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5.冒険の始まり-5

本日二話目です。書き忘れていましたが、しばらくの間は説明的な部分が多くなります。なるべく違和感のないようにはさみます。

大きな北門をくぐり抜けると、目の前には森が広がっている。おそらく森の浅いところでは弱いモンスターが出て、深いところへ行くほど強力なモンスターが出現するのだろう。とはいえ、始まりの街近辺の森であるからには、強力といってもたかが知れているはずだ。


「悪いが、少し試射させてもらっていいか。」


森に入ったあたりで、俺は3人に声をかけて止まってもらう。森の木は弓の試射をして、現状の俺がどの程度正確に射れるかを図るのにちょうどよいのだ。


「いいよ!弓使ってるの見てみたいし!」


「そうですね。戦闘前に調整できるならしておきましょう」


「すまない。ありがとう」


周辺の木の位置を確認して、四本の木から適切な距離を取れる立ち位置を探すと、そこに立つ。


弓を構えようとして矢筒に手を伸ばしたところで、今木の矢を30本しか所持していないことに気づいた。すぐに尽きてしまいそうだ。そこから一本丁寧に射たあと、3本連続で早射ちする。


「ムウ、どんな感じだい?」


弓を下げて、射った時の感覚とそれぞれの木のあたった位置を確認していると、トビアが話しかけてきた。マーヤとカナは楽しそうに見ている。


「早射ちで、5で2、10で5、15で10、20で15だ。それより先は直線では当たらない。」


5で2というのは、5mの距離で狙った的に対して、狙った点から半径2cm以内に当てることができる、ということだ。


かなり感覚が鈍っているのだろう。βテストで鍛えていた頃なら、更に遠い距離でも狙った点にドンピシャで当てることができていた。イメージトレーニングでは不完全だったということか。



今はステータス値が初期のままであるため、射程が短いのも、精度が低いのも仕方がない。むしろ、俺の攻撃力に全く振ってないスキル構成かつ初期配布の弓で20m飛ばせることのほうが驚きだ。


理由は今持っている弓だろう。俺の掴んでいるところを起点として黒い紋様が広がっている。力を抜くと紋様が手の方向へと吸い込まれるように消えた。


ロストモアの種族能力だ。俺は弓の弾力が上がるように強化を設定した。そのおかげで、初期配布のやわい弓が、多少はハリを持っているのだろう。


「ふーん、昔の君とは比べるべくもないか」


「ステータスも追いついてないし腕も衰えている。こんなものだ。それよりトビア、上から2つ小型だ」


トビアの慰めとも独白ともつかぬ言葉に答えながら指示を出す。


「りょーかい」


鞘から剣を抜いたトビアが、流れるように頭上から襲ってきたモンスターを剣の腹ではたき落とす。樹上から来た時点で予想はできていたが、小さな猿型のモンスターだ。


「これってマンキーだよね」


「ああ、久しぶりだ」


マンキーはβテストのころにも森に生息していたモンスターだ。奇襲が得意で、危なくなるとすぐに樹上に逃げる厄介なモンスターだ。ただ、非常に弱いモンスターであるため、樹上に逃げようとした時点で瀕死であり、結局逃げることができないということもよくあった。


「よく気づいたね」


トビアがモンスターから目を離さずに言うのは、まだレベルの低いスキルでよくマンキーの奇襲に気づいたのか、という話だ。マンキーの奇襲は避けるのが難しいことで有名だからだ。


「耳がいいんでな」


そうにやりとしながら言うと、トビアも釣られたかのようにニヤリとする。俺の耳の紋様を見て、俺の種族がロストモアだということに気づいていたのだろう。


トビアも腰を叩いてアピールしたり、装備する予定だった魔法を装備していなかったりと、あきらかに魔法が得意ではない種族になっているはずだ。そして容姿がほとんど人間であることから、ロストモアしかないだろうとは思っていた。


