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豆狸くんはウソがつけない

作者:

 その日はいつもより早く寝ました。高校を卒業してから始めたスーパーのレジ打ちアルバイトに出勤し、心身ともに疲れ果てていたからです。ぐったりです。


 店長さんも先輩もとても丁寧に仕事を教えてくれるのですが私はなかなかそれを覚えられず、今日はとうとうお客さんにしかられてしまいました。申し訳ないです。

 早く先輩みたいにびしっ!とした店員さんになりたいものですが……道のりは遠いですね。


 とにかくそんなわけで私はうちに帰って早々にばたんきゅーしました。時刻は午後11時半くらいだった気がします。帰ってきたときの服のままですしお風呂にも入っていませんが、眠気には勝てません。おやすみなさい。



 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 ――む、何やら音がします。


 ぶぶぶ、ぶぶぶ。


 どうやら着信のバイブのようですが、ねむいので無視です。


 ぶぶぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶ。


「あーもう、うっさいのですよ!誰ですかこんな夜中に!」

 おっといけない、取り乱してしまいました。パパさんもママさんも寝ていますからね、起こしてしまっては申し訳ないです。

 とりあえず私は手探りで携帯を掴み、パカッと開いて電源ボタンを押しました。当たり前です。人が疲れているときに電話してくるやつが悪いのです。今度こそおやすみなさい。


 ぶぶぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶ。


 サブディスプレイに表示された時刻は午前0時です。この人は常識というものを知らないのでしょうか。まったく傍迷惑な人ですね。

 自分も昨夜2時くらいまでお友達とメールしていたことはおいておきます。


 ぶぶぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶ。


 携帯は鳴り止みません。留守電に切り替わるタイミングでいったん切れ、もう一度鳴り出します。どうやら何がなんでも今話さないと気が済まないようです。電源を切ろうかとも思いましたが、そこまで重要な用件なら出た方がいいかもしれません。

 私ははぁ、とため息をついて仕方なく通話ボタンを押しました。パパさんとママさんを起こさないように小声で電話に出ます。

「もしもし」

『おい、さっき何故電話を切った』

 ぶつっ。


 ぶぶぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶ。


「もしもし」

『だから何故切るのだ!?』

「その声は豆狸(まめだぬき)くんですね?用件があるならちゃっちゃと済ませてください。でないと貴方のスマホをへし折ります」

『どうやって!?』

「実は私サイコキネシスが使えるんですよ。なので今すぐベキッとやることなんてちょちょいのちょいなのです」

 もちろん嘘です。ですがおバカな豆狸くんはあっさり騙されます。

『なんと恐ろしい……子狐(こぎつね)クンは妖術使いだったのか』

 “子狐”というのは私のあだ名です。糸目で小柄だからという理由で豆狸くんが命名し、以来すっかり定着して周りからいじられるようになってしまいました。

 お返しに私は彼を“豆狸”と命名してやりました。童顔でチビだからです。もっとも彼は私とは逆に可愛がられました。イケメンってずるいです。もっとも私も彼を可愛がっているうちの一人なのですが。

 豆狸くんは一年生のときのクラスメイトです。同じ文化祭実行委員だった関係で連絡先を交換し、それ以来ふた月に一度くらいの頻度で近況を報告するメールを交わしていました。それによると彼は三年間文化祭実行委員をつとめ上げたそうです。私は一度で懲りてしまったのに真面目なことです。

 喋り方はちょっとおかしいですが悪い人ではありません。むしろかなりの好人物です。そう思っていました、今までは。

「とにかく早く用件を言ってください。私はねむいのです」

 これでくだらない用件だったりしたら着信拒否も辞さない覚悟です。可愛い豆狸くんとお話出来なくなるのはちょっぴりさみしいですが仕方ありません。私は今機嫌が悪いのです。

「おっとすまない。では率直に言うが子狐クン、僕と正式にお付き合いしてもらえないだろうか」

 ぶつっ。


 ぶぶぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶ。


「もしもし」

『だから何で切るんだよぉ!僕真面目に話してるんだぞ!?』

 口調が変わりました。こちらが本来の豆狸くんです。本当は見た目同様ガキっぽいのにカッコつけてああいうキャラに化けているのです。これも私が彼を“狸”と名付けた理由のひとつでした。

「くだらない用件で電話してこないでください。それで騙されると思いますか?つくならもっとマシなウソをついてください」

『ウソじゃないよ!何で決めつけるのさ子狐さん!』

「何でって、そんなの分かりきってるじゃないですか」

 私はいったん携帯を耳から離します。ディスプレイにははっきりと『4/1(TUE)0:03』と表示されていました。つまりはエイプリルフールです。日付が変わったタイミングを狙ってかけてくる辺りがいかにもって感じです。気付かずに騙されてしまう可能性が高いですからね。

