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【本編完結】辺境の錬金術師 ~今更予算ゼロの職場に戻るとかもう無理~《コミックス発売!》   作者: 御手々ぽんた
第六章

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SS ヒポポブラザーズ誕生《第三世界》

「なるほど。大型化させた場合のデータもかなり集まってきたな」


 私が錬金術協会の錬成獣開発課で間借りしているスペースで、実験結果の対照表を眺めながら呟く。


「ルスト師、まだやってたのか」

「ああ、すまん。鍵は閉めとくから」

「ほどほどにな」


 入り口から声をかけてきたのは、錬成獣開発課に勤めている同期だった。前に錬成獣開発課の手伝いをしたよしみで、施設を使わせてもらっているのだ。


 私の目の前の水槽に浮かぶのは、ヒポポシリーズと名付けたヒポポの弟分たち。


 ヒポポは私が初めて最初から最後まで一人で錬成した錬成獣で、とても優秀なのだが一つだけ欠点があった。

 それは八本ある脚のせいで、内臓機能がかなり制限されているのだ。


 そのため、食事に配慮がいるのは当然のこと。細やかなメンテナンスの他に、定期的に大規模な検査も欠かせないのだ。


「ヒポポシリーズから、そんなヒポポの不便を解消するヒントが手に入ればと思ったんだが……」


 今のところ、これといった解決策は見つかっていなかった。こうして産み出してきたヒポポブラザーズも、もう両手の指の本数を越える。

 幸いなことにどの仔も元気で、細やかな世話もローズやアロマカズラに手伝って貰えているので、もう少しトライ出来る余地はある。


「でもあんまり増やしすぎると、ローズに怒られそうな予感はあるんだけどなぁ、あと少しで何かつかめそうなんだよ」


 私は目の前の大型のヒポポブラザーズに話しかけるように呟く。

 まだ生まれでていないこの仔は、まだ明確な意識は芽生えていないはずだ。それでも水槽ごしに、まるで返事をするように大きくあくびのような動作をしている。


「うん? 魔素溶液に浸かっているから、あくびをする必要性も、必然性もないんはずなんだけど……。逆に肺に負担が──というか、こんなしぐさをこのフェーズでみせる個体はこれまでいなかった……」


 頭の片隅を違和感が走る。

 それはどんどんと大きな疑問となっていく。


「今の一連の動作の部分、魔素溶液濃度の変化の記録は……いや、だとすると……」


 一つの気づきから、次々に疑問が浮かび、検証を重ねていく。

 私は気がつけばそのままずっと調べものと錬成の繰り返しを行っていた。


「できた……」


 目の前の皿の上には、紆余曲折の果てに完成したヒポポ専用のペレット状のご飯だ。

 当然、特別製の逸品。


「おい、ルスト師。徹夜したのか?」

「あれ、朝か」

「おいおい。ほどほどになと、言ったよな?」


 呆れたように私の方を見ながら告げる同期。


「そんなことより、これを見てくれ。完成したんだ。これまで私は、ヒポポたちの内臓機能が制限されているのであれば、制限された内臓機能を、極力使わない食事が必要だと考えていたけど、それは間違いだったんだ。このデータのここ。わかるか。まだ生まれでていないヒポポブラザーズが、あくびをして魔素溶液が肺に大量に流れ込んでるんだがその負荷が必要で──」


 私は熱に浮かされたように同期に語りかける。

 ヒポポブラザーズたちのデータから導き出した結論を言えば、ヒポポたちの体に害になる栄養素を、極僅かに混ぜる食事が正解だったのだ。


 それを遮るように止めてくる同期。良い奴なのだが彼は少し心配性なのだった。


 とはいえこの専用のペレット状のご飯の完成を期に、ヒポポとヒポポブラザーズたちの生活はかなり改善させる事となるのだった。


本日、コミカライズ20話①更新されてます!

カリーンが格好いい!

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