3話 矛盾
「そもそも、『世界の法則』の仕組みが出来たのは今からおよそ6000年ほど前です。まだ人間がいない地球では、多くの種類の生物がいました。しかし、その各種類の生物の数も多くいました。このままではいずれ地球は生物で溢れることを危惧したとある神は、地球にある法則を作りました。それが『世界の法則』です」
「…………」
フラカンはここで一旦話を区切り、夜雲の反応を見たが、聞くことでいっぱいそうであったため、とりあえず最後まで話すことにした。
「さて、ここまでは『世界の法則』の成り立ちを話しましたが、ここからはその内容について話したいと思います。その内容はいたってシンプルです。地球上に存在するすべての生命の数を一定であり続けることです。もし決められている数を超えた場合、法則によって調整されます。そして、その調整によって選ばれる生物はランダムで決まり、選ばれた生物は亡くなります。そして、それを回避することは不可能です。これが寿命の正体であり、『世界の法則』なのです」
寿命の正体を知り、そしてそれが余りにも理不尽で適当な方法で行われていたことに驚き、言葉にできずにいたが、5分ほどで元に戻った。
「寿命の正体が『世界の法則』であり、それが理不尽で適当な方法で行われていることはわかった。そして、今ここでその話をしたってことはそれが今回の事故とも関係があるってことだよね?」
「その通りです。理解が早くて助かります」
「そして、今回は俺にそれが行われたってことだね」
探偵になった気分で推理し、その推理を自信満々に言ったが、ソフランの次の言葉でその自身は粉々に砕けた。
「いえ、違いますよ」
「えっ……⁉︎」
当たっているとばかり思っていたため自信満々に言ったが、それが外れてしまい恥ずかしくなり顔を赤くする夜雲だったが、すぐにその顔は赤から青に変わっていった。
「ま、まさか、俺以外にもあの事故で亡くなった方がいるの?」
「いいえ、あの事故で亡くなったのは君1人ですよ」
そう聞くと安心し落ち着いて言ったが、ふと、また疑問が湧いてきた。
「なら、なんで今『世界の法則』の話なんてしたんだ? それの対象が俺でもないし、俺以外に亡くなってる人なんていない。なら、今回のこの事故とその話はなんの関係もないんじゃん」
「なるほど、確かにこれだけの情報だとそう思ってしまうのは無理もないかもしれませんね。本当は今回の事故で『世界の法則』の影響を受けるのは、君が助けた女子生徒でした」
「で、でも、あの女子生徒は亡くなっていない。そして『世界の法則』を回避することは不可能だってさっき言っていた。なら、これは矛盾しているんじゃないの?」
それもそのはずである。フラカンは『世界の法則』を回避することは不可能で説明しているにも関わらず、今回の対象となった女子生徒は亡くなっていない。
もし、これが矛盾じゃないとしたら今回の対象が女子生徒ではなく夜雲の方であったか、そもそも今回の事故と『世界の法則』ワールドフォミリーは関係がないのどちらかしかないのである。
「確かに矛盾してますね」
「なら……」
「しかし、この矛盾を作り出しているのは君ですよ」
「えっ……⁉︎」
ソフランの声はワクワクしたような、嬉しそうな声でそう言ったが、夜雲はここにきてから何度目になるかわからない驚きをしていた。
今回は豆知識です。
本編では『世界の法則』の仕組みが出来たのは6000年年ほど前と言っていますが、これは恐竜が絶滅した頃ですね(実際、恐竜が絶滅したのは6550年ほど前です)
皆さんが知っている恐竜が絶滅した理由は隕石が原因の説が多いと思いますが、恐竜が絶滅した説は他にも色々とあるんですよ。
そして、一番有名な説でさえ間違って覚えていることが多いそうです(実際、自分も間違って覚えていました)
本当は小惑星が他の小惑星とぶつかりできた破片が隕石として地球に落ち、その際に巻き上げられたチリが太陽光を遮り、それが10年ほど続き気温が下がり植物→草食動物→肉食動物の順番で絶滅していったそうですよ。
これが一番有名な隕石落下での絶滅説の内容だそうです。
ちなみに恐竜絶滅説は他にも、隕石衝突によるオスばかり生まれてきた説、大洪水説、死の星メネシス説、伝染病説、ポールシフト説、火山活動説、海の酸性化説など
ここに書いてない説も沢山多くありますが、ほとんどの説は隕石の落下による二次災害が原因で絶滅したと言われています。
次の投稿は11/16(水)19時頃投稿予定です。
ご視聴ありがとうございました。