 わざわざ私を選んだのは多分モテないのを知っているからでしょう。ですが残念でした。オトコに飢えてるからってすぐ飛びつくと思ったら大間違いなのです。

「そもそも何故このタイミングなんですか。卒業式でも会いましたよね?」

 そうなのです。クラス順に並んでいた関係で、隣のクラスの豆狸くんは私の真後ろに座っていました。呼び出すチャンスはいくらでもあったはずです。あるいはその場でこっそりラブレターを渡すとか。

『それは……』

 豆狸くんは口ごもります。ほら、ご覧なさい。やっぱりウソなんじゃないですか。

『あ、そうだ!僕たち……ゴホンゴホン。互いが高校生たる身分でなくなるまではそのような関係を安易に持ちたくなかったのだ。3月いっぱいは高校生扱いだからな』

 うわぁ、苦しいです。もっとマシな言い訳はなかったんでしょうか。しかも『あ、そうだ!』とか言ってる時点で今思いついたのがバレバレです。

 そういえば豆狸くんはウソがヘタなことで有名な人でもありました。おそらくそういうところも女子から『可愛い』ともてはやされるゆえんなのでしょう。私だって少なからず好意的に見ていたというのに……まったく、慣れないことをするからこうなるんですよ?

 私はため息をついて、送話口に告げてやりました。


「――分かりました。ではお付き合いしましょう」


『えっ、本当に!?』

「はい」

 もちろんウソです。

 あんまり問いつめるのもかわいそうですし、何よりもう睡魔が臨界点を突破しそうです。多少ムカつきますがここは騙されてやりましょう。別に彼のことは嫌いではないですしね。

 これがモテモテですがナルシストが玉に(きず)の櫻井くんとかだったら即お断りです。ウソでもお付き合いしたくありません。

「豆狸くんがそこまで真剣に考えてくれていたとは感激です。不束者ですがよろしくお願いいたします」

『ぃやったああぁぁあああ!』

 そんなこととは知らない豆狸くんは電話の向こうで大喜びです。そんなに私を騙せたのが嬉しいかこの腐れチビ狸が。

 ……おっとっと。私としたことがつい汚い言葉が出てしまいました。立派な淑女になるよういつもママさんから言われているというのに、まだまだ未熟なようです。反省。

「それではもう寝ますね。おやすみなさい、豆狸くん」

『うん!おやすみ子狐さ……ゴホンゴホン。おやすみ子狐クン、よい夢を。また後でかけ直す』

「そうですか、ではまた」

 ぶつっ。


 しーん。


 ふう、今度こそ終わったようです。これで存分に眠ることが出来ます。

 エイプリルフールにウソをついていいのは正午までで、それ以降はネタばらしの時間なのだそうです。

 ということは午後になったら豆狸くんから電話が来て『ウッソぴょ~ん。だ~まさ~れた~』などと言われるはずです。想像しただけで携帯をへし折りそうになりますが、まあそうなったら私も『ウッソぴょ~ん。だまされてませ~ん。べろべろば~』と返してやるつもりなのでおあいこです。むしろ私の勝利と言っていいでしょう。ウッソぴょ~んは死語のような気もしますが気にしません。


 それにしても、豆狸くんがこんな悪趣味なイタズラを仕掛けてくるような人だとは思いませんでした。おバカなところはありますがなかなかの好青年だと思っていたのに……ちょっとショックです。

 今度会ったらあの栗色のふわふわ髪をくしゃくしゃにして、色白のほっぺたを存分にふにふにしてやりましょう。前々から一度触ってみたくて仕方なかったのですが、『ウソをついた罰です』と言えば合法的にその夢が叶うわけです。我ながらナイスアイディアではないでしょうか。


 ではそれを楽しみに眠ることにしましょう。おやすみなさい。



 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 何かの音でふっ、と目が覚めました。

 のそのそ起き上がって携帯のサブディスプレイを見ると、そこには『4/1(TUE)12:01』の文字が。どうやらすっかり寝過ごしてしまったようです。まあ今日はシフトに入っていないので問題ありません。

