4話 神にも話せないことはあります
「俺が矛盾を作り出している?」
「そう、君が」
『世界の法則』を回避することは不可能なのに、それが自分はできてしまう。
なぜ自分なのかと考えてみたが、生まれて15年ほどの知識で、また情報が全くない状態でこの疑問がわかるはずもなかった。
「どうして君なのかは、私からは教えられません」
ここにきてから夜雲がわからないことや理解できなかったことをわかりやすく教えてくれたフラカンだったが、一番肝心の部分を教えられないと言われ、それでも教えて欲しいと頼もうとしたが、ソフランにも教えられない理由がちゃんとあった。
「本当は教えてあげたいのですが、神にも権限があり、この地球の創造神でもない私には、それを教えることはできないのです」
本当にすまなそうな声を聞き、諦めるしかないのかとガッカリしたが、この話には続きがあった。
「私から教えることはできませんが、パラレルワールドに存在する異世界になら、君の探している答えがわかるかもしれません」
異世界と聞き、興味を持つ夜雲。
高校に入ったばかりの男子が異世界と聞き、興味を持つは当たり前である。
夜雲も例外ではなかった。
「異世界ってどんなところなの?」
「そうですね。わかりやすく言うなら魔法があり、地球には存在しない魔物がいたり、色々な種族がいるありふれたファンタジー世界みたいなところですね」
それを聞き、余計に興味を持った夜雲だが、それと同時に不安もあった。
異世界に行く方法がわからないず、行けたとしても既に死んでいる自分では無理ではないのか。また、異世界に行っても自分は何もできずにいるのではないのかと不安に感じていた。
「異世界に行きたいですか?」
「行けるのですか⁉︎」
不安に感じていた夜雲にとって、この掛け声は助け舟であった。
「行けますよ。元々、君に興味を持ち、ここで亡くなるくらいなら異世界に招待できないかと思っていたのです」
フラカンは今までよりも強く、神々しく光り、言葉も今までより丁寧であった。
「上杉 夜雲さん、君は異世界に転移を望みますか?」
「はい‼︎」
「転移する異世界は、今までいた地球より治安は良くなく、安全でもありません。そして、魔物や魔族もいて、魔法もあるため、常に自分の身は自分で守らないといけません。さらに、移転先の異世界には家族も友達も知り合いもいません。それでも、異世界に転移を望みますか?」
「それも覚悟の上です。魔法があり、魔物や魔族がいるファンタジーの異世界に行きたいです。確かに、家族や友人、知り合いが居ないのは辛いかもしれません。それでも、俺は俺が思うままにやりたいことをしていきたいと思っています」
ここで一旦言葉を止め、一呼吸を入れて、言葉を続けた。
「こちらの世界では秩序やルールなどで、やりたいことがあってもできずにいた。しかし、それが出来るのであれば、もしできなくてもやりたいことにチャレンジすることが出来るのであれば、それは俺にとっての幸せです。その幸せが掴めるのであれば多少の辛いことや大変なことは受け入れる覚悟ぐらいはできいます」
夜雲の覚悟を本気だと受け取ったフラカンは、強く神々しく光ってたいた光を数回点滅させた後、光の強さを元の優しい光に変えた。
「君の覚悟は確かに受け取りました。上杉 夜雲さん、君を新たなる異世界『アースグランド』に招待します」
今回も豆知識です。
本編で「パラレルワールドに存在する異世界」とありますが、そもそもパラレルワールドとは
「パラレルワールド(parallel world)とは、ある世界(時空)から分岐し、それに並行して存在する別の世界(時空)を指す並行世界。、並行宇宙、並行時空ともいう。
「異世界(異界)」、「魔界」、「四次元世界」などとは違い、パラレルワールドは我々の宇宙と同一の次元持つ」(Wikipedia参照)
だそうです。
つまり魔界とパラレルワールドは別物であり本編で出てくる「パラレルワールドに存在する異世界」は正しくはないことになります。でも、本編ではあえて間違えて書いてます。理由?それは作者(自分)がこっちの方が沢山の別の世界があるように感じるからです。
ちなみに、パラレルワールドの存在は肯定も否定もできないらしく、実際はどうなのはわからないみたいです。
次の投稿は11/19(土)19時頃投稿予定です
ご視聴ありがとうございました。