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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第六章

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SS 世捨て人《第四世界》

「ここまでくれば、もう大丈夫でしょう」


 背後からのチッタの声に私はヒポタの足を止めさせる。

 さすがのヒポタも息が荒い。

 ただ、ヒルダちゃんたちを乗せたノコシカの方が心配だ。


 私たちが騎獣を停止させると、ヒルダちゃんはすぐにノコシカから飛び降りるようにしてその様子を調べ始める。その手つきはテキパキと、しかし優しげだ。


「ヒルダちゃん、どう? 」

「ノコシカ、頑張ってくれてありがとう。うん、レニーちゃん。ノコシカも休ませれば大丈夫そう」


 ノコシカを送還しながら、告げるヒルダちゃんに私もホッとして返事をする。


「それは良かった。無理をさせちゃったね」

「ううん。仕方ないもの」


 私もヒポタを労ると、送還する。ここからは歩きだ。


「お嬢様がた、そこ。明かりがあります」


 私たちが騎獣のことをしている間に、周囲を警戒していてくれたペンタクルスが、告げる。

 言われてみれば古びていて点々としているが、地下水脈ダンジョンの壁には明かりが設置されていた。


「これは、錬成品ね。質はあまり良くないけど、作りは丁寧だわ」

「チッタさん、何か知ってますか?」

「すいません、レニアスタ嬢。私も古いダンジョンだということ以外は詳しいことは何も。ただ、確かに人の往来の痕跡はあります。しかも最近のものですね」


 チッタさんが屈みこみながら床に顔をつけるようにして確認して告げる。


「レニーちゃん。私の錬成獣で調べてみる?」

「うーん。相手が錬金術を使う人だとすると、敵対行動ととられてしまうかも。もう少し、──」


 私がそこまで言いかけたところで、声がする。


「やれやれ。騒がしいと思ったらお客さんか」


 みなが一斉に声のした方を振り向く。その手は各々、自身の武器に手をかけて。


「おやおや、物騒だ。見た目は野盗には見えなんだから声をかけて見たんじゃが……お前さんがたはやっぱり野盗かね?」

「……失礼しました。私はレニアスタ=シュトルナ=ハーツニクス。父、ルスト=シュトルナ=ハーツニクスと、母、アーリ=フォース=ハーツニクスの娘。槍にて身を立てし者です。西方に向かう途中、モンスターに追われてここへ」


 私は槍を手に、礼の型をしながら告げる。声をかけてきた、ぼろぼろのフードをかぶった男性が、私の挨拶に答えるようにそのフードをとる。

 年のころは初老の男性だ。口元のくるりとしたひげがとても印象的だ。ゆったりとした仕草で返礼を返してくる。そのぼろぼろの身なりに反してとても洗練された動きだった。


「これはご丁寧にすまない。私はヤィードと申す。家名を捨てし世捨て人だ。そうか、君はあの当代きっての名手と名高い、あの錬金術師の娘さんか」

「父を、御存じなのですか?」

「いや、お目にかかったことはない。私も一時期錬金術協会に関わっていた時期があって、風の噂で聞いたことがあるだけだ」

「そうですか……。ここの錬成品はヤィードさんが錬成されたのですか?」

「そう、見よう見まねでな」


 そこで改めて私たち四人を見回すヤィード。


「どれ、近くに私がねぐらにしている部屋がある。西方は今もきな臭いのだろう? 向かわれる前に、良ければお茶でも飲んで少し休んでいかれるといい。その様子だと、お疲れじゃろう」


 私はヒルダちゃんたちと顔を見合わせる。特に誰からも反対の声は上がらない。


 ──立ち振舞いからみて、少しは戦えそうだけど、たぶん私一人で対応できるぐらい。錬成品や錬成獣による毒についてはヒルダちゃんがいてくれるし……


「それではお言葉に甘えて……」

「うむ。こっちじゃ」


 そういって歩き出すヤィード。あとを追うように私たちは歩き出した。


『辺境の錬金術師』書籍三巻が、10/25発売となります!

表紙も公開されましたので、ページ下に掲載しております。


今回も、又市マタロー様のとても優美で印象的な最高のイラストです。

イブの竹の建物の自室がとてもおしゃれで。ルストの膝でじゃれつく、まだ可愛らしいセイルーク。そしてついにシェルルールにもイラストがついて、表紙を飾りました!


今回の三巻は三万字くらい加筆してまして、そのなかでも、シェルルール視点のルストの様子がかなりの割合をしめております。


各種サイトで予約受付も開始されているようですので、何卒よろしくお願いいたします!


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