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物語異能の負け犬男子  作者: 柴犬男
アリスの狂気
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エピローグ

『アリスの狂気編』ラストです。

投稿しました。

【殺したんですか? 】


物騒な事を聞きおる。


「安心せい、峰打ちじゃ。」


いつもの様に軽口を叩ける事で、戦いが終わったんだと安堵する。


アリスの物語は、アリスがトランプ兵に襲われ、夢から覚めるシーンで不思議の世界は幕を降ろす。


【物理で殴る】


ワンコくんは狂気に抗いながら「『アリス』を夢から叩き起こす」と伝えたかったのだろう。


彼の気持ちを理解できた様で、少し嬉しかった。


【かいちょー、なんか、僕、眠いです・・・・】

「あぁ、ごめんね? すぐ戻すよ。」


ワンコくんを人型に戻すとすぐに、ぐっすりと眠ってしまった。


・・・・ふむ。変身を解除すると全裸になるのか。

見ると、蝕んでいた『アリスの狂気』がシュルシュルと消えかかっていた。

よかった。彼は、助かったんだ。

それが何よりも嬉しい。


どれ、ついでにワンコくんの「ワンコくん」を見ておこう。

わたしの頑張りにそれぐらいの対価は必要だろう。


・・・・おぉ

これはなかなか

この光景を目に焼き付けておこう。



それにしても、わたしも凄く眠い。

恐らく、ワンコくんとの初めての異能で項を読み過ぎてしまったのだろう。

今日はもう帰って早く寝たい。


「あらら、アリスちゃん、倒されちゃったんですねぇ!」


聞き馴染みのあるハイテンションボイス


「・・・・やっぱり、君だったんだね、風香ちゃん」

「はい! さっきぶりですね、生徒会長さん!! いや、『お兄ちゃん』の元カノさん♪ 」


おかしいとは思っていた。


わたしの記憶が確かなら

「篠宮 風香」は現在、「斉藤 風香」として、斉藤 陽の義妹として暮らしていたはずだ。

それが、「幼馴染」と言うポジションにいる。

こんなの、怪しまない訳無い。


それだけじゃない。

『アリス』は決して他者を受け付けない。

夢の住人である彼女は他人の介入を悉く拒んだはずだ。


それなのに、篠宮 風香だけにはなんの害意も示さなかった。


「芭蕉扇の扱いには慣れた? 」

「あぁ、お義母さんですか? 最初はとっても抵抗しましたけど、ぐっちゃぐちゃに潰して『書き換え』たらちゃんと使える様になりましたよ。今では意思も持たない、なんの変哲もないただの扇です。」

「このイかれブラコンシスターが」

「あれれ〜? お義兄ちゃんに振られたストーカーさんが何か言ってますね〜?? 」


おっと、危ない。

笑顔笑顔。


「で? 今度は何が狙いなの?? 」

「うふふ、内緒です♡ 」

「そっか。」

「でも、ヒントはあげます。わたしは優しいので! 」


なんだこいつ。

なんとも恩着せがましい女だ。


「『わたしたち』は読み飽きたんです。この世界を。」

「・・・・」

「ヒントは以上です。それじゃ、帰りましょうか! 」

「うん・・・・そうだね」


ワンコくんを背負い空を見上げる。



大丈夫だよ、ワンコくん。

君は、わたしが守るから。



☆☆☆


結局、身体が元通りになっても僕の記憶が戻る事は無かった。


父さん、母さんも帰って来ない。


『アリス』を倒しても、僕の生活は変わらなかった。


次の日、学校に向かうと風香ちゃんに突然抱き着かれ、わんわん泣かれてしまったので周りの目が痛かった。


放課後、生徒会役員全員に事後報告として僕の過去、戦い、その結果などを全て話した。

僕とかいちょーがあまりにボロボロの身体で登校したので隠し通せなかっただけなんだけどね。


僕が話し終えると、詩織さんにギューっと抱き締められた。


「辛かったね。悲しかったね。大変だったんだね。お姉さんに甘えてもいいんだからね。」

「あ、僕そうゆう趣味ないんで」



その後、雪菜さんを除く役員みんなで僕のお疲れ様会をひらいてもらった。

雪菜さんが帰り際「大変だったね」って呟いたのは忘れないからな。一生覚えておく。


この空間は暖かい。


だからこそ、ずっと守っていかなきゃなんだ。



・・・・・・・・


「ここまでは覚えてるんですよ。」

「記憶力が良いね。」

「ありがとうございます」

「うんうん、素直な良い子だ。」

「そうじゃなくて」


僕は今、混乱している。


朝、目が覚めるとかいちょーが隣で寝ていた。

それはまだいい。いや、良くはないんだけど。


なんで全裸なんですかね?


「あ、わたし今日からこの家で住むね」

「え、正気ですか? 」


この家に?住む??

そんなの、


「めちゃくちゃ嬉しい。」


『アリス』が現れてからの2年間、僕はずっと一人で暮らしてるようなものだった。

なんか、家族が増えたみたいで、嬉しい。

家族にしてはただれてるけど。


「お、にやけちゃって、どうする? 結婚する?? 」

「あ〜、気が向いたら」

「日本人特有の断り方だね」


あぁ、楽しい。

こんな生活が、ずっと続けばいいのにね。


そう願い、僕は二度寝を決め込むのだったとさ。


めでたしめでたし








☆☆☆


「遂に、会えるよ」


空港にて、一人の女性がボソボソと呟いた。


「ひーくん」


彼女もまた、斉藤 陽の平穏をぶち壊す人間なのだろう。


それはまた別のお話。

補足説明を少し。


会長は過去(陽くんの記憶が無くなる前の時間)に陽くんと付き合っていました。

しかし、陽くんが『アリス』に巻き込まれてしまった為、彼の記憶がリセットされ、彼の中にある付き合っていたと言う記憶が無かった事にされてしまいました。


『アリス』の愛読者は篠宮 風香です。

風香は元々陽の義理の妹と言うポジションにいたのですが、陽と桃花の一緒に写っていた写真を見つけ、二人の関係をリセットさせます。

風香と桃花は元々顔見知り程度の仲なのですが今回の件で表面上は仲良く振る舞いますがかなりギスギスした関係になりました。冷戦状態です。


それから、陽くんの異能についてですが、彼は『異能が使えない』のではなく『桜木 桃花の異能の1つ』として生まれ落ちた存在であり、今後も何か凄い力に目覚めるとか、実は凄い才能があるとか人間的成長だとかそんな都合のいい事はきっと起きません。ザマァ。


最後に、拙い文章で読み辛かったかもしれませんが、ここまで読み続けてくださったみなさん、ありがとうございました。話はまだまだ続く予定ですのでこれからもよろしくお願いします。


よろしければブックマーク登録お願いします。感想、アドバイスなどを送っていただけるととても嬉しいです。

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