地裏で……亡くなってたんだ」の言葉に俺を否定の言葉を返し警察を嘘つきよわばりし、泣き叫んだ。

どうしても信じられなくて……だって、最悪の父親でも愛情は確かに……少ないけど貰っていたと思うから。

 じゃないと、俺は生きていられないでしょ。

健康的な身体で……。

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