episode2 祖母の形見
大好きな祖母の形見は綺麗な宝石がはめ込まれたネックレスでした
きっと夢だ
あんなの夢に決まっている
あれからいきなり起きた出来事を受け止められず何度も頭で繰り返す
いやだってねぇ、、怪物だよ??
23にもなって怪物に会いました!男の人に助けてもらいました!なんて頭がおかしい…。
「とりあえずお風呂にでも入ろう…」
私はシャツを脱ぎ鏡を見るとあることに気づく
それはいつも通り首についている祖母の形見であるネックレス
深い碧の石がはめ込まれているネックレスだが、今日は様子が違う
「光ってる??服に隠れて気づかなかった…」
微かにだが確かに光っている
そういえばおばあちゃん、これは魔よけの石がはめ込まれているから必ず守ってくれるっていってたっけ。
もしかしてあの男の人、石からでてきた守護神だったとか?いや、まさかね、?
自分のあまりにもメルヘンチックな思考に失笑しお風呂に入ることにした
ジャーー
シャワーの水が流れる
あ・・・れ・・・?
何故だかシャワーの水から目が離せない
ザ――――
シャワーの音?いやこれは違う。 雨の降る音だ。
傘もささずに男の人が立ち尽くす光景が浮かぶ
周りには戦士が息絶えている
きっとこの人が斬ったんだろう
「ステラ…」
小さく呟いた名前は雨の音にかき消されていった・・・
ジャ―――――――――
シャワーの音で現実に引き戻された
「なに・・・今の? 」
立ち尽くす男の人。
切なげな声で呼ばれた ステラ という人物。
ただ胸が締め付けられた。なに、これ、、
「病院本当にいかなきゃまずいかも・・・」
その夜、夢を見た
懐かしいおばあちゃんの夢
小さな私とおばあちゃんは庭にあったブランコで遊んでいた
「ねぇねぇ、なんで彼方にはママもパパもいないの??」
「彼方のママパパはね、ずっと遠くの星にいるんだよ。ずっと彼方を見守ってるのよ」
小さな私は、少し拗ねたように口を尖らす
「みんなね、遊んでてもママが迎えに来るの。みんな彼方をおいて行っちゃうの。」
「大丈夫よ。彼方。貴女は皆に愛されているもの。強くて優しい、ときに突っ走って皆を心配させる無鉄砲さもあるけどね、私は大好きよ。」
おばあちゃんはそういって私の頭を撫でた
「私もおばあちゃん大好きだよ!!!」
ありがとう。と切なく微笑むとおばあちゃんは続けた
「私はあなたを守りたいけどいつまで守れる力があるかわからない。だから彼方にあげたこのネックレスを忘れず身に着けときなさい。必ずあなたを守ってくれるから。約束、よ?」
そういって指切りを交わしたおばあちゃん
最後になんていってたっけ
「ステラ・シュヴァリエ」
チュン チュン
小鳥の囀りと太陽の光が朝だと知らせる
「ん~」
もう朝かぁ、昨日あんなことがあったからそのまま寝ちゃったんだっけ・・・
体いたいなあー仕事行きたくないなぁ
あー今日はいい天気なんだろう。こんな太陽の光が照り付けてこんな草の匂いがして・・・
「ん?草の匂い??」
ハッと飛び起きる
「いや・・・・・は?・・・」
そこは普段みる自室とは程遠く見たこともない景色だった
遺跡に覆いつくす緑
流れる水
見たこともない生物
「ええええええええええええええええぇぇぇぇっぇえ!!!!」
私の声にならない叫びはこだまするのであった。