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オマケの転生者  作者: むらべ むらさき
24 美少女探偵アカシテリカ編!
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576 旧帝都地下における敗北

「は、は、は......いくら探偵神様にお力を授かったとは言え、ボクは戦いとか......野蛮なことは苦手なんだ。キミを相手取るってのに、なんの準備もしていないわけが、ないよね?」


 ムノーデス刑事はニヤニヤと笑いながら、そうやって私のことを嘲る。


「............」


 とりあえず、殺気をぶつける。

 ただの人間なら、意識を失って倒れるくらいの【威圧】だ。

 でもムノーデス刑事は、ニヤニヤ笑いをやめない。


「ボクが死んだら、犯人はキミだって......そう広まるように手筈は整えておいた。殺人犯は、探偵のバディにはなり得ない。は、は、は、これが、大人の力だ!」


 しかしムノーデス刑事の顔は、青い。

 額には、汗がにじんでいる。

 私の【威圧】が、届いていないわけでは、ないのだ。


「ボクを殺せるもんなら、殺してみろッ!!別に良いさ、“居場所”を奪われ続けるなら......ボクにはもう、生きている意味なんかないんだからッ!!でもそのかわりに、キミの“居場所”も、奪ってやる......は、は、はッ!!」


 だけど、笑う。

 ムノーデス刑事は、狂ったように笑う。

 その小さな瞳を、爛々と輝かせながら。


 ......もう、あれは、腹がすわっているんだ。

 暴力をちらつかせて、どうこうできる相手ではない。

 癪に障る。


 でも。




「なら、お前は、私にどうしろと?黙って、殺されろと?」


 結局のところ、そこが問題となる。

 当然私は、殺されてやるつもりなんか、ない。

 何を犠牲にしてでも、生き延びる。


 ならば。


 生き延びられるのであれば。


 友人を失ったとしても構わない。


 友人と、敵対したとしても、構わない。


 私は、生きる。




「お前を、殺す!」




 私の放つ殺気が、爆発的に膨れあがる!




「......はあ、キミは本当に、死ねだの殺すだのと物騒だね。その野蛮さが、キミの本性だ。やはりキミは、アカシテリカちゃんのバディとして、相応しくないね」


 でもムノーデス刑事は、逃げるでもなく戦うでもなく......そんな私の様子を見て肩をすくめ、鼻で笑った。


「話しあいを、しようじゃないか。交渉だよ、エミーちゃん。ボクらは、獣じゃないんだ......言葉による意思の疎通ができる。そうだろう?」


 そして、これまで手のひらの上で転がしていた紫色の宝玉を握りしめ、私に見せつけるように前へと突き出した。




「これは、“転移玉”。探偵神様よりボクが授かった、使い捨ての神器さ。『どうやっても勝てないイレギュラーが現れた時に、使うように』って言われてるよ」


 ムノーデス刑事がそういった途端、その転移玉とやらは、紫色の光を発し輝き始めた。

 転移魔方陣を使った時と、同じ色の輝きだ。


「その効果は名前の通り、転移だよ。これをぶつけられた対象は、戻ってこれない程遠くへと、飛ばされちゃうんだってさ。つまりエミーちゃん、ボクはキミの、死までは望まない。ボクがキミに望むのはね......この転移玉の力で、どこかボクの目の届かない場所に、消え去って欲しいということなんだ」




「............」


 オマケ様、嘘はあるかな。


<あの神器の名前と効果については、嘘はありません。あれは神界の雑貨店などで売られている、神々のパーティグッズです。商売神の配信で、視たことがあります>


 パーティグッズなのか......。


<問題は、転移先がどこに設定されているか、です。深海の底やマグマの中に転移させられてしまっては、さすがのエミーと言えども、命の危険がある......かな?どうだろう?>


