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episode1 出会い

それはすべての始まり



授業中、空を眺めては何か天地がひっくり返るほどの面白いことが起きないかなーと頬杖をつきながら、

考えていた青春時代



それもいつの日か大人になり、そんなことが起きるはずない。そう思っていた



貴方に出会うまでは ―…



***********************************



「神崎さんーもう上がっちゃってくださいー」

                         

上司の一言にようやくパソコンから解放されたのは 神崎 彼方(かんざき かなた) 

この物語のヒロインである




残業に覆われてすっかり日が暮れていた

すれ違う人が持つ携帯の光がやたらと眩しく感じる


なんとなーくやりたいことも見つからず仕事も転々としてる日々

気づけばもう23歳になる

あれ、24歳で結婚とか思ってなかったっけ?27歳で子供産む予定だったよな…。うん。考えるのをやめよう。


私は冷たい空気を吸い込み深く吐き出した


「こんなんじゃなかったのにな…」


暗い冬空の下、小さく呟いた一言は夜の静けさに消えていった



コツコツ


ズズ  ズズ



ん?

住宅街にはいって少ししてから自分の足音と何かの引きずるような音がする

え、まって怖い何。

引きずるって何。ひき〇さん!?いや、ない冷静になれ23歳。

胸に手を当て自分を落ち着かせるも音が消えることはない。


むしろ距離が近くなっているような気がする


こうなったら、、逃げるが 勝ち!!!!


全力疾走をしてその場から立ち去る



「ハァッハァッ ハッ っふー」



息を整え後ろを振り返る

捲けた?か?

どうやら不審者?から逃げれたよう


安堵し、また前を向くと






ズズズ  ズズ  




フゥ―――――――








動けない

体がピクリとも動かない

 何故か


息を吹いたのは私ではない

確かに私の後ろにいる()()が私の耳に息を漏らした


背筋が凍るような感覚 見てはいけないと本能的に思うが


ゆっくりと振り返る


「あ゛ぁ。アァ〝a」


見なきゃよかった

息をのんだ


そこには何といえばいいかわからないなにかがいた

黒く 大きく 奥が見えず引きずり込まれそうな黒い瞳


悪魔 化け物 という言葉がぴったりだ


耳の奥に残るような不気味な声で唸っている



逃げたいのに体が動かない



ゆっくりとソレは私に手を伸ばす



「いっ」



助けて 誰か


祈るように 目を閉じた


ザシュッッ



「ア〝ァア〝ッツアアアアアア」



いきなりの断末魔にとっさに目をあける


ソレは頭頂部から股下まで真っ二つになっており切れた部分から灰となって消えていく


「な…に…?」


消えて苦しむソレでよく見えないが奥に誰かいる

フードを深く被って見えないが刀の様なものを持った…男の人?




カツカツカツ カツカツ




彼のブーツの音が私の前で止まる

反動で支えきれなくなった足が崩れ地面にへたり込む



「あなたは…  だ…れ?」




自分でも情けないほどに声が震えている

彼は膝をつき私と同じ高さに顔が来る

街灯によって逆光なのかわからないが顔は暗いままでなにも見えない



私が何をしたんだ。ただ何となくでも生きるために働いていた。

…いや。死んだような日々だったかも知れないな


子供の頃のキラキラした夢は消え、大切な祖母をなくし、もう、なにもなかった。



彼が私に伸ばしてきた手がスローモーションに見える

瞳を閉じると、いままで溜まっていった雫が頬を伝った




“世界は繋がっているのよ。未知だらけの、この世界は奇跡であふれている。貴女は奇跡の子よ。“




子供の頃から言われ続けたおばあちゃんんの言葉


こんな時によぎるなんて。。


奇跡なんか起せなかったよ。ごめんね。



スッ



零れ落ちるはずの雫は彼の綺麗な指によって盗まれた


目を開け驚いた顔で彼を見るも彼の顔は見えないまま

でもなんでだろう。なんとなくだけど、優しい顔をしている気がする。



だって彼の手は、冷たいのにどこか優しくて、とても懐かしくて、、

どのくらい見つめあっていたのかわからない

きっと数秒。だけど私には時が止まって感じた。



彼はそっと立ち上がり私に背を向けて去っていく



「まって!教えて!!あなたは誰なの!?あの怪物はなんだったの!?」



呼び止めても彼が振り返ることはない



「お願い。行かないで。 ここにいて。  “       ” 」



自分が何を言っているのかはわからない

ただ本能的に発した言葉に彼は一瞬だけ振り返り、闇夜に溶けていった。



ただ冷たい空気の中、私の頬だけとても暖かく感じた。







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