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友人が異世界転生したのでぼっちになりました  作者: まさかさかなかな
よく出来た異世界転生は神隠しと区別がつかない
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ネットに染まる若者がこちら

 みかんの入った袋を手に持ちながら、自転車を漕ぎマンションへと戻る。


 その間、これからどうしようとか、如月さんに相談しなきゃとか、そういえば婚約者と顔合わせとか如月さん言ってなかったっけとか……いくらでも考えが湧いて来てしまう。


「まず、そう言うの馬鹿馬鹿しいから信じてはないけど、しょうも無い都市伝説とかから調べるか」


 ……自分が最初に考えた非現実的な仮説を差し置いて馬鹿馬鹿しいと言うのも自分勝手ではあるのは分かっている。

 ただ、エリスが消えた事について真面目に考えるならそういうことを調べるべきだと思うのだ。


「……と、思ったけど、もしエリスが失踪して自殺なんて可能性もあるかもしれないよね。やだけど、そんなの」


 正直、今の状態は非現実的な何かしらの力が働かないと起こらないだろうから、それも含めて自分の率直な考えを如月さんに告げて、協力をしてもらうべきだと思った。

 ……何というか、知らないおっさんに行動する事を肯定されるだけで、ここまで行動する意思を持てるのは我ながら単純というか、ちょろいというか。


「……まあ、したい事、エリスと全部出来なかったのもあるしね」


 ……別にやましい意味ではない。

 例えば、エリスと一緒に出掛ける事も近場以外では無かったという事だ。こんな片田舎の地方都市でできる事なんてたかが知れてるからね。


 それに、お互いを気遣ってどちらかが好きじゃない場所には決して行かなかった。僕が好きじゃないカラオケなんかもそうだ。


 ほんとは、エリスの事をもっと知るべきだったし、僕の抱えた想いも過去のトラウマですらエリスと共有した方がよかった。


 彼女にそれを求めるのはわがままだからと我慢をしていたが、僕はもっとエリスに自分の跡を刻みたかった。


「もしそうやって、本人に言ったらきっと『ムッツリどころかドスケベじゃない変態』とか返されるのかな? それともむしろ照れて言い返したりしてくるのかな?」


 そうやって妄想する事さえ許されなくなるのは嫌だから、僕は彼女にまた会うために、何でも頑張ろうと思うのだった。


 *


「遅かったじゃないですか。おかえりなさい」


 家に帰った僕を、そんな言葉で如月さんは迎え入れた。


「うん、ごめんなさい。ちょっと、説明し辛いんだけど色々あって……」


 そう言って僕はみかんが大量に入った袋を如月さんに渡す。


「なんです、これ? ……みかん? どなたに貰ったんですか」

「知らないおじさんです……」

「田舎のおじさんパワーは凄まじいですね……」


 そう言いながらみかんを受け取ってくれる如月さん。


「これは後々食べましょうか。何かお菓子に使っても良いですね」


 そして彼女はそのまま後ろを振り返ってリビングを目指す。僕もそれについて行く。


「夕食を温めなおすので少しだけ待ってて下さい」


 言うが早いか台所に向かう如月さん。


 待ち時間が暇なので、スマホでぽちぽち「都市伝説 消えた人」などと検索をかけていくが、死ぬほどどうでもいいパリピ連中が消えた話しか出てこなかった。その調子でどんどん消えて欲しい。

 とはいえ他にそういうオカルト紛いの僕が嫌いなしょうもない話なんて……。


「あっ! あるぞ、『神隠し』だ!」


 僕は昔やったゲームで神隠しで野球部員が消えていく話を思い出し、そこからその発想に思い至る。


 余談だが子供の頃、そのゲームを野球ゲームだと思ってやっていたからどんどん仲間が消え、さらには試合に勝てず何度もゲームオーバーになって主人公も消えるもんだからトラウマになった。


 そのせいで今まで記憶を封印していたというのはあるのだけど。


「……実際に神隠しなんてあんのかな」


 そうやって調べてみるが、結果は芳しくない。


「全体的に状況が理解できなくはないよなあ……」


 一部、不可解に思える部分がある神隠しの事例もあるが、自分の状況とは合わない。全体的に物理的な力で説明が付いてしまいそうな事件が多いからである。


 周りの人間との関係がおかしい神隠しなんて記録は見つからない。


「……いや、よくよく考えりゃ記録見つかるわけねえじゃん? 考えてくれよ僕……」


 そりゃ特定の人物以外に状況を認識出来ないなら、そいつ以外から見たらそいつが頭のおかしい奴だ。

 例えば、自分の場合で言ったら、僕が「友達が消えたんです〜。金髪碧眼の美少女で〜……」なんて主張するようなもんだ。完全に頭のイっちゃった人である。


 まあつまり、記録は残るかもしれないが、そんな独りよがりの頭おかしな文章、誰も興味を示すわけがないのだ。ネットで検索して出るわけない。


「……でも、如月さんが覚えている可能性だってあるわけだしなあ」


 僕は自分が頭おかしいと思われるのが嫌だった。

 だから、エリスがいない事を確信してからは、如月さんに彼女について知っているかどうか尋ねようとは思っていなかった。

 だって、存在しないはずの人間を知ってるか尋ねるとか二次元に傾倒しきったキモオタそのものじゃん。たまにいるよね、アニメの話とか知ってる事前提で話すオタク。死んで欲しい。


「聞かないと……結局、何も変わらないからなあ」


 僕はそれを聞かないと何も前には進まないと思って如月さんに尋ねることに決めた。

野球バラエティやぞ

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