2020/09/**/-
気がつくと懐かしい光景が目の前に広がっていた。
「う、頭が…」
花さんに聞いた方法で時間を遡ってみたが本当に成功するとは。
しかし、時間を遡るのはなんとも気持ち悪い感覚だ。
時間を遡っても身体はそのままなんだな。
そういえば以前に花さんが
「タイムトラベルしたら身体はどうなるか?恐らく今回の方法は空間に時間が作用するだけだから身体はそのままだ。」
って言ってたっけな。
さて、花さんが言っていた話が本当ならば時間がない。
俺がこの時代からいつ弾き飛ばされてもおかしくない。
俺は適当な店に入り日付を確認した。
「すごいな、花さんは。本当に戻る時間を正確にコントロールしたんだ。」
日付は李依が死ぬ日、そしておよそ2時間前であった。
店から出ると少女とぶつかった。
「おっと、ごめんなさ…!?」
「いえ、こちらこそ」
少女はこちらに頭を下げる。
もう会うことがないと思っていた幼馴染の李依であった。
「あれ、お兄さんって私の幼馴染と似てる。」
「世の中には似た人が3人いるなんて言うからね。」
当たり障りのないセリフでこの時代に干渉しすぎるのを止めようとする。
「そうか、また…」
「ん?なにか言ったかい?」
李依が何かを言ったような気がしたが聞き取ることが出来なかった。
「いえ、なんでもありません!それでは私、用事があるので失礼します」
そう言って彼女はあの山へ向かって行った。
さて、俺も山に向かうか。