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物語はこうして幕を閉じる。

作者: 結城あかつき

「あーぁ。何て馬鹿らしいのかしら」

 窓の下に見える集団に少女は疲れた表情を向ける。

 もう1か月だ。

 このひと月、少女はこの部屋と自らの屋敷の往復しかしていない。

 それも全て自らの役目と責任を放棄した彼らのせいだ。

 山積みの紙束。

 毎日、毎日処理しているというのに減ることなく増え続けている。

 ただの気まぐれと云うには彼らの言動は行き過ぎている。

 たったひとりの少女がこの事態を引き起こしたというのだから情けない限りだ。

「もう、やめようかな」

 少女は誰もいない空間で呟いた。

 彼女の置かれた環境は、精神を蝕むのに十分だった。

 窓の下をもう一度見下ろす。

 その中のひとりに彼女は視線を集中させる。

「………限界、かなぁ………」

 


「貴方は最低です!!」

公の場、ひとりの少女が彼女を批難した。

「急に何ですか」

「ご、誤魔化さないでください。わ、私が悪いのは認めますが、貴女の行いは貴族としての品にかけます」

 少女はあくまでも彼女に非があるように告げてくる。

 しかし、彼女は本気で意味が分からなかった。

「アナスタシア・ルンデルハウス」

「セルジオ様」

彼女は名前を呼ぶ声のした方に目を向けた。

「セルジオ様!私に任せてください!!私、絶対に負けませんから」

 少女がセルジオの前に立ちはだかる。

 勝気な少女の態度にセルジオは不思議そうに首をかしげる。

「君は何を言っているんだい?」

「だって、セルジオ様、アナスタシア様と別れたいって」

「そんなこと言ったことはないが?」

 セルジオの否定の言葉に少女は顔を青くする。

「そもそも、アナスタシアが俺の為に嫉妬するなんてありえない。彼女は俺の恋愛感情何て持ってないからね。彼女を婚約者にしたのは俺の我儘だ。手放せないのも俺の方なんだよ」

 少女は表情を沈ませもう何も言えない。

「セルジオ様」

 アナスタシアが見ていられず声を掛ける。

「なんだい、アナスタシア」

「私、もう疲れてしまいましたの。ですから、貴方との婚約は朱ったことにして欲しいのです」

「それは認められないよ。俺は君を手放すつもりはないからね」

「でも、もう私は………」

「大丈夫。もう全部終わるから」

 セルジオの言葉に今度はアナスタシアが首を傾げた。

「あらあら、これはどういうことかしら?」

 その時、その場に現れた人物に全生徒が驚愕と共に頭を下げた。

「理事長、遅いです」

「あら~、そうかしら?早すぎるくらいだと思うのだけれど」

 砕けた口調で彼女はセルジオと向かい合う。

「そこの貴女、悪いけど今日限りで学園から出て行ってもらうことになったから。理由は………ご自身がよくわかっているでしょう?」

 妖艶に微笑む彼女に少女は体を震わせ崩れ落ちた。

「これでよかったかしら?」

「えぇ、十分です。感謝します」

 セルジオは満足そうに微笑む。

 その光景はあまりにも異様で、だが、口を出せるものは誰も居なかった。

 セルジオは、彼女から目線を外すとアナスタシアに向き直った。

「これで問題はなくなった。君が俺の元を去る理由も」

 アナスタシアはそれ以上否定など口にできなかった。

 美しく微笑む彼の目の奥に揺らめく狂気を目にしてしまったから。

「アナスタシア、愛している。きっとこれからは君に何の不自由もかけないと誓うよ」

 セルジオは優しくアナスタシアを引き寄せ抱き寄せる。

 どこで間違ってしまったのだろう。

 アナスタシアは、二度と逃れることのできない監獄に閉じ込められてしまった気分だった。



END

 


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― 新着の感想 ―
[一言] 意味がわからないです。 書きたいシーンをフワッとしたイメージで書き綴っただけでしょうか。
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