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友人が異世界転生したのでぼっちになりました  作者: まさかさかなかな
よく出来た異世界転生は神隠しと区別がつかない
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一人なのに脳内と口で会話するやつ

 いつもはカーテンを開け放しているため、日が登れば目が覚めるが今朝はなかなか目が覚めなかった。

 眠かったのもあるがいつも自分が寝る部屋ではなくてカーテンが閉まり切っていたのが原因だろうか?


 起きた瞬間、覚えのない場所で戸惑いつつもよくよく考えればエリスの家に泊まりに来ていた事を思い出す。


「……なんか、ちょっと頭痛い?」


 体調に違和感がありながらもとりあえず起きて行動を始めようと、少し周りを見てスマホを探す。昼のニ時だった。


「ええ……土曜日が半日潰れたんだけど」


 そうやって思ってから、エリスが今どうしているかというのを確認しようと隣を見る。すると、布団はなくエリスの姿も見えなかった。


「流石にもう起きてるか。気を使って起こさずにいてくれたのかな?」


 とりあえず布団は片付けようと畳んでしまう。


「僕が家にいたんじゃエリスも如月さんも出かけにくいから困るだろうし、着替えて荷物持ってとっとと帰るか」


 そのままリビングに向かい、そこに置いてあるはずの制服と荷物を持ちに行く。なんだかんだでここには毎週のように来てるから迷うことも無い。


 さて僕がリビングに入るとそこには誰もおらず、昨日の夜より少しだけ整理された状態の部屋があった。


「如月さんかエリス、どっちかやってくれたのかな?コード類も綺麗にまとまってるの、珍しい気がするなあ」


 ゲームをすると必然的に絡まってくるコード。

 僕たち二人は解くのが面倒だと言ってテレビの後ろに放置してあるのだが、それが解消されている。


「ちゃんと僕の服も畳んである」


 こっちはメイドである如月さんがやってくれたのだろう。シワも少なくなっているところを見るとアイロンがけもしてくれたみたいだ。お礼を言っておかないと。


「……どうも、二人ともいないみたいだよね。どうしよ、連絡取った方がいいかな?」


 そういってSNSを起動すると連絡先に入っているはずの飾り気のない「鹿宮エリス」という文字を探す。


「あれ? バグかな。見落とすわけないもんね」


 当然、友達がいない僕はエリスと両親、あと妹しかSNSでは連絡先を交換していない。


 他の知り合いで言うと霜切さんも、如月さんも……あと関わりのある人は図書室の司書さんくらいだろうか?


 とにかく、僕は知り合いはいても必要がないと思って、特に連絡先は交換していない。そのため、エリスの名前が表示されないのがすぐに分かってしまい疑問が残る。


 そのかわりと言ってはなんだが、なぜか『あなたのためのメイド』とかいうスパムまっしぐらなアカウントのトーク履歴が残っている。消しておこう。


「……いつこんな変なの踏んだんだろ」


 ネット社会怖いみたいに思いつつ、なんで会話した跡が残ってるのか、履歴を消してしまってから不思議になる。

 とはいえ、消してしまったものは仕方ないかと、またエリスのアカウントがない事を調べだす。


 どうやったら見えなくなったアカウントが表示されるようになるかと調べるため、現代人らしくスマホで原因について検索してみるもどうにも当てはまらない。


「調べても当てはまる状況ないしなあ……どうしよっかな?書き置きして帰る?いやそれも何か申し訳ないか」


 とはいえ、どうした物かとしばらく考え込む。エリスの家に泊まるときは二人一緒にリビングで寝落ちして、朝から昼あたりにどちらが起き出すというのがおおよそ普通だった。こういう風に家に誰もいないなんて事は初めてだ。


「なにか、どうしても外せない用事でもあったのかな?」


 昨日……というか今日の朝だけど、エリスが『さよなら』なんて言葉を言っていた。ひょっとすると用事があって家を離れるからなんて意味なのかも知れないと少し考える。


「……うーん、でもそれおかしいよなあ。さよならなんて場にそぐわない表現、エリスが使うはずないもんなあ」


 彼女なら僕をなんとか起こすか、メッセージを残すのが自然な対応だと思う……勝手な想像でしかないのは確かだが。


「まあ考えてもしょうがない。ここ、確かオートロックだし帰っても特に問題無いとは思うから、とりあえずお礼と連絡だけは書いて机にでも置いておこう」


 また月曜に会えるはずなのだし、僕がここにいる事でなにか迷惑をかけても悪いから今日のところは一旦帰るべきだろう。

 そうやって鞄からペンを出してノートの切れ端に、書き置きを残そうと文を考える。


「……とりあえず、名前と、お礼と、用件だけ書けばいいよね?」


 エリスだけが見るならいいが、如月さんも見る可能性がある事を考えるとできれば丁寧に書いた方がいいだろう。

 こういう時、自分の文をまとめる能力の無さに絶望する。あと字が汚い。


「……これ書いたの小学生かな? ひっどいなこれ、最低限の要件だけは伝わるけどそれだけだし、やたら文章長いし……」


 人とほぼ話さないという事がいかに伝えるという能力を下げるかが、自分の話す言葉、書く文章によく表れていると思う。

 ……というか、これ、実際人と話すときに困るのだ。

 エリスは察しがいいし、頭もいい。だから、割と少ない情報量だったり、分かりづらい表現でも伝わる。

 だけれど、他の人と話す時にも思考の過程をすっ飛ばして結論だけ話して、その過程をまとめて喋るのに時間がかかってしまう。その事実がさらに人と話すハードルを上げるという負のスパイラルになるわけだ。


 ……考えるだけで悲しくなってくるので考えるのをやめよう。


 そんな風に一人で虚しい思考に身を任せていると、玄関からガチャリと音がして誰かが家に入ってきたのだった。

一人言を吐くことに違和感がないならぼっちで過ごす才能があると思う。

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