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オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
29 巨獣の台地の小さな魔物編!
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700 【醜い魔物の成り上がり】巨獣の特異な器官と雷光のバケモノ

(う、うわぁ......)


 遠くで光っていた巨大光球......それに近づいたドクゲーゴンは、毒液に塗れたその羽毛を思わず逆立てた。

 何故ならその光球の正体は、先程彼に襲いかかって来た発光寄生虫達の、集合体であったからだ。


 うねうねと蠢く紐状の寄生虫達が、何千、何万と集まり......胃壁に生じた出来物のように、逆さのドームを形作っている。


 ......見るだけで不快......それを通り過ぎて、苦痛。

 そんな光景。


 しかし。


(......“何か”、ある)


 ドクゲーゴンは苦痛を堪えてドームを観察し、それがただの寄生虫の集合体ではないことを発見した。

 寄生虫は常に蠢いているため、時折彼らがたかっている『何か』の地肌が見えるのだ。


 胃壁から飛び出した、巨大な出来物のような、ドーム状の『何か』。


 その正体は不明であるが......少なくともその『何か』は、大きなエネルギーを秘めた器官であると、ドクゲーゴンは推測した。

 何故ならば、そこにたかる寄生虫達は、他の部位に巣くうそれとは異なり、常に光り輝いているからだ。


 それは即ち、寄生虫達が常に、『何か』からエネルギー......魔力を吸い取り続けているからに違いない!

 ドクゲーゴンの毒で弱った寄生虫達がこの場に逃げようとしたのも、きっと魔力を吸収して回復するためなのだろう。




(それなら......うぅ、気持ち悪いけどぉ......!)


 そこまで考えたドクゲーゴンは、覚悟を決めて寄生虫ドームの周囲を旋回し始めた。

 そして、自身の周囲に特大の毒液球を何発も作り出し......射出!


「「「「「アァァアアアニサアーーーーーーッ!?」」」」」


 その密度が故に......毒液は寄生虫達に、狙うまでもなくよく当たった。

 毒まみれになった寄生虫達は、次々に浴びせられる毒液によって【毒耐性】を突破され、次々と死に、ボトボトと胃酸の湖へと落下していく。


「「「キィィイイイーーーッス!!!」」」


 もちろん、寄生虫達も黙って毒を浴びているばかりではない。

 バチバチと音を立てながら、何発もの黄色雷球が、ドクゲーゴンに向かって飛んでくる!


「ンエーーーーーーッ!!」


 ドクゲーゴンはその全てを、体を左右に揺らし、時には急上昇、あるいは急下降しながら、回避し続ける!


「アァァアアアニサアーーーーーーッ!!!」


 時折飛んでくる捨て身の突進すらも危うげなく避けながら、ドクゲーゴンは寄生虫達に毒液を浴びせ続けた。

 空中戦に関しては、ドクゲーゴンに一日の長があったのだ!


 スイスイと泳ぐように宙を舞いながら、戦い続けること数分。

 ついに『何か』の表面に群がっていた寄生虫達の姿はまばらになり、その地肌が露わになった。




「ンエッ......!」


 それは、表面にびっしりと柔毛を生やした、どす黒い......不気味な謎の器官であった。

 ドクゲーゴンは、前世の学校で......胃にこのような器官があるなんて、教わった記憶はない。


 しかし、その器官が何であるかなど、ドクゲーゴンには関係なかった!

 彼が目指すのは、陸クジラの討伐!

 彼がやるべきことは考察ではなく......寄生虫も群がるエネルギー豊富なこの器官を、毒で攻撃することだ!


 戦うのだ!

 ......エミーと共に!


 ............そして、なんとか早く状況を解決して、とにかくこの恐ろしい環境から解放されたい!




「ンエッ!」


 ドクゲーゴンはここで頭上に特大の毒液球を作り出した。

 その毒液球は渦を巻き螺旋を描きながら伸び、槍へと変ずる。


「ンエーーーーーーッ!!!」


 しかしシュルシュルと高速で回転し始めたそれを、ドクゲーゴンが謎の器官に向けて射出しようとした......その時だ!




