現象8 呪術
テスト明けたんで書きました~!
夏休み初日、オレとロードは図書館で倒れ伏せていた。宿題を半日足らずで全て終わらせ、エネルギーを使い果たしたのだ。オレはまだ動けるが、ロードはもう完全に止まっている。あんなコトがあったら、フツーは2、3日何もする気が起きないだろうに。否、一生何もする気が起きないかもしれない。
「そうか、キミはもう私のコトをそこまで嫌いになってしまったのか・・・」
「もう話すコトなんて無いでしょ?消えなさい」
昨日の夜、ロードは日狩の家に謝りに行った。今まで追い回したコト、戻れない時間を壊してしまったコトなどを誠意をもって謝罪した。が、日狩の傷は癒えるワケもなくあっさりフラれる始末に終わったのだ。つまり、2人は婚約者同士ではなくただの同じ教会の配属魔術師になったというコトだ。
「これからゲーセンでも行かねーか?宿題は終わってるし、遊び放題だぜ?」
「そーですねー、それでは1人でお願いしまーす」
これはアウトだ。オレが家まで持って帰るしかない。幸いロードはオレと同じ町の人間だったので、それ程苦労はなかった。
ロードは送ってくれた礼と、オレと家に泊めてくれた。ロードは1人暮らしで日常生活に必要なモノは、教会が送ってくれてるらしい。
「しかし日本も、怖い国になったものです。魔術師がこんなにわんさかいるなんて、世界でもあまり例の無いコトですから」
「ま、オマエら側はオレら異能者の存在が驚きだろ」
確かに、魔術とは無縁だったオレですらその存在を知っている。魔術が日常に出始めているのはあまりよろしくないのはわかる。
「この国は魔術より呪術の方に縁があります。呪術はある一定以上の階級を持った人間にしか扱えない代物です。仏教徒が多いコトがこのコトを裏付けます」
「魔術と呪術は違うモノなのか?」
「全く違います」
魔術は本来、全ての人間を平等にする為に創られたモノで、呪術は己を高める為に創られたモノ。ロードはそう答えた。
「魔術と呪術は互いに敵対する関係ですから、ぶつかれば戦争になります。そして、戦争の被害を真っ先に受けるのが・・・・」
「何も知らない一般人・・・」
オレは改めて魔術の存在を実感した。
「とりあえず寝ましょう、日付が変わってます」
「そうだな、お休み」
次の日の朝、オレたちは外に出てとんでもないモノを目にした。
「なんだよアレ、人だよな・・・?」
「そうでしょう、しかしアレは人と言うより・・・」
ゾンビだ。フツー心臓が無い人間があんな風に動き回るワケがない、これは魔術師の仕業か?
「魔術なら私が魔術反応を捕らえています。が、それがないというコトは!」
「呪術ってコトか!?」
バキィィィイッ!
オレは呪術を解くコトを体現させ、ゾンビをぶん殴る。ゾンビは軽く浮いて吹っ飛んだ。
「ヒカリィ~~、ル~~ノ~~ン・・・・」
しかしゾンビは立ち上がり、更に数が増えていく。どうやら日狩を探しているようだ。
「ルノンは2級魔術師ですからね、敵は内外相当多いんですよ」
ロードは飛火虫を使って、ゾンビの動きを封じた。そのスキに横を駆け抜ける。
「はっ、はっ。魔術師ならぬ呪術師さんの仕業ってコトですかい、ロード」
「ハァハァハァ、呪術を使う者は呪使人って言うんです。覚えておいて下さい」
オレは多分、呪術も嫌いなんだと思う。魔術師であるロードは無論、敵対してるから嫌いだろうけど。
「うわっ、囲まれた!どうすんだ!」
「キョーヤの力でまとめて吹っ飛ばして下さい!」
いくらゾンビとはいえ、一般人だ。また人を殺さなきゃダメなのか・・・。
「その必要はねーぜ、キョーヤ」
ヴオオオォオンッ!!
「「「うおおぉぉ~~~・・・・」」」
「松下先生・・・、すみません」
「貴方がキョーヤの師、松下様ですか」
松下先生が緊急参戦してくれた。おかげで罪悪感を持たずに済んだ。恐るべし裂光火剣、ゾンビたちを跡形もなく焼き切る。
「話によると敵は、前に見たあの子を狙ってるみたいじゃねーか」
「オレら2人じゃどうしようもないんで、手伝って下さい!」
松下先生とオレたちは日狩のもとへ向かった。無事でいろよ、日狩!
今回の登場人物は以前紹介した人ばっかなのでしません。