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オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
24 美少女探偵アカシテリカ編!
577/720

577 目覚めた場所は、どこかと言うと

「......む」


 パチリと目を開け、飛び起きると。

 そこは、それまでのジメジメとしていて暗い旧帝都地下道とは、全く別の場所だった。


 何が違うって、空気が違う。


 まず、凄く気温が高い。

 サウナの中にでもいるような暑さだ。

 だけど、とても乾燥している。

 地下水道を流れて来た後だから、私の髪はかなり湿っていたはずなんだけど......。

 どれだけ眠っていたかは知らないけど......強制転移させられ意識を失っている内に、すっかり乾いてしまっている。


 ってか、転移で意識を失うとは。

 初めてなんだけど。


<つまりはあの転移玉、粗悪品でしたね。所詮はパーティグッズということです。それよりも、ここはどこでしょうか......>


「............」


 オマケ様の困惑の声に無言で小さく頷き、同意する。

 そして周囲を見回す。




 私が今いるこの場所は、どうやら四角い形をした小さな部屋であるらしかった。

 四方の内三方は、ずいぶんと硬そうな石造りの壁だ。

 その内の一つの壁には、天井近くに、換気口なのかな......どう頑張っても人は通れない程度の細長い穴が開いており、そこから埃っぽい室内に赤い光が差しこんでいる。

 そして床も天井も、同じく石造りだ。

 床の上にはほとんど物は置かれておらず......唯一、用途のわからぬ大きめの壺だけが、部屋の隅にたたずんでいる。


「............」


 と、まあ。

 このように、室内を描写してみたものの。


 何よりもこの部屋を特徴づけているものが、残された一方の壁面だ。

 いや......壁面ではない。

 これは......。


「鉄格子......?」


 そう。

 四方の内三方は石壁なんだけど、残りの一方は古めかしい鉄格子なんだよね。


 これってさ、オマケ様。


<はい>


 もしかしなくてもさ、オマケ様。


<はい>


「......牢獄、かな」


<その通りですね、エミー。ムノーデス......あの人間、やってくれましたね。確かにここは、あれの言う通り直ちに命の危険がある場所ではない。しかし......!>


 普通ならば、脱出できないような場所ってことか。

 まあ、嘘はついていない。


<『嘘はついていない』じゃ、ないですよエミー!あああ、もう、エミーをこんなところに、送りこむなんて!エミー!もし、あの人間にこの先出会うことがあれば、絶対に八つ裂きにして、殺しましょうね!>


 落ち着いて。

 落ち着いて、オマケ様。


 多分あれは、ほとんどアカシテリカから離れることはないから。

 彼女の前で、人殺しは避けたいかな......。


<逆になんであなたはそんなに落ち着いているんですか!?>


 ははは。

 まあ、さ。

 ちょっと今、喪失感で脱力しているってのもあるけど。

 それよりも。




「鉄格子如きで、私が封じられるか」




 ここは、どう見ても牢獄。

 だけど、ここから出たいのならば、壊してしまえば良いだけだ。

 私の自由は、全く損なわれていない。

 ならば、そこまで怒る必要も、ないかな。


 私は膂力に任せ、それを折り曲げ破壊して外に出ようと......両手で二本の鉄格子を、無造作に掴んだ。


 ......しかし!




「!?」


 バチィッ、と!

 鉄格子を掴んだその瞬間......私の両手を起点として、全身に電気が流れたような痛みと衝撃が走った!


「............!」


 思わず鉄格子から手を離し、両手のひらを見る。

 ジュウジュウと音を立てながら、既に回復し始めてはいるものの......私の手のひらは今の一撃で、すっかり焼けただれてしまっていた。

 というか、今の痛みはただごとではないよ?

 常人なら、ショック死しても、おかしくないのでは!?




「............」


 私は少し焦りながらも回復を待ち、焼けただれた手のひらが元通りになったのを確認すると、今度は拳を握って石壁に向き直った。

 腰を落とし、拳に魔力を集中する。


「らッ!!」


 そしてその拳を、思いきり石壁に、叩きつける!

 【魔撃】だ!


 でも......!