 そういえば今日は午後に何かあったような気がしますが何でしたっけ。

 首を傾げたそのとき手元の携帯が震えました。


 ぶぶぶ、ぶぶぶ。


 パカッと開くと表示されたのは豆狸くんの名前です。そうでした。私はこれから『ウッソぴょ~ん』と言わなくてはならないのでした。

 どうも彼からの着信で目が覚めたようです。大方また何度もかけてきているのでしょう。本当に傍迷惑な人です。

 私ははぁ、とため息をついて通話ボタンを押しました。

「もしもし」


『おはよう、マイラブリーエンジェル子狐クン♪』


 ぶつっ。


 ぶぶぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶ。


「もしもし」

『……そろそろ怒ってもいい頃じゃないかい?何故突然電話を切るんだマイラブリーエ』

 ぶつっ。


 ぶぶぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶ。


「もしもし」

『だからやめてってば!何なの!?僕のことが嫌いなの!?』

 豆狸くん、化けの皮剥がれるの早すぎますよ。

「とりあえずそのふざけた名前で呼んでくる限りは嫌いです」

『わ、分かったよ。もう呼ばないから……だから話を聞いてよ子狐さん!』

 仕方ありませんね。かわいそうなので聞いてあげましょう。

「で、今度は何の用ですか?」

『えっとね、いつデートするか……ゴホンゴホン。デートの日時を決めたいのだが、明日は空いているかい?』

 告白の次はデートですか。どうやらまだお付き合いしている設定が続いているようです。いつまでも調子に乗ってると全身の毛むしり取ってハゲ狸にするぞコラ。

 ……おっとっと、いけないいけない。私は清楚、清楚なのです。

「すみませんが明日は仕事が入っているのですよ。でも今日だったら大丈夫です」

『それは良かった!ならこれから会おうじゃないか。学校近くの駅まで来てくれるかい』

「分かりました。そうですね……2時頃に行きますから、改札前の柱のところで落ち合いましょう」

『了解した。会えるのを楽しみにしているよ、マイラブ……ゴホンゴホン、子狐クン』

 今何か言いかけた気がしますが突っ込まないでおいてあげましょう。今の私はそこそこ機嫌が良いのです。とうとうあの腐れチビハゲ狸をメッタメタのギッタンギタンに出来るのですから。

 ……おっとっと。つい抑えきれない苛立ちを露わにしていまいました。とりあえず冷静になりましょう。せっかくの初デートなのですから。


「さて、何を着ていきましょうか……」


 シャワーを浴びた後、部屋に戻ってクローゼットを開いてスカートやらシャツやらを引っ張り出します。一応ちゃんとデートっぽい服を着ていかないといけません。『ウッソぴょ~ん』と言う前にバレてしまっては意味がありませんからね。

 ちなみに着ていた服は先ほど洗濯かごに放り込んだので私は今下着だけの状態です。ママさんに見つかったらはしたないと叱られてしまいそうですが、今は両親ともにお仕事でいないので気にしません。


 それにしても困りました。

 デートっぽい服って一体どんな服なのでしょう。デートなんて生まれて初めてなので全く分かりません。

 ファッション雑誌を手にとってぱらぱら眺めてみますが、どのコーディネートが豆狸くんの好みなのやらさっぱりです。日頃男性ウケするファッションをあまりチェックしていなかったのが徒となりました。

「ふぇっくしゅん!」

 うぅ、ちょっと寒くなってきました。桜も咲いたとはいえまだ下着だけで過ごせるほど暖かくはないようです。

 とりあえず何か着ましょう。私は手近にあった服をとりあえず身につけます。


「……おや?」


 これはなかなかいいのではないでしょうか。白いレースのチュニックにミニスカートです。これでは少し寒いので桜色のカーディガンを羽織ってみましょう。

 ふと思い付いて、16歳の誕生日に豆狸くんからもらったキツネの顔の形をしたポシェットも提げてみます。これにタイツでも合わせればOKでしょう。小柄な彼のために踵の低い靴にするのも忘れません。

 何もしなくても女顔の豆狸くんが一緒ですから、私がヘタにボーイッシュな格好をしていったら男女逆に見られそうです。このくらいなら彼が拗ねることもないでしょう。

 姿見の前でくるりと一回転。可愛いかどうかは若干自信がないですが、まあ悪くないと思います。偶然ですがデートコーデが完成しました。肩まで伸びたきつね色の髪を櫛で整えたら出発進行です。


 てくてく歩いて待ち合わせ場所に向かいます。学校最寄りのその駅は、徒歩通学だった私の家から20分くらいの位置にあります。携帯を確認すると時刻は1時半でした。十分間に合いそうです。

 確か豆狸くんの家は待ち合わせ場所のみっつ向こうの駅の近くだったはずです。以前はもっと近くに住んでいたのですが、この機にアパートを借りて一人暮らしを始めたと聞きました。ちゃんと自炊もしているそうで、まだ親元を離れる気がない私と違ってえらい子です。



