1 異世界転生用魂オークション
私も異世界転生もの書いてみたかったの!だから書いた。よろしくお願いします。
「暇を持て余した神々の皆様ァ!本日は、ようッッッこそお越しくださいましたァ!」
幕が開き、ステージ上に会場の熱気が流れ込んでくる。
マイクを持ったシルクハットにタキシードの妙に手足が長い男が、スポットライトに照らされ大声で叫ぶ。
その顔はぼんやりとした白い靄に覆われ、良く見えない。
キィィン......とハウリングが鳴るが、シルクハットは気にせず会場からの声援に手をふり応え、言葉を続ける。
......うるさい。すっかり目が覚めてしまった。
「本日行いますのはァ!......皆様お待ちかねッ!魂の、オォークショォォォン!」
......その一言で、私はいろんなことが腑に落ちた。
魂の、オークションね。
つまり私は、商品。“神々”とやらに売られる側の、魂。
いや、お弁当食べて、教室で昼寝してたはずなのにさ?
なんか目が覚めたら、妙に豪華な......舞台袖?ようは学校の体育館とかの、ステージ袖の豪華版みたいなとこにいるしさ?
ってか、透明なプラケースみたいなものに入れられて、身動きとれないしさ!?
ってかてか、今の私、手足とかないしさ!?なんかソフトボール大の人魂みたいな形してるしさ!!?
......うん、わけわかんなかったけど、人魂状態の私では文字通り手も足も出ないから(あ、うまいこと言ったぽくない?これ人魂ギャグ。皆も人魂になることがあれば使っていいよ!)、なんとかなるさと、適当に居眠りしてたわけよ。
で、さっきの大絶叫及び大歓声で目が覚めた、と。
はい、現場からの報告は以上で~す。
「......本日出展いたしますは、地球より収穫いたしました、年若い人間の魂でございまァす!その数、全部で29コン!」
シルクハットはステージ上の演壇から、客席に向かってしゃべり続ける。
“コン”てなんだ“コン”て。魂数える単位?知っても使えない豆知識だなぁ。
「もちろん、競り落としましたる魂につきましては、皆様のお好きにしていただいて、けっこうでございまァす!......それこそ、煮るなり焼くなり食べるなり!お好きなように!」
客席から笑い声があがる。
え!?魂って食材なの!?こわっ!神々こわっ!
客席に目を向けると、そこには超絶美男美女って感ヒトの人もいたけど、なんか角生えてたり、腕や足が何本も生えてるヒトがいたり、見た目がヒトっていうか昆虫だったりトカゲみたいなのがいたり、ぐちょぐちょ不定形のいわゆるスライムみたいなのがいたり......。
もしあれらが本当に神々なら、そりゃ魂も喰うわなって感じの連中であふれかえっていた。
「ンまァ!ここにお越しいただきました皆々様におかれましては!そんなもったいないことをされるわけがない!それはワタクシも重々承知してございますよォ!」
ジョークだったらしい。
「主役、脇役、はたまた悪役!どのようにご使用いただきましても結構でございます!
これらの魂、自由にお使いいただきまして、皆々様が紡ぎだしたる物語!存分に盛りあげてくださいませッ!」
......ん?主役?脇役?......物語???
「さァッ!第35,486回、異世界転生用魂オークション in アーディスト!開幕でございまァす!!」