靴音 同じ世界に響く音(ね)
君とボク。
少し遅くに生まれた君は、ボクの後ろから歩んできた・・・
よちよちと。
ふらつく足取りで・・・
とことことこって。
君の靴音がついて来るよ。
ちっちゃな靴で、一生懸命に。
てくてくって。
転ばなくなった君の靴音がついて来るよ。
少しだけ大きくなった靴で、よそ見しながら。
たったったって。
速足でもかけっこでも。追い抜かされそうになったよ。
もう、靴音も同じくらいに大きくなったんだね。
こつこつこつって。
颯爽と靴音を響かせて、君が歩むよ。
追い抜いて行く君を見上げて、羨ましくなるよ。
ボクと君との間には、どれ位の時が流れたの?
いつも追いかけて来ていた君は、もう背中を見せて。
いつまでも後ろに居るとばかり思ってた。
けれども、いつの間にか追い越されてた。
産まれた時が少しだけ早かっただけのボク。
君は僅かに後で、この世界に産まれた。
僕等は世界に誕生し、育まれ、教わり。
そして旅立ちを迎えられた。
君は今、新しい門出でボクを見返る。
微笑んでいるの?
笑ってくれるの?
・・・それとも、憐れんでいるの?
手を指し伸ばして、君は歩み続ける。
でも、今度はボクの番。
追い抜いて行った君を追いかけるんだ。
憐みなんて欲しくないから。
最期の時、必ず笑い合えると信じてるから。
だから歩みを停めないんだ。
後ろから聞こえなくなった靴音。
前を歩む君の靴音が、ボクを誘い続けるんだ。
だって今は、自分の靴音がしっかりと耳に届いてるから。
とぼとぼとぼって。
ボクが歩む前で、君が振り返ってくれる。
何かを見つけられるまで・・・ずっと。
どたどたどたって。
やっと見つけられた目標へ、ボクが走る。
笑う君が手を指し伸ばしてくれる・・・もう少し。
ばたばたばたって。
君の影がボクの横に並んだよ。
やっと君に並べれた・・・差し出された手を固く交し合えて。
さぁ、これからだよ。
君とボクの靴音が並んだよ。
同じ時代を生きる僕等の、世界が一つに成れたよ。
同じ世界に生きる、僕らの願いが叶ったよ・・・
これは独りの物語ではありません。
世界中で起きている狂騒を、協奏に換えたい希望が主軸となっております。
小難しい事を考えずに、歩む事を忘れずに。
前を目指して進みたいと思うのです・・・
お読みくださりありがとうございました。
さば・ノーブ 感謝