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異能監獄記  作者: 濃支あんこ
2 救済

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差異

「幻想生命化って、不思議だよねー」

「そうなの?」


 隣に座っていた桐子の言葉に、こちらに話しかけているのだろうと解釈した湖上が返す。が、彼女はどうやら誰かに話しかけたつもりはなく、単なる独り言だったらしい。少しだけ驚いたように赤い大きな目を見開いた後、いつもの調子で話し始める。


「だって、絵本の中に出てくるような感じになれるんだよ?それって、すっごく不思議じゃない?」

「たしかに」


 先日であった少女……の姿をした少年が脳裏を過る。それと、初も。桐子のいう絵本の中のような不思議は、初の方がまだ該当しそうではあるが。あの少年は、また何か別のように思える。いやファーストコンタクトがアレだから、というのもあるが。


「でも、桐子ちゃん初以外は全然知らないよー。同じ配属じゃない人って、あんまり会わないもん。だから不思議だなーって思うのかも」

「幻想生命化に限らず、I配属にいない異能者はよくわかんないよね」

「そうそう!……あ!そうだ、初に聞いてみたらわかるかも!」


 ぽん、と手を叩いて桐子が言う。たしかに、幻想生命化の話は張本人である幻想生命化の異能者、初に聞くのが手っ取り早いだろう。湖上としても、なかなかに興味深い話題だったので。桐子についていくことにしたのだ。まあ湖上が拒否しても桐子は無理やり湖上を連れて行った気もするが。


「幻想生命化について?」

「うん!初教えてー!」

「ほら、俺たちって他の配属に関わる機会が全然ないから、わかんないんだよね。初は俺たちよりは詳しいかなって」


 無邪気なおねだりに、湖上が理由を付け加える。のんびりと本を読んでいたらしい初が、少々逡巡するような素振りを見せてから口を開く。


「そうねえ……幻想生命化の異能者は、I配属やS配属に所属している子達以外みんなN17に配属される決まりなの。今N17以外に所属している幻想生命化は、数人しかいなかったはずよ」

「そうなんだー!他には他にはー?」

「うーん、例えば妖精の幻想生命化の子は、背中に羽が生えてて空を飛べたりするの。後は、猫又の子とかは猫の耳としっぽが2本生えて、とっても身軽に動けたりするみたい」

「初も羽あるけど、飛べるのー?」

「私?飛ぼうと思えば、飛べるけれど……疲れちゃうから、もう何年も飛んでないわ」


 空を飛べるのか、と聞かれた時だけ初が少しだけ寂しそうな目をしていたが。なにか引っかかるところでもあるのだろうか。


「他にどんな子がいるのー?」

「他……人魚の子とか、狼男の子とかかしら?」

「人魚姫!?すっごーい!」


 桐子にとって、人魚とはあの有名な童話のイメージなのだろう。いっそうテンションを上げて、きゃらきゃらとはしゃいでいる。


「異能によって実用性とかすごさとか、千差万別なのはわかるけどさ。差異が、激しすぎない……?」


 湖上の持つ異能、【望遠】なんて、N配属でもありふれた異能らしいのだ。それだけを見てしまうと、場違い感が半端ない。いくら理由ははっきりしていようとも、だ。


「異能って色んな種類があるものだから、何もおかしくないのだけどね」

「そうだよおねーちゃん!」


 不老であり実質的に不死にも近そうな初と、異能を広範囲で無効化できる桐子。そんな二人に言われても、なんの慰めにもならないと思うのだが。


「だって松太郎とか異能わかんないしー!松太郎よりもおねーちゃんの方がすごいよー!」

「……良かったね桐子ちゃん、今松太郎いなくて」


 いないとわかっていて口にしたのかはわからないが。いたら火種もいいところである。その鎮火に巻き込まれるのは他の面々なのだから。


「前も言ったけれど、私みたいなのは例外中の例外よ。気にする必要は無いわ」

「それはそうだけど……」

「ねー初、珍しい異能ってなんなんだろー?」


 空気を読んでいるのか読んでいないのか、桐子が話題転換を図る。湖上としてもこの流れはありがたいので、乗らせてもらう。


「I配属のみんなの異能が珍しいのは何となく予想つくけど、他は俺もよくわかんないしね」

「珍しい異能?それだったら簡単よ。他の人の怪我や病気を治せたり、治癒速度に干渉できる異能ね。自分自身を治せる人はそれなりにいるのだけど、他の人まで治せる子はあんまりいないみたい」

「そうなんだー!あ、そっか。任務をとっても頑張るからI配属じゃなくてS配属なのかな」

「イレギュラーはあくまでイレギュラーであって、より優れている、というわけでもないものね」

「それでそれでー、他の人の怪我を治せちゃう子以外はー?」


 桐子がにこにこと、変わらず初に問いをなげかける。


「監獄側は明言していないけれど、未来予知ができる子達かしら。長い間ここにいるけれど、たまにしか見かけないもの」

「……なんか、名前だけですごそうだしね」

「そうね。でも、未来予知の異能者とおしゃべりした事があるけれど、本人からすればそんなに大したものじゃないーって言ってたの。やっぱり、本人じゃないとわからないことも多いのねぇ」

「桐子ちゃんも会ってみたいなー!」

「今は……丁度、いたはずね。私は人伝にしか聞いたことがないけれど、桐子ちゃんよりも年下の女の子のはずよ」

「そうなんだー!」

本編に入り切らなかった補足

幻想生命化の【人魚】と【人狼】は本編開始前に死亡済み

初が死者も含めているのは桐子に説明しやすい幻想生命化が今はあまりいないため

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