 さて、改札前にたどり着きました。駅の時計は待ち合わせ時間の15分前を指しています。む、どうやら無意識にいつもより早足になってしまったようですね。

「ま、久しぶりですしね」

 卒業式以来ですから3週間ぶりくらいでしょうか?あの時は顔を合わせただけですから、電話を除けば話すのは一年生の時以来かもしれません。

 私は豆狸くんが決して嫌いではないので、久しぶりに直接話せるとなればやっぱりちょっとは嬉しいのです。もっとも今は主に別の理由でるんるんしているのですが。

 時間もあることですしシミュレートしておきましょう。ウッソぴょ~ん、ウッソぴょ~ん、ウッソぴょ~ん。


「――やあ子狐クン。待たせたね」


「ウッソぷひゃあッ!?」

「な、何だね突然奇声を上げて……気でも違ったのかい?」

 振り返るとベージュのチノパンにサックス色のシャツを着た豆狸くんがドン引きしていました。私としたことが不覚です。これでは緊張しているみたいではないですか。

「な、何でもないです。豆狸くんが突然後ろから声をかけるのが悪いのです」

「おっと、それは済まない。そのポシェットが見えたからつい嬉しくなってしまって。使ってくれているんだな」

 指差した先にあったのは例のキツネポシェットです。

「しかしその……か、可愛いね今日は。それがなかったら誰だか分からなかった」

 豆狸くんは白いほっぺたをちょっと赤くして目を逸らしました。なるほど、こういうのが好みですか。覚えておきましょう。


 ……あ、そうでした。覚える必要ないんでしたね。もう二度とこういう機会はないのですから。ちょっぴり残念です。

「か、可愛い……ですか?」

「うん、すごくかわ……ゴホンゴホン。と、とてもよく似合っている」

「……そうですか」

 そう言われると何だか照れてしまいます。今度はもっと頑張っちゃおうかな、なんて気になってくるくらい。どうしてでしょう。存在しない“次”のことを想像しても仕方がないのに。

 さっきから顔があっついです。腐れチビハゲアホ狸とか思っていたのに、実際目の前にしたらそんな言葉はどっかに飛んでいってしまいました。ん?アホはありませんでしたっけ。まあどうでもいいです。

「じゃあ、そろそろ行こうか」

「あ、はい……」

 きっとこの雰囲気にのまれているだけです。ほら、もう一度シミュレートすれば大丈夫。ウッソぴょ~ん、ウッソぴょ~ん、ウッソぴょ~ん、ウッソぴょ~ん。


「ウッソぷひゃあッ!?」


 がこん、と進路を塞がれます。誰ですか、私の邪魔をするのは!

「子狐クン、カードをかざさないと改札は通れないよ……」

 豆狸くんがドン引きしていました。



 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 電車に乗って5駅。向かう先は小さな、人の少ない動物園です。

 お互い無言です。電話ではあんなにすらすら話せたのに、こんなのおかしいです。豆狸くんもなかなか『ウッソぴょ~ん』と言う気配がありません。デートが終わるまではネタばらししないつもりなのでしょうか。随分大掛かりです。

 ちらりと視線を上げると、豆狸くんはそっぽを向いて窓の向こうをぼーっと見つめていました。そういえば、彼はいつの間にこんなに背が伸びたのでしょう。卒業式では気が付きませんでしたが160センチくらいはありそうです。相変わらず小柄には違いありませんが、私より10センチ以上大きいのですからもう“豆”狸くんとは呼べないのかもしれません。

