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寝坊以外には取り立てて何もない朝

 朝起きるのは非常に苦手だ。

 中学生の時からずっとだから仕方ないのだが、未だに寝坊する時がある。

 高校生になってもう一年以上が経っているが、早起きには慣れない。


「……今何時かな? 」


 そう呟いていつも枕元で目覚まし代わりに置いているはずの携帯に手を伸ばし時間を確認しようとする。

 すると体が大きく動き、ベッドの端に寝転がっていた僕はバランスを崩し落っこちた。


「ぐおおっ!」


 ちょっとした痛みに思わず口から大きな声が出る。別に対して強い痛みではないのだが僕は昔から独り言が多く、どうでもいいことに過敏に反応してしまう。

 頭から落ちなくてよかったと思い、今の衝撃に完全に目を覚まされた僕は体を起こしつつ、あることに気付く。


「……また携帯落としちゃってるよ」


 どうやら寝ぼけて落としたのか、寝相が悪くて吹っ飛ばしたのかは分からないが、携帯が床に落ちてしまっていた。これで何回目かは覚えていない。


「画面にヒビも入ってないし壊れてないでしょ……多分」


 いつものことではあるのだが、我ながら物の扱いの適当さが残酷だ。

 毎回、物を無くしたり壊したりと手痛いしっぺ返しを食らっているからいい加減に反省するべきだろう。

 まあこんな事考えてもしばらくすると適当に扱うんだけど。

 さて今日はスムーズに携帯を見つけることができたな。


 見つからない時は二、三分捜索する時間が必要になることもあるので、すぐに見つかった今日は非常にスムーズに一日を開始することができる。

 ……いつも枕元に置いているはずなのに毎朝探すことになるなんて一体どういう部屋の状況なのかって?


 ベッドの下がエロ本を隠せないくらいにゴミだらけってことかな!


 片付けろと言われてもどうせ綺麗になんか片付かないから、じゃあいいやって放置してるんだ。昔からそうだから全然気にしたことがない。

 実家だと妹が見かねて定期的に掃除をしてくれていたが、一人暮らしをするようになってからは片付けなんて全然やってない気がする。最後に片付けたのは三か月前かな?

 日常生活をする上ではあんまり困ってないからいいけどさ。

 ……僕の汚部屋事情はどうでもいいのだ。


 結局のところ、今何時なのか確認するために携帯を手に取ったんだ、さて現在の時刻は……。

 じゃかじゃか、じゃーん!と一人で口ずさみながら携帯の画面を見ると……。


「……八時十分? やばい、飯食えないじゃないか!」


 学校の始業は八時半、家から学校まではおおよそ歩いて十分。着替えなどでちょっと時間を取られることを考えるとギリギリである。


 別段、髪をいじくったり時間を使うわけではないし、そもそも八時半を越えて学校に着いたところで特に大きな問題があるわけではないのだが、僕自身が中途半端なのを認められないため明確に「間に合っている」と言える時間に到着しないとダメなのだ。

 ……というのが友人の弁だ。


「教科書全部入ってるよね。昨日、勉強なんてしてないもんね?」


 物の整理が全くできない僕は基本的に教科書類を鞄に入れっぱなしである。賢いって思ってくれてもいいのよ? 

 ちなみに、家で勉強すると教科書が見つからなくなり、探す必要になることもある。アホである。

 そうやって携帯をぼんやり見つめていた時、携帯に連絡が入る。

 『今から行きます』

 ……いや、意味わかんないよね。こんな休日の待ち合わせに向かうみたいなメッセージ。間違っても平日の朝っぱらから届いていい内容ではないと思うんだ。

 色々と言いたいことはあるけど、それは準備が終わってからにしよう。

 と、未だに床に寝ころんだままだった僕は立ち上がるべく体を起こして、そして再び携帯のメッセージに目を向けつぶやく。


「……これは朝から説教コースだな。また怒られるやつだよ……」


 今日の初会話がろくでもない事になるのを確信しながら、僕はそそくさとゴミの山をかき分け洗面台に向かうのだった。


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