そもそも、こいつ、いやこいつらがロストモア以外になっていることはないと自信を持って言い切れる。魔法が使えない、のではなく、魔力が一切扱えない、のであれば悩む価値も合っただろうが、魔力が使えるのであれば、アーツやレシピ生産は使えるし、困るのは魔法を使う必要に駆られたときぐらいだ。


そして、基本的に俺やトビアの仲間は【求道者】である。これは誇張でもなんでもなく、そのままだ。つまり、誰も彼も何かしらの武器の道を極めようとしているのだ。そのためには魔法を捨てるぐらいは厭わない。むしろ武器や身体能力が強化される分メリットしかない。


「そうだね」


「カナ、マーヤ、二人で一体やってくれ。俺とトビアで手負いの方に行く」


「わかりました。マーヤちゃん、私が先行します。合わせを」


「わかったよ!」


二人はβテストから共闘していたようだし、マンキー程度に遅れは取らないだろう。


「トビア、手札は晒すなよ」


「わかってるよ、普通の剣士らしく、ね」


隣に並んだトビアに言うと、そう返して突っ込んでいった。マンキーは頭頂高60cmのモンスターである。身長は小さい代わりに、腕のリーチは割と長い。体と同じぐらいある。


先行するトビアに、キエーッと叫びを上げながらマンキーが飛び上がる。振り上げた腕がわずかにトビアのシルエットから飛び出たところで、少し距離を詰めていた俺はその腕を射抜き、予定のコースからそらす。


いくら今の俺の攻撃力が弱いとはいえ、軽いマンキーのしかも腕だ。弾けないわけがない。とはいえ、武器もレベルも未熟な今はダメージに関しては微妙なようだ。


腕を弾かれたことでマンキーが空中で体勢をくずす。それをトビアが見逃すはずもなく、少し沈み込んで上向きに斬撃を放つと、地面に落ちる前に貫く。


それで力尽きたマンキーはトビアの剣にささったまま光となって溶けるように消えた。目の前にアルトの窓が開かれ、獲得したアイテムとして【マンキーの皮】が表示される。


「お疲れ。今の動きだとレイピア派生か?」


「いや、レイピアじゃないよ。俺は鍛冶師だからね。鍛えたい剣の構想もある。まあ見ててよ」


そうか、と俺はうなずく。別にトビアが何を使っても構わない。何を使っても楽しいのだ。何かを極めようというのは。ただ、速い斬撃と、鋭い突きをしよとする姿には一番レイピアが合っているような気がしたのだ。今も突きが中途半端になっていたが、軽いレイピアなら速く動ける。


「そうか、お前は盾職も兼任するんだったな」


「そういうこと。まあ受けるとしても軽くだけど、多少は受けれるようにはしときたいよ。レイピアはぬるすぎるんだ。こんなこといったらフォルクに怒られそうだけど」


確かに、と笑いながら返した。


そうこうしているうちにカナとマーヤの戦闘も終わる。手間取っていたように感じたが、どちらかというと受けが得意な二人だから時間がかかったのだろう。ダメージはほとんど受けていないようだ。


「みんな余裕そうだし、もう少し先に行こう」


トビアがそう言って歩き出そうとすると、マーヤに、ちょっと待って、と止められた。


「お兄ちゃん、せっかくいっしょに来たんだからさ、私とペアでやろうよ」


「うーん、そうだね。せっかくだしそうしようか」


「良いですね、では兄さん、私と組みましょう」


カナが確認するようにこっちを向くので、うなずき返す。


「決定だね。じゃあそれぞれ打ち合わせしながら進もう」


森に入ってきた方向を確認して、まっすぐ森の奥、北の方へ進んでいく。“方向感覚”スキル、もそのうち必要になるのだろうか。この程度の森なら迷うことはないだろうが。そう言えば今は鉈がないのでできないが、本来であれば、森の地図もないので、迷わないように木にマークをつけながら進みたいところだ。


今は木に印を刻む手段がないので、それを諦めて道を確認しながら進んだ。


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