「――あの」

「ん?何だい子狐クン」

「……いえ、何でもないです」

 怖くて訊けませんでした。いつになったら本当のことを話してくれるんですか、なんて。


 ああ、困ってしまいました――もしかしたら、私は彼のことが好きなのかもしれません。



 会話がないまま目的の駅に到着してしまいました。動物園は目と鼻の先です。

 それにしても豆狸くんは残酷なほどにウソがヘタです。まったく、こんなデートじゃ私を騙しきれないじゃないですか。

 券売所でチケットを二枚買ってゲートを通ると、ちょうど退場してきた大学生らしいお姉さん三人組とすれ違いました。


「……見た?さっきのカップル」

「見た!なんかふたりともちっちゃくて可愛かったよね~」

「ね~!ちょっと初々しい感じっていうの?」


 お姉さんたちはきゃ~、と歓声を上げながら駅の方へ歩いていきます。いやはや、暇な人たちですね。


 さて、問題は入場した私たちふたりです。


「えっと……聞いてました、今の?」

「うん……可愛くて初々しいカップルだって」

「そ、そうですね……」

 カップルと言われてしまいました。どうしましょう、顔から火が出そうです。

 でもそうですよね。ウソとはいえ私たちは今確かにカップルなのです。

「――ま、豆狸きゅん!」

 あらら、噛んでしまいました。恥ずかしさで顔がさらにあっつくなってしまいます。

「どうしたの、子狐さん」

 豆狸くんも首まで真っ赤なのでまだ動揺しているのは明白でしたが、ちゃんと待っていてくれます。

 どうしてこの気遣いが電話に表れてくれないのでしょうか。あれですか、ギャップ萌えを狙ってる感じですか。大成功ですよこんちくしょう。

 私はかぁっと火照った顔のまま豆狸くんのまんまるなおめめを見つめます。うわわ、睫毛長いです。お人形さんみたいです。

「手……つなぎませんか」

 とうとう言ってしまいました。でもこれくらいならいいですよね?『付き合おう』と言ったのは貴方なのですから。

「わ、分かった……つなごう」

 豆狸くんは顔を真っ赤にしながら右手を差し出します。どうして貴方まで照れてるんですか。まったく、可愛いひとです。

「で、では失礼して……」

 震える指先をのばすと、彼の手が私の指をきゅっと握りました。

「き、急に握らないでください!心の準備とか色々あるのですよ!」

「わわわ、ご、ごめん!」

 あっ、手が離れてしまいました。豆狸くんは全然悪くないのに私ってば意気地なしです。

 大きく深呼吸をして、私はもう一度手を伸ばします。

「すみません。もう、大丈夫です」

「う、うん……」

 豆狸くんはおずおずと私の左手に触れて、そのままそっと握りました。

「――つめたいですね、手」

「子狐さ……ゴホンゴホン。子狐クンこそ冷たいじゃないか」

「そりゃ緊張してますから……」

「そうか……」

「そうですよ……」


 ぷっ、とどちらからともなく噴き出してしまいました。


「何をやってるんでしょうね、私たち」

「本当にね。さあ、行こう。すぐに閉園時間が来てしまう」

 私たちはやっと歩き出しました。握った手がだんだんと温かくなっていくのを感じて思わず頬がゆるんできます。

 今は『ウッソぴょ~ん』のことは忘れましょう。このウソが続いている間だけは、私は確かに豆狸くんの恋人です。だったらその時間を存分に楽しみましょう。


「お、ペンギンが見えてきたぞ子狐クン!」

「なんか威嚇してません?羽の生え替わり時期でしょうか」


「なるほど、本当に立つんだな……」

「あのレッサーパンダ豆狸くんそっくりですね」


「わ、今ライオンに吠えられたよ!怖いよ子狐さああぁぁん!」

「よしよし、いい子いい子」


 豆狸くんとのデートはとても楽しいものでした。つながれたままの左手は温かく、ふたりで頬を染めて笑いあいます。


 ああ、このウソが永遠に続けばいいのに。いつしか私はそんな風に考えはじめました。

 どうやら私は本当に彼が好きみたいです。笑顔を向けられる度にドキッとする一方で、心臓がズキリと切なくなります。


 ですがそんな願いもむなしく、終わりの時間はやってきてしまいます。



 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 午後5時。私たちは動物園を出ました。


「あー、楽しかったね!子狐さん!」


 すっかり化けの皮が剥がれた豆狸くんが笑います。やっぱり素の彼の方が好きです。もっとも無理やり背伸びしているいつもの彼もあれはあれで可愛いのですが。

「また今度ゆっくり来ましょうね」

「そうだね!」

 “また今度”なんていつ来るのでしょうか。来たとしてもその時には、私たちはただのお友達に戻っています。もうこんな風に手をつないで歩くことはないのです。そう思ったら、なんだか――。


「……子狐さん?」


 ぽろぽろと涙があふれて、私は改札の少し手前で立ちすくんでしまいました。

 ああ、だめですね。こんなつもりではなかったのに。

「ど、どうしたの!?」

 豆狸くんが慌てたように顔を覗き込みます。

 ほら、いいタイミングじゃないですか。言うのです。用意していたあの台詞を。

「う、ウッソ……ぴょ……」

「子狐さん?」

 おかしいです。あんなにシミュレートしたくせにうまく言えません。

 だって、嫌なのです。“ウソ”になんてしたくないのです。ずっとずっと豆狸くんの恋人でいたくなってしまったのです。


「――豆狸くんのばか。どうしてあんなウソついたりしたんですか……!」


 あんなこと言われたら期待しちゃうじゃないですか。今日が4月1日でさえなければ絶対に騙されていたはずです。だって私は多分、ずっと前から――。


 そうです、すべては豆狸くんがあんなウソをつくから悪いのです。知ってますか?エイプリルフールって人を悲しませるようなウソをついちゃいけないんですよ。

 多分『責任取って付き合ってください』と言えば生真面目な豆狸くんはそうしてくれるでしょう。でもそんなことしたくありません。無理やり豆狸くんを恋人にしたってお互いギクシャクするだけです。だったらお友達のままの方がどんなにいいか知れません。


