ふうせんねこ
屋根の上に、一匹のクロネコが日光浴をしていました。
「今日のお昼ご飯は美味しかったなあ」
遠くの方をみると、なにやらプカプカ浮かんでいるものがあります。
ピンクの風船です。
風にのって、こちらへやってきます。
「こんにちは」
クロネコは、風船に話しかけられびっくりしました。
風船には、メスネコが描かれています。
「わたしは、ふうせんねこのミーよろしくね」
「うん、ぼくはクロよろしく」
かわいいなあ。
クロネコは、一瞬でふうせんねこが好きになってしまいました。
「ねえ、なんでこんなとこにあるの」
「ごしゅじんさまが、わたしのひもはなしちゃったから」
「じゃ、ぼくがいっしょにいてあげるよ」
「ありがとう」
クロネコは、何度もジャンプしてひもをつかまえようとしましたが、うまくいきません。
風にのって彼女は離れていきます。
「危ないから、むりしないで。他の子がつかまえてくれるかもしれないし」
クロネコはあせりました。
好きになったふうせんねこと離れるのが嫌だったのです。
ふうせんねこが他の子にとられるのが嫌だっのです。
あきらめない。絶対彼女をぼくのものにしたいんだ!
そう思って、今までで一番大きなジャンプをしました。
とても大きなジャンプでした。
ひもを飛び越え、彼女のからだまで届きました。
やったー。これで彼女はぼくのものだ。
パーン
クロネコの尖った爪で、ふうせんねこは、消えてしまいました。
おしまい