 いや、あるよ......。

 多分、あると思うんだけど......。




「......質問」


「何かな?」


「何故、その転移玉を使う?このまま、私が、歩いてこの国から立ち去る。それじゃダメな、理由は?」


「ボクが、キミを、信じていないからだ」


 ムノーデス刑事はニヤニヤ笑いを引っ込め、無表情になって、端的にそう言い放った。


「『この国を去る』って言っておいて、キミはまっすぐにアカシテリカちゃんの事務所に、戻ろうとするかもしれない。ボクは、確実に、キミに消え去ってもらいたいんだ」


「お前はその転移玉で、例えば私をマグマの中に飛ばし、殺す気かもしれない」


「ボクは、殺しはしない。仮にも、探偵神様の使徒なんだ。絶対に殺人は、犯さない。転移先は凄く遠くだけど、すぐに命の危険がある場所ではない。探偵神様に誓って、保証する」




「............」


 オマケ様。


<嘘は......ないでしょう。彼が探偵神の使徒であることは、おそらく間違いのないことでしょうし......使徒が、その神に誓ったのです。嘘は、つけません>




「ああ、それとね。ボクがキミに消えて欲しい理由は、何もボクの嫉妬だけが理由ではないんだ」


「どういうこと?」


「キミが現れてから、明らかに......アカシテリカちゃんが、危険に晒される事態が増えている。今回のテロリストの暴走なんて、その最たるものだ。呪い子は周囲に不幸を振りまく......本当だったんだね?」


「............」


 痛いところを、突かれた。

 それを言われると、私は反論できない。


「幸い、アカシテリカちゃんは無事だよ......彼女にも、色々と奥の手はあるし、いざとなれば探偵神様のお力添えもいただけることでしょう。でもね、キミ、アカシテリカちゃんのお友達を気取っているんでしょ?それなのに、キミのせいで、アカシテリカちゃんを危険な目にあわせて、良いのかな?」


「............」


「ね、わかるでしょ、呪い子。キミが、本当に彼女のことを大切に思うならさ。キミは、彼女と一緒にいちゃ、いけないんだよ」




 その、言葉は。

 自分でも、思っていることでも、あるけど。

 改めて、他人に言われてみると。


 結構......心にきた。




 喪失感。


 ポッカリと、胸に穴が開いたような気分だ。


 いつのまにか、全身に漲っていた殺意は霧消して。


 私はすっかり、うなだれていた。


 私は、自分が生き延びるためなら、友達と敵対しても構わない。

 それが必要なら、アカシテリカだって殺す。


 でも。


 そうじゃないのに。


 私の存在が、彼女を殺し得るのならば。




「......潮時、なのかな」


 ポツリとつぶやいた私の言葉を聞き逃さず、ムノーデス刑事は満面の笑みを浮かべた。


「なんだか、夢のような、時間だったよ」


「夢って、残念だけど、覚めるものなんだよね」


 ムノーデス刑事は肩をグルグルと回して、投球の準備を始めた。


「ねえ、ムノーデス刑事」


「何かな?」


「私がいなくなって、アカシテリカは寂しがらないかな?」


「寂しいだろうね」


「............」


「でもね、アカシテリカちゃんは、それを乗り越えられない程弱い人間じゃないでしょ?」


「............」


「信じてあげなよ。友達でしょう?」


「............」




 すっかり黙りこんでしまった私を見て、ムノーデス刑事は満足そうに頷いた。


「さて、それでは、さようならの時間だ」


 ムノーデス刑事は転移玉を眼前に構え、投球フォームに移行。


「お別れの言葉は、いらないよ。伝える気も、ないからね」


 腕をぐるんと回して、思いきり、転移玉を。


「二度と、出てくるなよ......バケモノめッ!!」


 私に向かって......投げた!




 その紫色の宝玉は、光り輝きながらまっすぐに飛びきたり......狙い過たず、私の腹部に命中した。


 すると、次の瞬間!


 転移玉から......それまでとは比べものにならない程の強い紫色の光があふれ......私の体を包みこみ、そして!




 ......私は、意識を失った。

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― 新着の感想 ―
胸糞……
4ねデブ。 オレはお前が嫌いだ。 呪われてあれ。
[一言]  全てを受け入れたエミーさんに感じる哀しさ……( ;ω; )別にエミーさん居なくても今回の事件は起きた筈だよ、呪い子とか関係ねーだろそれもわからずに自分の思いつきでエミーさんを非難するからお…
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