「……そっか。子狐さんには最初からバレていたんだね」


 豆狸くんは申しわけなさそうな顔をして私の頭を撫でます。

「ごめんね。時計見たら0時過ぎてたから、エイプリルフールってことで許されるかなって。でもこんなに子狐さんを泣かせちゃうなら言わなければよかった」

 私は涙を拭って首を振りました。

「そんなこと、ないです」

 確かに嫌でした。でも私が今日こうして豆狸くんとデート出来たのは間違いなく彼のウソのおかげなのです。そうでなければこんな夢のような時間を過ごすことは一生なかったでしょう。

 豆狸くんは両手で私の左手を包み込み、じっと瞳を見つめます。

「本当のことを話すよ」

「な、何を言い出すんですか!私は全部分かっています。だからこのまま――」

 私は振り解こうとしますが、彼の力は華奢な見た目からは想像も出来ないほど強くて逃れられません。

「そういうわけにはいかないよ。ちゃんとけじめをつけなくちゃいけない問題だから」

「聞きたくないです!」

 彼の口からはっきりと聞いてしまったら私はきっと立ち直れません。

「実は――」

「言わないで!」


「――実は、卒業式の日に告白するつもりだったんだ!」


「あーあー聞きたくな…………は?」

 私は呆気にとられて豆狸くんの顔を穴があくほど見つめました。

「手紙で呼び出してそのまま言うつもりだったんだ、『付き合ってください』って。でも勇気が出なくて昨日までかかっちゃって……それを『お互いが高校生のうちは』とか無茶苦茶なこと言ってごまかしたりして、本当にごめん」

 無茶苦茶だという自覚はあったようです。

「子狐さんが『真面目に考えてくれて嬉しい』とか言うからなかなか言い出せなくなっちゃってさ……。僕、そんな硬派な男じゃないのに」

 そんなことは百も承知です。最初から豆狸くんにそんな男性像は求めていません。

「……あの、ひとついいですか」

「な、なに?」

 怒られるとでも思ったのか豆狸くんはびくっと肩を震わせます。

「『お付き合いしてほしい』と言ったのはウソじゃないんですね?」

 豆狸くんはまんまるな目をぱちくりさせました。


「だからそんな悪趣味なウソつくわけないだろ!まだ疑ってたの!?」


 握られた手が痛いです。

 でもこの手を離す必要はなくなったのだと思ったらなんだかほっとして、怒る気にもなれませんでした。

「良かった……私はこれからも豆狸くんの恋人でいられるのですね」

「当たり前じゃないか。ウソだったらいやだよ」

 さっき『ウッソぴょ~ん』と言えなかったのが幸いしました。もし口にしていたらお互い勘違いしたままお別れすることになっていたかもしれません。

 豆狸くんは握った手を少し緩めて唇を尖らせました。

「それにしてもひどいよ子狐さん、僕をそんなやつだと思ってたの?」

 グサッ。その通りです。私がひとりで勝手に疑心暗鬼になっていたのですから。

「だ、だってエイプリルフールにあんなこと言うのが悪いんじゃないですか!誰だって疑います!」

 私も負けじと言い返します。

「わざわざ日付が変わった頃にかけてきたりして!」

 あんな時間にかけてこられて疑うなという方がおかしいです。

「あれ?僕3月中には絶対言わなきゃって思って勇気振り絞って電話したんだけど……」

 あれ、なんだか話が違います。

「えっと、ちょっと待ってくださいね」

 私はポシェットから携帯を取り出して着信履歴を確認します。ずらーっと豆狸くんの名前が並ぶ中、一番最初の着信日時は『3/31 23:59』となっていました。

 つまり豆狸くんは『告白自体は3月中にした』と思い込んでいるのです。昨日最初から電話に出ていれば、私がこんなに悩む必要もなかったということです。

 でもこれ、私が悪いんでしょうか?

