ー2020/09/**/ー
俺が思い出せる古い子供の頃の記憶は中学生の頃の記憶だ。
俺、時田 遊は幼なじみの新田 李依と自然豊かな田舎で共に遊び過ごしていた。
その日も、学校終わりにいつものように村で大きな杉の木の下で待ち合わせをし何事もないただただのどかな時間を過ごすと思っていた。
その日は、先生に捕まり用事を手伝わされたり村の人に呼び止められたりといつもより待ち合わせに遅れてしまった。
まあ遅刻はいつものことなので許してくれるだろうと思いながら自転車を走らせた。
目的地の杉の木の下には小説を持ち読書をし、俺を待っているであろう彼女の姿が見えてきた。
「あれ、リエのやつ寝てるのか?」
遠目から本を膝の上に置きうつ向いてるリエが見えた。
「リエ、そんなところで寝ていると風邪を引くぞ」
杉の木の下に自転車を止めながら声をかけるが返事がない。
余程、熟睡しているのか?
彼女の近くに行くと目を疑った。
リエから赤い液体が流れている。
なんだこれは?
何が起こっている?何が起こっている?何が起こっている?何が何が何が何が何が何が…
「リエ?」
ようやく出た声がかすれる。
声をかけながら肩を揺するが反応がない。
死んでいるのか?
「こんな寝ているような顔をして死んでいるのか?」
手についた血を見つめ実感が沸いた。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
泣き叫び膝から崩れ落ちた。
気がついた時には病院にいた。
医者によると拳銃で二発胸を撃たれ即死だったそうだ。
病院のベッドに置かれた幼なじみの姿を見つめ共に過ごした日々を思い出そうとしたが何も思い出すことが出来なかった。
「リエと過ごした日々はあって当たり前だと思っていた。」
人は酸素を吸わないと生きていけないが、その酸素を吸っていることを意識しないとわからないように俺はリエという存在がいて当たり前だと思っていた。
「もっと今を噛みしめ生きていくべきだった」
そう小さく呟いた。
お読みいただきありがとうございます。
タイムトラベルものというジャンルを書かせていただきますがタイムトラベルするまで少し時間がかかるかもしれません。
そして、私の専攻は物理系でなくどっちかっていうと化学系です(笑)