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根回しをしておこう!!

「はい、これで全部っと」私は目の前にあったカゲロの実を全て魔晶石に錬成し終わると、伸びをする。


 山のように積まれた魔晶石。子供の背丈ぐらいはある。

 さすがの私でも小一時間はかかってしまった。


 途中で、あとは同じことの繰り返しですよーと声をかけたにも関わらず、かなりの数の村人達がまだ残っていた。


「村長さん、終わりました。どうぞお持ちください。どれも魔素たっぷりです。多分前に市販していたのより二倍くらいは持つはずです」と、その中に村長がいるのを見つけて声をかける。


「に、二倍ですか!? しかもこの量。これはこの村じゃ使いきれない……。領主様に相談しなければ……」と何故かぼうっとした表情で呟き続ける村長。


「村長さん、村長さん?」と私は再び声をかける。


「え、ああ、はい、すいません」とハッとした表情をすると一度頭を振る村長。


「いやはや、長年生きてきましたがこんなに驚いたことははじめてですよ。はい、それでは村に運ばせていただきます。ザーレ、お願いします!」と気を取り直したように指示を飛ばし始める村長。


 ザーレは荷車のようなものを村から取ってきていた。村人達がそれに次々に魔晶石を積んでいく。


 どうやら私が作業中に色々手配していた様子。


 ──うん、こういう段取りがちゃんとしているのは素晴らしい。これは今後の件も含めて話しておきますか。


 私はそんな事を考えながら村長へと声をかける。


「それではその他のカゲロの素材はもらっていきますね」と村長へ声をかける。


「あ、ルスト師、一緒に村まで運びましょうか?」と二台目の台車を指差しながら村長が返事をする。


 私はそこまで気配りしていたことに感心しながら、その好意を無にしてしまうことにちょっぴり罪悪感を感じる。


「あー。折角なのですが、大丈夫なんです」


 そして展開したままだったスクロールのうち、《研磨》と《解放》だけを同時発動する。

 研磨は金剛石の粉の密度をゼロにし、カゲロの素材の山をその竜巻で巻き上げる。

 肩から外したリュックサックを手に持ち、素材用の取り出し口を大きく開けると、竜巻でくるくる舞うカゲロの素材に向ける。

 そのまま《解放》のスクロールで微調整しながら、一気に素材をリュックサックの中へと吸い込んでいく。


「す、すげえ! どれだけ入るんだあれ」「一瞬で片付いたよ、見たかい」「見た見た、不思議だね……」と、村人達が魔晶石を積む手を止めてこちらを凝視している。 


「おい、みんなっ! 手が止まっているぞ」とそこにザーレが声をかける。


「さて、村長さん、ちょっと相談があるのですが」そんなやり取りを眺めながら、私は村長に声をかける。


「っ! わかりました。それでは私の家で。ザーレ、あとは頼みます」


 それだけで、私の場所を変えたいという意図を理解してくれる村長。私はその察しの良さに、この人なら大丈夫そうだと内心安心しながら一緒に村長の家へと向かった。

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― 新着の感想 ―
[一言] 今回はこれでどうにかなったし 数も予想以上だとは思うけど 消耗品である以上 何時かは無くなるんだよなあ やっぱり生産再開しないと 辺境は死に体のままかな
[一言] つまり、昔は各地でカゲロの実から魔晶石を作ってたってことですか。 技術や知識が衰退しちゃったのかな。 それにしても、空気中の魔力を魔晶石に出来るんだから、 事実上の無限資源ですよねぇ この…
[気になる点] まだ友達すらきちんと出てきていないんでよね。
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