「!?」


 私の拳は確かに石壁に到達し、何かを殴ったという感触は、あったんだけど。

 ガイン、という妙な音がして。

 私の【魔撃】によるダメージは、石壁には一切通らなかった。

 崩れ、大穴をあけると予想した牢獄の石壁は、なんら変わりなく、そこに現存したままだ。


<これは、【結界】......!?それも相当に、高度な!>


 オマケ様は驚き慌て、そして。


<エミー!これは、本当に......まずい事態かもしれません!天井付近の換気口から、外の様子を確認できますか!?>


 私にそう、指示を出した。


 私は【紙魚】を使ってヤモリのように石壁を這い登ると、細長い穴から外を覗き見た。




 すると、まず目に飛びこんできたのは、雲一つない夕焼け空......あるいは朝焼け空だ。

 旧帝都は現在、夜だったはず。

 それだけ時差がある場所に、転移させられたということだ。


 そして次に目に留まるのが。

 ......というか、空の他には、一面これしかないんだけど。


 ......砂だ。


 雲一つない空の下には、草木一つない砂の大地が、地平線まで延々と続いているんだ。

 ああ、お日様が......沈んでいく。

 沈むってことは、夕日だったんだな。

 沈む夕日が、丸い地平線の向こうまで覆いつくす砂の大地を、真っ赤に染める。

 地平線が丸い。

 つまり、私のいる牢獄は、それなりに高い位置にある。

 塔みたいな建物なんだろうか。


 ああ、もう。

 ちょっと注意力が、散漫だ。

 やっぱり私も、それなりに動揺しているらしい。


 とにかく!

 ここは、どこなのかと言うと!

 端的に、まとめるならば!


 砂漠の中の、牢獄です!




<あああッ!なんということでしょうッ!>


 ここで、オマケ様が嘆きの声をあげた。

 どうやらオマケ様は、今の風景等から、ここが一体どこなのか......正確に理解したらしい。

 そして、嘆いている。


 え、なんなの?

 ここ、そんなにやばい所なの?


<ええ、エミー......異世界転生配信で、視たことがあります>


 オマケ様の、この台詞......いつもなら嬉々として言う言葉なんだけど、今回は違う。

 かなり、重々しい口調だ。


<落ち着いて聞いてください。ここは、全世界から凶悪な犯罪者たちが......そして神々に歯向かう世界運営の妨害者たちが送りこまれ、命尽きるまで収監される......神々が創りし牢獄>


 オマケ様は、ゆっくりと語る。

 私はとりあえず床に降りて座り、その話を聞いた。


 夕日はどんどん沈み、換気口から差しこむ赤い光も、微かなものになっていく。

 牢獄は徐々に、闇へと沈んでいく。


 そんな中。


 オマケ様は、ついに。


 私が今いる、この場所がどこなのか。


<その名も......>


 はっきりと......明らかにした!




<デレネーゾ大監獄!!>

 新たな物語の舞台......それは、“デレネーゾ大監獄”!

 きっと、並大抵のことでは出ることができない、恐ろしい監獄に違いありません!

 なんてわかりやすい名前なんだ!


 いや、いつも通りアホみたいなってかアホな名前だとも、思ってはいますが。

 実はこの監獄、第18章にて、名前だけは既出ですので。

 今さら変更する気は、ないのです。




 さて、とても長かった第24章でしたが、おつきあいいただきましてありがとうございました。

 残りはいくつかのエピローグをやって、第24章本編とは関係のない閑話をやって、この章はおしまいです。


 慣れないことをして、私的にはとても大変な章でした。

 いつも以上に粗もあったかとは思いますが、楽しんでいただけたなら幸いです。


 第25章以降も、どうぞよろしくお願い申しあげます。

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― 新着の感想 ―
[一言] デレネーゾ大監獄!これは脱出不可能な感じがビリビリと
[一言]  監獄と言えば同じ18章でどこか知らねど監獄暮らしのピリッツアが居たけどこれはもしかしてアレらとの再会する流れかな?( ̄∀ ̄)だったら今度こそクソ受付嬢とクサレ道化に盛大なザマァを期待したい…
[良い点] 面白かった!更新ありがとうございます。 [一言] 探偵神は味方になるのか 敵として養分になるのか
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