 豆狸くんは得意げに言います。

「ね?31日でしょ?」

 そうですね。かけ直してるうちに日付変わっちゃってますけどね。

「ちゃんと確認しない子狐さんが悪いんだよ?」

 ぶちっ。


「そもそも――」


 私は豆狸くんのほっぺたに指を押し付けます。

「え?」

 そのまま押しつぶします。


「――そもそもおどれがこんなギリギリになるまでかけてこないのが悪いんじゃこのヘタレ狸があああぁぁぁあああああッ!!」

「ご、ごむぇんってぶああぁぁぁあああああ!!」


 白いほっぺたをぐりぐりして――むむ、想像以上にふにふにしていてやぁらかいです。ふにふにふに。


「あのー、子狐さん?」


 おっといけない。あまりの気持ちよさについ我を忘れてしまいました。

 指を離すと豆狸くんが突然ふふ、と笑い出しました。

「――なんか、思い出すなぁ」

「何をです?」

「子狐さんと初めて会った頃のこと」

 初めて……というと一年生の時ですか。クラスは一緒でしたが、ちゃんとお話ししたのは文化祭実行委員会の顔合わせが最初だったと記憶しています。

「とりあえず座ろっか」

「あ、はい」

 考えてみたらまだ改札の前です。人がいなくて助かりました。

 私たちは駅構内に入りベンチに腰かけます。


「――初めて話したときさ、優しそうな人だなって思ったんだよね。ほら、話し方も丁寧だし」

「まあそうですね」

 ママさんのしつけが行き届いていますからね、当然です。

「でも会議がダラダラしてなかなか進まなかったとき、今みたいにキレたでしょ?先輩相手にさ」

「私はおしとやかな淑女です。そんな事実はありません」

「ちゃんと現実を直視しようよ……」

 豆狸くんが呆れたように言います。“子狐”と名付けたのはもしかして私が化けの皮を被っていることを知っていたからでもあるのでしょうか。自分のことは棚に上げて。

「貴方に言われたくないです」

「う、そりゃボクだって化けの皮被ってるけどさ。こどもっぽく見られたくなかったんだもん……特に子狐さんには」

 対私用仮面だったんですか。知りませんでした。


「――まあともかくそのときにね、好きだなぁって思ったんだよ」


 豆狸くんはにっこり笑いました。その可愛さにごまかされかけますが、私ははっとしてふるふると首を振ります。

「待ってください。いえ嬉しいですけど、いくらなんでも飛ばしすぎです。何故そこに至ったのかまったく分かりません」

 今の流れではまるでキレたから好きになったみたいじゃないですか。豆狸くんまさかドMなんですか。ドン引きです。それなら頑張ってドSになろうかなとか一瞬考えちゃった自分にもドン引きですが。


「いや、責任感があるんだなって思ってさ」


「責任感?」

「うん。子狐さんはクラスでやる人がいなかったから仕方なく委員になったのに、ちゃんと責任もって仕事しようとしててすごいな、格好良いなって。ボクは自分で手を挙げたのにそんな風になれなかった」

 だってちゃんと仕事しないと意味がないじゃないですか。立候補だろうがそうでなかろうが、委員は委員なのですから。

「豆狸くんだってすごいじゃないですか。三年間実行委員を続けたのでしょう?確か委員長にもなりましたよね」

「委員長はまあ……成り行きで。委員を続けたのは子狐さんとまた仕事出来るかなって思ったからだよ。そんなに立派じゃないよ」

「そんなことないですよ。豆狸くんはすごいです。格好良いです」

 多少動機は不純ですがちゃんとやり遂げたのですからたいしたものです。微笑んでみせると豆狸くんは僅かに顔を赤くしてはにかみました。

「……えへへ、子狐さんにそう言われると嬉しいや」

 私も委員を続けていたら、もしかしたらもっと早くこういう風になれていたのかもしれませんね。ちょっと後悔です。

「ところで豆狸くん」

「なぁに?」

「その時から好きだったなら、どうして今まで言ってくれなかったんです?」

 うっ、と豆狸くんが目を逸らします。

「ゴホンゴホン。そ、卒業するまでは安易にそういった関係を」

「ウソですね?」

 私は被りかけた化けの皮をひっぺがします。

「……い、言えなかったんだよ。そんな勇気なかったし、子狐さんがボクのことなんか好きになってくれるわけないって思ってたから」

「どうしてです?豆狸くんモテるのに」

 そう言うと豆狸くんは一瞬きょとん、としてそれから笑い出しました。

「モテるってボクが?まさか」

 どうやらこの人は自覚がないようです。まあ女子の中では『豆狸くんはみんなの弟』なんて意見が主流でしたから、告白にまで踏み切った人がいなかったのかもしれません。子狐さん大勝利です。

