さようなら
あの日、何でかな。
直感みたいなものを感じたの。
あなたに、さようならって、言わなきゃいけなくなったって。
でも、分かって。
「さようなら」は、哀しい言葉じゃない。
それは、あなたに贈る、最期の、愛の言葉だから。
この声は、もう、あなたに聞こえはしないけど。
きっと、届くはずだから。
私の言葉を、受け取ってください。
『諦めるんじゃないよ。認めるんだよ。受け止めてあげるの。
その人の死を。その人が、この世を旅立ってしまったと言う、事実を。
忘れるんじゃない。泣き続けるんじゃない。苦しみ続けるのでもない。
ただ、「ありがとう」って。言ってあげて。
「ありがとう。楽しかったよ。嬉しかったよ。あなたがいてくれて、本当に良かった。
私は幸せだよ。だからあなたも、幸せになって」
大切なものを失って、悲しいのも分かる。辛いのも分かるよ。
でもね、それじゃあ、心配しちゃうでしょ。
「私がいなくちゃ、駄目なのかな」って。あの人が、困ってしまうから。
頑張って。あの人が、一生懸命生きた、この世界で。あなたも、一生懸命生きて。
真っ直ぐな目と、真っ直ぐな心で、自分の気持ちを真っ直ぐに伝えてくれた、あの人のように。あなたにも、真っ直ぐに育って欲しい。』
そして、いつかまた、会えるのを信じてる……―――