花澤という先輩
私は、大学院2年目の空間認知学を専攻している花澤だ。
時田達が専攻している時空認知学を更に空間について詳しく研究している。
そもそもこの宇宙の始まりは、時間と空間という概念が隣り合っており、それらにズレが生じたことにより宇宙が発生したという考えがあるらしい。
まあそんな果てしないことを専攻して研究するというのは我ながら馬鹿馬鹿しいとは思うがまあロマンを感じてしまったのだからしょうがない。
現在では時間と空間はそれぞれ単独では存在出来ないというのが昔ながらの通説だ。
その空間を認知するために論文を読み漁ったりしている。
そして、東京に行った際に時田が田中という男から貰った謎のビン。
調べてみて驚いた。
空間が歪んでいるのだ。
正直、歪むという表現が正しいのかわからないが、ある点を中心に僅かではあるが様々な分子が出てきたりなくなったりしていた。
この穴に時間という概念が単独で存在しているのではないのだろうか。
色々なことを調べるうちにこの点の大きさを自由に制御出来るようになった。
この中心に存在しているものは、たった1つの原子だった。
しかし、その原子はこの世に存在しない、形は原子の形をしているが全く異なるものであった。
なので私は、数学で存在しない数字、虚数を表すiをとってNO.iと名付けた。
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この研究内容を時田に話した次の日、彼からおかしな夢を見た話を聞かされた。
その時から何となく予感はしていたが、その日を最後に時田は姿を消した。