「あのさ、子狐さん」

「なんですか?」

「子狐さんはボクの……こ、告白をウソだと思ってたんだよね」

 私は頷きます。あんなタイミングで告白するのが悪いです。

「じゅあなんであのときOKしてくれたの?」

「……そこ突っ込んじゃいますか」

「突っ込むよ。気になるもん」

 豆狸くんのまんまるな瞳がじっと私を見つめます。困りました。逆ドッキリのつもりでしたなんて言ったら泣いてしまいそうです。私はそっと目を伏せて白状しました。


「――ウソでもいいかなって思ったのです。1日だけでも貴方と付き合えるなら」


 半分くらい本当です。無自覚でしたが、今思えば恋人にしてもらえて嬉しい気持ちも確かに存在していました。そうでなければお洋服にあんなに悩んだりしませんし、そもそもデートに誘われた時点で『ウッソぴょ~ん。ぴっぴろぷ~』とネタばらししていたはずです。


「私は――豆狸くんのことが好きですから」


 そうです、私はずっと前から彼が好きなのでした。自分で気が付いていなかっただけです。

「私はその……決して可愛くはないですし。豆狸くんとお付き合い出来るチャンスはこれきりかもと」

 目は細くて小さいですし、鼻も低いですし、ちんちくりんです。豆狸くんとのバランスを考えたら多少背が低くても別にいいのかもしれませんが、それにしたってわざわざ私を選ぶような人がいるとは思えません。

「子狐さん」

「はい」

「僕は怒っているよ?」

「はい?」

 目線を上げると確かに豆狸くんが目に角を立てていました。迫力はまるでありませんが。

「僕は子狐さんだから好きになったんだよ。それを否定しないで欲しいな」

「……すみません」

 そうですよね、好きなものを否定されるのは誰だって嫌です。

「子狐さんは責任感あって真面目だし、いろんなとこによく気がつくし、強いひとだよ。それにね、笑うと目が線みたいになってすごく可愛いんだ」

「……それ褒めてるんですか?」

「褒めてるよ。僕はそういう君が好きなんだよ」

「そうですか」

「そうだよ」

 ぷっ、とまたどちらからともなく噴き出しました。

「どうして付き合ってからこんな話してるんだろうね」

「本当ですね。でも貴方のせいですよ」

「そうだったね、ごめん」

「もういいです」

 私は豆狸くんの手に指を絡めます。

「いいじゃないですか、ウソから始まる関係も。化け狐と化け狸のカップルなんですからそれがお似合いというものです」

「なるほど。それもそうかもね」

 私たちは顔を見合わせて笑いました。とっても幸せです。これであとになって『ウッソぴょ~ん』なんて言われてしまったら……なんて考えると不安ですが、でもきっとこれは本当の笑顔です。


 豆狸くんはものすごくウソがヘタなのですから。


 私たちは手をつないだまま電車に乗り待ち合わせ場所まで戻りました。豆狸くんは私を家まで送ってくれて、名残惜しそうに何度も振り返りながら帰っていきました。私も彼の姿が見えなくなるまでずっと手を振っていました。


 こうして、私たちのエイプリルフールは幕を閉じたのです。



 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 ――む、何か音がします。


 ぶぶぶ、ぶぶぶ。


 どうやらまた着信のバイブのようですが、ねむいので無視です。


 ぶぶぶ、ぶぶぶ、ぶぶぶ。


 はぁ、とため息をついて携帯を開きました。はっきり『4/2(WED)0:00』と表示されているのを確認して、通話ボタンを押します。

「もしもし」


『――おはよう!マイラブリーエンジェル子狐クン!』


 ぶつっ。






 ~豆狸くんはウソがつけない・END~





豆狸くんと子狐さんのお話、いかがだったでしょうか。

今年はエイプリルフールにどんな嘘つこうかなぁ、と考えていたらできたお話です。


豆狸くん、という名前はなんとなくつけました。子狐さんの名前は彼と対になるようにつけたものです。


今回一番悩んだのが子狐さんのデート服でした。

誰かとデートしたこともなければファッションにも全く興味のない私は、デート服なんてどう描写したらいいやらさっぱりでした。ネットで生まれて初めて『春 デート服』なんて検索をかけたときの恥ずかしさときたらもう……。


ちなみに結局子狐さんの服装は適当に考えました。普通の女の子からすると「ダサっ!?」って感じかもしれません(汗)



豆狸くんも子狐さんも、私が今まで書いてこなかったようなキャラだと思います。

豆狸くんは弟系ですし、子狐さんのですます語りも今までありそうでなかった感じでなかなか楽しかったです。




感想、評価等いただけたら泣いて喜びます、豆狸くんが。

ではでは( ´ ▽ ` )ノ

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― 新着の感想 ―
[良い点] 内情がよくわかりやすく、うんうんという感じでした。 [気になる点] ちょっと予想通りすぎたかな?と思わなくもありませんでした。 [一言] 初々しいお話でした。 豆狸君の背伸びの仕方がちょっ…
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