<<<おおっと、待ちなッ!!おイタはそこまでだぜッ!!>>>




 ドクゲーゴンの脳内に突然、聞き覚えない誰かの声が響いた!


「ンエッ!?」


 未知の現象に怯んだドクゲーゴンは集中力を失い、頭上の槍はその形状を維持できず、無数の小さな毒液の球に戻る。

 胃酸の湖に落ちて行こうとするそれらを、ドクゲーゴンはすんでのところで空中に留め、自らの周囲に浮遊させた。




<<<眷属が減っているから、何かと思って来てみれば......テメエッ!!このオレ様の縄張りを荒すとは、良い度胸だな、あぁッ!?>>>


 まるでゴロツキが凄んでいるかのような下品な声が、再びドクゲーゴンの脳内に響く。

 そして、次の瞬間だ!


 バチバチバチッ!!


 ドクゲーゴンの目の前に、突然黄色の雷光が迸った!

 そして......不思議なことにその雷光は溶け消えることなく宙に留まり、バチバチと音を鳴らしながら“細長い何か”を形成し始めた。


 それは、蛇のような胴体に......無数の手足と翼が生えた......トカゲ顔の生き物の姿である!


「ンエッ......」


 その、無数の手足を持つ不気味な姿から、ドクゲーゴンはムカデを連想し......思わず怯んだ。




<<<あああッ!?なんだテメエッ、よく見たら外で暴れてるガキ型のバケモノの、ペットの毒鳥じゃねぇかッ!?>>>


 そんなドクゲーゴンを睨みつけながら、雷光のバケモノはうねうねと細長い体をくねらせ、驚いたように叫んだ!

 どういう訳か、こいつは外界での出来事を把握することができるらしい。

 そしてこのバケモノは、はっと驚いたような顔を作って、再度叫んだ!


<<<そうか......そうかッ!!読めたぜ読めたぜッ!?あのバケモノの狙いがよぉッ!!いきなり口ん中飛びこませて、何させる気かと思いきや......そうかよッ!!“知って”いやがったかよッ!?この、“蟲毒器官”の存在をよぉッ!!>>>


(え、いや、知りませんでしたけど!?何、その“蟲毒器官”って!)


 そう叫んだバケモノは、バチバチと体を光らせながら......ドクゲーゴンからかばうように、どす黒い謎の器官にひっついた。

 どうやら、この謎の器官こそが......“蟲毒器官”と呼ばれるものらしい。


<<<そう言えば......毒鳥ぃッ!!テメエもきっとこの“巨獣の台地”の生まれ......ならば、テメエも持ってるもんなぁッ!?無限の成長を約束する、この器官をッ......!!>>>


(えッ、そうなのぉ!?こんなの、ボクの体内にもあるのぉ!?きもいよぉッ!?)


<<<故にぃッ!!本能的に、理解してやがったかぁッ......!!いかに陸クジラが強大であろうとも、この蟲毒器官こそが、致命的な弱点になりうることをよぉーーーッ!!>>>


(そんなことッ!!初耳だよぉーーーッ!?)


<<<だが、しかぁーーーッし!!本来の肉体を失い、早数千年ッ!!なんとか陸クジラの生体電気に【憑依】し、情けなくも半魔構生命体へとこの身を堕としたオレ様は、もはや陸クジラとは一蓮托生ッ!!だからぁーーーこそぉーーーッ!!!>>>


(ひぇッ!?)


 ここで!

 目の前のバケモノは一際大きな音をバチバチと鳴らし全身から黄色雷光を迸らせ、ドクゲーゴンを威嚇!


 そして、叫んだ!




<<<このオレ様、雷黄帝竜ピリリビチ・ラギ・ウバギレがッ!!テメエらの好きには、させねぇーーーーーーッ!!!>>>

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